「ななつのこ」の駒子ちゃんシリーズ第三弾。
待望の文庫化です♪
「短大に通う入江駒子は大晦日母親に頼まれた買い物をしに行ったデパートで偶然瀬尾さんと出会った。
警備員のバイトをする瀬尾さんにある謎を解いて欲しくて手紙を送ります。と約束する。
その手紙は・・・」
このシリーズこれで終わり???いや・・違いますよね!でも何となくそんな雰囲気も感じられる・・
過去の2作ととは全然スタイルが違っています。
勿論この本単体でも話は解りますし面白い仕組みになっていますが!
でも前作を読んでいると又全然違った印象を持つ話です。
是非前2作を再読してから読んで下さい~
結構衝撃的でした!
最初の「スペース」と二編めの「バックスペース」
あまり語ることができませんが、表裏一体のどちらから読んでも又すぐに読み返したくなるようなタイプの作品。
「スペース」では延々と同じ人物に当てた手紙が綴られる。
本当に些細な普通の手紙で、ちょっと長いのでは・・いつまで続くの?とちょっと思ってしまいました。
でも、「バックスペース」と読むとちゃんとそれが活きているのだからさすが!
加納さんこういう構成は本当見事です。
「ななつのこ」が出版されたのが1992年、そして続編「魔法飛行」が翌年1993年、
三作目の「スペース」が2004年
なんと魔法飛行から11年ぶりです。
でも作品の中で駒子たちの時間は流れていません。
魔法飛行がクリスマスイブ、そして「スペース」は大晦日、たった一週間後のことなのです。
1993年と言えば・・まだ携帯電話もインターネットもパソコンも普及していない。
だから駒子たちのように手書の手紙がこんなにもやり取りされているのです。
便利さはないけれど温かさが伝わってくるのはこの時代だからでしょうか。
私が前2作を読んだのが2002年
細かな部分がスッカリ抜け落ちていました。
スペースを読み終え、「ダメだ・・」とすぐに「ななつのこ」「魔法飛行」を再読しました。
そしてもう一度改めて「スペース」を読んでみると・・
じんわりします~
加納さんはこういうからくりが本当に上手な作家さんです。
ミステリではないけれど、嬉しい驚きをもらえます。
駒子と瀬尾さんのこれからまだまだ知りたいです。
「ななつのこ」 以前の感想はこちら → ☆
「魔法飛行」 以前の感想はこちら → ☆