捨て犬のシロちゃん その2 | ひとさんと愉快な仲間たち

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岡田さんは、まず餌付けをしてシロちゃんを懐かせると言いました。

私もシロちゃんが時々、クンの犬小屋まで遊びに来ているのをよく見かけたので、

ドックフードを多めに入れておきました。

夜食べにきているのか、朝になるとフードは無くなっていました。

岡田さんも、散歩の途中、シロちゃんがついて来たら固形のフードをあげていました。

シロちゃんも、岡田さんの犬に対する気持ちがわかっているのか、

シロちゃんは岡田さん連いて歩くようになりました。もちろん、ピコちゃんにも連いて散歩します。


ある朝、犬小屋の近くにシロちゃんが来ていました。

私は、そ~と彼の前にフードを置いてやりました。しばらくシロちゃんは、首をかしげながら、

私の方を見ていたのですが少し前に進みエサを食べてくれたのです。

それから、時々来るようになりました。5月の連休前の事でした。

土曜日の朝早く、玄関チャイムが鳴りました。外に出ると岡田さんです。

岡田さんは、保険所に、早く犬を捕獲してくれと、毎日電話かかってきている。

愛護協会でも、もう待ってくれないようだ。月曜日には捕獲に踏み切る!と言われた。

今日、明日中に保護しないと連れていかれる。どうしよう。

出来たら協力してほしい。そう言いにきました。

 

私たち2人は相談しました。近くまで来ても首輪をしてないので捕まえられない。

岡田さんは、ず~と首輪を持って歩いていました。私もクンのお古の首輪があるので

チャンスがあれば、まっさきに首輪を付けて、そのまま紐を付けて保護する事に決め、

いつも首輪&紐を持っている事にしました。

最悪の場合、獣医さんから、捕獲用のアミを借りて来て捕獲しよう、そんな作戦をたてました。

土曜日は、姿を見せず首輪作戦は失敗に終わりました。

そして、猶予は明日1日だけになってしまいました。


 

次の朝が来ました。朝の7時頃です。またまたチャイムが鳴りました。

慌てて出るとそこには、首輪をはめて、散歩紐をしたシロちゃんがいました。

岡田さんは「やったよ!」と満点の笑顔で言いました。

私も「やったネ!」嬉しくなりました。

しかし、あれ程保護に苦労してたのに、どうなったのか?とも思いました。

岡田さんは、

「今日は、シロちゃんから寄ってきてくれて…首輪付けるのもちゃんとおとなしくしてくれて、

 ほらこの通り、安心したんかこんなに嬉しそうや」

まるで、飼い犬が飼い主に再会したような嬉しそうなシロちゃんでした。

私がシロちゃんの側に行くと、嬉しそうに顔を舐めてくれたのです。

岡田さんの気持ちが伝わったのか、シロちゃんが状況を予知できたのか・・

もしかしたら、奇跡なのか..


 

そうして、シロちゃんは岡田さんと家に行きました。

岡田さんは、他に5匹の犬がいます。その子たちすべてが、人間に虐待を受けた可哀想な子たちです。

中学生のいたずらで、肉球を削がれた子、カミソリで全身を切られた子、

岡田さんは、一生その子たちの面倒を見るそうです。

シロちゃんも、長い野良時代に何があったかは計りしれないのですが、後ろ足を引きずっていました。

しかし、岡田さんも限界があります。岡田さんの住んでいるのは借家(ペット可)で、

もうこれ以上飼えないそうそうです。それで地方紙に載せました。もちろん里親捜しです。

里親が見つかるまでの間、シロちゃんは岡田さんに大事にされ、足の怪我も治りました。

毛の艶もよくなり可愛くなりました。


 

それからしばらく経って、岡田さんが来て

「里親見つかった、明日里親さんが迎えにきてくれるねん」

と言い里親さんの事を話してくれました。

単に渡すのでは無く、最後まで責任をもってくれる人じゃないとダメだと岡田さんは言います。

里親さんは、ダムに沈んだ残りの集落に住んでいて、そちらの村は10軒位しか無く、

犬も里親さんの所で飼っている1匹だけだそうで、寂しがるのでほしいと言われたそうです。

岡田さんは、一度シロちゃんの様子を見に行くという約束をして、シロちゃんを、渡しました。

10日位たって、岡田さんは

「シロちゃん、見に行っててきたで。元気にしとったわ。同居犬と相性あうかと心配しててんけど、

 2匹で嬉しそうにほたいとった(じゃれていた)で。ただ、のどかな村やから飼い放しにしてて

車に引かれたらたいへんやから、それだけ飼い主さんに言うてきてん。」

そう報告してくれました。

私もシロちゃんが楽しく、幸せに暮らしている姿を想像して、嬉しくなりました。