監督:森淳一
出演:加瀬亮、岡田将生、小日向文世、吉高由里子、渡部篤郎、鈴木京香、岡田義徳
家族の愛は、重力を超える。
「遺伝子を勉強する大学院生の兄泉水と絵の才能を持つ弟春は母親を亡くし父親と三人の家族。
家族の住む仙台市内で連続放火が続き、ある日春がその事件の法則を見つけ泉水に知らせる。二人は放火犯を見つけようと張り込みを開始。
しかし、家族の悲しい過去に関係する人物が現れて・・・」
「春が二階から落ちてきた」
原作と同じこのインパクトある言葉から始まります。
連続放火と家族の過去の事件、二つが交差してとても切なく悲しいけれど、家族愛を感じる作品です。
伊坂作品の映画化といえば中村義洋監督の「アヒルと鴨のコインロッカー」が素晴らしかったです。同じく「フィッシュストーリー」もなかなか。
今回は違う監督ということで又違った雰囲気でした。
原作で登場するとてもインパクトある会話や言葉が随所に使われていてこちらでも印象に残ります。
「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだ」
「思いつきの安心感で救われることもある」
「俺たちは最強の家族だ」
原作を読んで全ての展開が解っているだけに、性的な暴力を嫌う春がジョーダンバットを持って男子生徒をやっつける冒頭から泣けてきちゃいました。
春の気持ちが痛いほど伝わって・・・
淡々としているお父さんの強さと優しさ小日向文世さんとても良かったです。
「お前は俺に似て嘘がヘタだ」
なんて温かい愛情に包まれている家族なんでしょう~
残念だったのは・・
原作ではもっと穏やかだった筈の泉水が感情露わにしすぎたとこかな~
あと、いつも優しく陽だまりのようだったお母さんの回想シーンがちょっと雰囲気と違ったこと。子供達の見えないところでは勿論悩んだり落ち込んだりしただろうけど、そういう姿一切見せず常に明るかったお母さん、原作と同じように暗い姿は見たくなったの。
吉高由里子ちゃんの夏子さんもイメージと違ったな~あんなオドオドしちゃダメ。とっても可愛かったけど。
兄弟の子供の頃の子役さんたち、とっても加瀬くんと岡田くんと似ていました~すごい!
「ファンタグレイプ」ここも良かった~涙涙で大変。
そして勿論加瀬くんと岡田くんが良かった!
で・・渡瀬さん!大好きな俳優さんですが、いやらしい嫌な奴を思いっきり上手に演じていました。憎憎しく思えちゃいましたよ。
原作未読で映画だけ見た人にはスッキリしないラストかもしれません。
私も一度読んだ時には納得できなかった。
でもストーリー展開や事件を知っての再読では家族一人一人の気持ちを敏感に感じながら読んだので、消化することできました。
映画もとても綺麗なラストだったと思います。
