参考資料912 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

島々の民が世界に広がる
「予言者たちは“イスラエルの家”が“海に囲まれた島”から世界へ進出すると予言しただけでなく、その進出する方角とその順序まで正確に予言していた。

 あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。地上の氏族はすべて、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る。
創世記 28章14節

 世の中には、かたよった考え方をする人がじつに多い。イギリスやアメリカは手厳しい非難を受け、残念なことにしばしば、開発途上国に食糧援助や工業化の努力をしないのは、国のモラルが劣っているのだとチクチクやられている。実際はというと、開発途上国に融資をし、食糧不足にあえぐ国に食糧を送っている点では、この二ヵ国に勝る国はないのだが。現在の自由世界では、自分のことは棚にあげ、喜んで他国のあら探しばかりしているやからが多いのだが、その自由とはイギリス、アメリカ両国とその国民とが、努力と血をもって築いたものなのだ。
 アジアは、日本がアメリカから真珠湾攻撃に対する報復を受けたおかげで自由を享受できるのだし、ヨーロッパやアフリカの自由諸国もまた、前の大戦で連合国がドイツやイタリアを倒したからこそ、自由な状態でいられるのである。
 社会改良家は「貧しい国々の生活水準を、われわれと同じにしよう」と叫びながら、われわれの生活水準では地球の資源を使いすぎている、と責めたてる。マルクス主義者は「貧しい後進国に新しい産業を導入しよう」と調子のいいことを言うが、そんな立派なことを口にする前に、自分たちの国の労働組合への干渉をやめ、輸入制限を実施するべきだ。第一、そんな新しい産業を導入したところで、その製品をどこに売るというのか?
 予言者は、終末の日にイスラエルが再興すると、《地上の氏族はすべて祝福に入る》と予言した。キリスト教徒は、この契約はイエス・キリストの“福音”によって成就したはずだと反対するだろう。だが、どんなに熱烈な福音主義のキリスト教徒でも、福音を聞いたことのない者には価値がないと認めざるを得ないだろう。ほとんどの教会が説いているのは、福音の恩恵を受けるにはそれを“信じる”ことだということではないのか?
 実際に聞いたことのないことをどうして信じられるだろう? 結局、キリスト教徒の立場とは、個人と国家に祝福をもたらすのは未知の存在ではなく、“福音”を聞く自体だというわけなのだ。
 ところで、その福音の伝道に最も熱心だったのはどの民族だったろうか? イギリス、アメリカ、アングロ・サクソン、スカンジナビアなのである。『創世記』で述べられた“祝福”は世俗的ではなく精神的なものだとしても、その点でもイギリスとアメリカは予言を満たしているといえる。“救世主”はユダヤ人から出たが、福音の“祝福”を全世界に広めたのはユダヤ人ではなかったのだ。
 予言で語られる“祝福”は、イスラエルの支族が西へ、東へ、北へ、南へと進出していくという予言と結びついていた。予言の前後関係を無視する危険を犯す人もいるかもしれない―――ここに“世界に広がる”祝福の前後関係を正しくあげてみよう。
 イギリスが最初に植民をする機会を得たのは、西にあったニューファウンドランドである。次には東のインドに植民した。そして十八世紀になって北に位置するカナダを得てから、南のオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカを植民地にした。予言者は東、西、南、北、とは言わず“西へ、東へ、北へ、南へ”と言った―――めったに使わない順序である―――だがイギリスは、まさにそのとおりの順序で世界に出ていったのだ。」
「Ⅴ・ダンスタンの終末大予言(下)」ヴィクター・ダンスタン著・幸島研次訳より

感想
>予言者は、終末の日にイスラエルが再興すると、《地上の氏族はすべて祝福に入る》と予言した。キリスト教徒は、この契約はイエス・キリストの“福音”によって成就したはずだと反対するだろう。

「終わりの時」のための預言と過去の出来事を混ぜて考えるのはおかしいね。因みに、「マタイによる福音書」第24章に「御国の福音」というのが出て来るが、過去の出来事ではなく未来の出来事だろう。

「3.またオリブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や、世の終りには、どんな前兆がありますか」。
4.そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。
5.多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。
6.また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
7.民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。
8.しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。
9.そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。
10.そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。
11.また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。
12.また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。
13.しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
14.そしてこの御国(みくに)の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣(の)べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。」
「マタイによる福音書」第24章3節~14節

>イギリスが最初に植民をする機会を得たのは、西にあったニューファウンドランドである。次には東のインドに植民した。そして十八世紀になって北に位置するカナダを得てから、南のオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカを植民地にした。予言者は東、西、南、北、とは言わず“西へ、東へ、北へ、南へ”と言った―――めったに使わない順序である―――だがイギリスは、まさにそのとおりの順序で世界に出ていったのだ。

実に面白い。裏は取っていないが事実だと信用しよう。

>予言者は、終末の日にイスラエルが再興すると、《地上の氏族はすべて祝福に入る》と予言した。

因みに、ノストラダムスの詩にこんなのがある。

2巻13番の詩
Le corps sans ame plus n'estre en sacrifice,
Jour de la mort mise en nativite:
L'esprit divin fera l'ame felice,
Voyant le verbe en son eternite.
魂のない肉体はもう捧げものにはならぬ
死をむかえる日にそれは復活にむかう
神霊が魂に悦びをあたえよう
ことばの不滅を目のあたりにして  山根和郎訳

感情のない身体はもはや犠牲とはならない
(キリストの)降誕において置かれる滅亡の日
崇高な精神は心をフェリスにするだろう
予言者、彼の永遠への言語表現     (私の訳)

「感情のない身体」と訳した所は「Le corps sans ame」で現代語の「corps sans âme」は、慣用句で「魂の抜けた人、ふぬけ、指揮官(指導者)を失った軍隊(党)」なので、一行目は「腑抜けた人はもはや犠牲とはならない」と訳してもいい。
訳についてはこちら。http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11941955666.html
前回、「felice」については「「felice」は、辞書になく、さらに古い辞書の横断検索でも見つからなかったので、古語でもない確率が高い。だだ、参考としては「félicité 」(至福)などの可能性もある。(「félicité 」は、1606年の辞書に載っているのでノストラダムスは充分知っていたと思われる」と書いたが、新情報。http://www42.atwiki.jp/nostradamus/pages/520.html
これで訳すと、3行目は「崇高な精神は心を幸福にするだろう」。因みに、フェリス女学院大学はプロテスタント系。念のため、シンクロニシティーとして。
補足:http://www42.atwiki.jp/nostradamus/pages/633.html(ピエール・ブランダムール氏の説が近いかな。)

おまけ