序説 中世が崩れるとき(1) 中世史講座29 | 歴史考察とっきぃの 振り返れば未来

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こんにちは。
歴史家とっきぃです。

いよいよ中世もたそがれ時を迎えます。
一つのシステムが瓦解するときというのは、
そうならないと生きていけないほどの衝撃があるからです。
古代ローマの崩壊の時もそうでした。

普通は物質文明がひとつ崩壊したら、もう廃墟なんです
密林に残されたマヤ遺跡、北アフリカのローマ遺跡、
パキスタンのインダス遺跡・・・、揃いもそろって、
ツワモノどもの夢のあとです。

ところが、ヨーロッパは違いました。
折れた心を補強して、ものの見事に生き残りました。
魂の救済技術のささやかな継承が文明の生き残りにつながったのです。

そうやって、よちよち歩きの荒々しい文明がスタートします。そして13世紀には、大開墾運動も頂点に達します。
人類史上稀な、農業の偉大な発展はここに最高潮を迎えます。いよいよクライマックスです。


再びもがき苦しむ、厳しい時代が始まります。
14世紀、15世紀というのは、地球規模で試練の時代なんです。
信じられないくらい大規模な天変地異が起きているんです。

まず、モンゴル・ウルス。
賢帝クビライ・カアンがつくりあげたアフロ・ユーラシア経済圏が動き出し、東の富と西の富が融合します。
染付は東(景徳鎮)の磁器と、西(アフガン)のコバルトブルー顔料とが結びついて初めて創作された文明融合の申し子です。



また、軍事・警察部門はモンゴル。マクロ経済はムスリム商人、地方自治(ミクロ経済)はそのまんま地産地消という、
優れたシステムです。関税も一律10%だから、遠隔地貿易であればあるほどトクなんです。よく考えていますよね。
徳川幕閣なみにヒューマン・ウェアを重視したモンゴル政府でした。

ところが、14世紀もしばらくすると心の緩みがでてくるんです。カアンの継承問題です。母后とチベット仏教が権力を掌握してしまうんです。
別に天下泰平の平常時なら構わないんです。

しかし、天変地異は容赦なく大元ウルスを直撃します。
黄河が氾濫して疫病も流行り、飢饉まで一直線に発生します。
大元ウルス当局も手を打つのですが、とてもとても対応しきれないんです。母后ダギもけっこう動いてはいるんです。でも天には通じないんです。
また、こういう時に限って、疑心暗鬼になって有能な人をどんどん粛清していくんですね。批判されるのが怖くなるんです。大カアン自身は現場に出ないから、わけがわからない。
結果として、白蓮教の秘密結社が反乱を起こして、大元ウルスは中華本土(チャイナ・プロパー)を手放します。モンゴルにしてみれば、一番豊かな属州を無くしたわけです。

なぜか有能な指導者がいないときに限って天変地異はやってくるんです。
中世だけではありません。
「阪神・淡路」の村山トンちゃん、
ハリケーン・カタリーナのジョージ・W・ブッシュ氏、
そして「3.11」のカン・チョクト(倭称:菅直人)・・・、いずれも心が緩んでいるときを狙っているかのように、起きている・・・。

中世ヨーロッパもそうです。14世紀には、大開墾時代はもう収束しますが、
人々の期待感というものは、そう簡単には変わらないんです。バブルと同じで、まだまだいける・・・。そう考えます。ですから、人口も期待値に比例して増えます。しかし生産は停滞し始めています。

誰かが悪い・・・、人間は本当に悲しい生き物で必ずそう考えるんですね。
ユダヤ人や異端取締りがガンガン強化されます。
そして、頭のいい人はそういうことがまた得意なんです。日本でも霞ヶ関は、許可印を出す時にけっこう陰険でしょう?
図式は同じです。

そして、魂の救済が絡んでいるだけに、深刻なんです。
なぜか、中世は魂の救済とともに発生したからです。

どうして近代科学があれほどの力があるのか、どうしてヨーロッパは世界制覇に成功したのか、そのすべては中世の克服にあるのです。

ちょっと難しくなりますから、
このへんで今日はストップします。


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