電力小売り、家庭含め完全自由化…競争原理導入
読売新聞 5月19日(土)3時7分配信
電力小売りについて家庭向けを含め、全面的に自由化することで一致した。
人件費や燃料費などに一定の利益を上乗せする「総括原価方式」も撤廃し、
電力業界に競争原理を導入する。
電力会社の発電事業と送配電事業の分離など電力自由化も加速する。
一般家庭の電力購入の選択肢が増え、電気料金の引き下げにつながる可能性がある。
家庭向け電力の自由化は
、政府が今夏にまとめる新たなエネルギー基本計画に盛り込む。
電力業界も受け入れる方向で、
来年春にも電気事業法の改正案を国会に提出する。
周知期間を経て早ければ2015年前後に実現する。
電力の小売りが全面自由化されれば、
消費者は
電力会社のほか安価に電力を提供する新電力(特定規模電気事業者=PPS)や
再生可能エネルギー専用の小売業者などから自由に購入先を選択できる。
総括原価方式の撤廃で、経産省による料金値上げの認可制もなくなる。
この結果、自由な料金設定が可能になる。
電力会社の発送電分離などの電力自由化も加速させるのは、規制がなくなった後も、
電力会社による事実上の地域独占が続き、電気料金が高止まりしないようにするためだ。
最終更新:5月19日(土)3時7分---------------------------------------------------------------------------
Wikipedia「伊藤元重」より一部引用。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E5%85%83%E9%87%8D
人物
経済学、ビジネスに関する多数の解説書がある。
また、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などへのコメンテーターとしての出演、
日本経済新聞への寄稿などもおこなっている。
小渕内閣(構造改革)「経済戦略会議」
森内閣(構造改革)「IT戦略会議」で委員を務める。
竹中平蔵とも旧知の間柄であり、
学界のみならず政財界・マスコミなどにも人脈が広い。
研究室の学生との共著も定期的に出版している。
東京大学教授松井彰彦、同助教授柳川範之は、同研究室出身。
税と社会保障の一体改革が持論であり、消費税の増税に賛成である。
また、TPPに関しては
縮小する国内市場だけでは日本の産業はじり貧になるので、
積極的に海外市場に進出すべきであるとの立場から賛成である。
週刊ポストからは2011年10月7日号で財務省の御用学者扱いされている。
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いずれにしても、ハゲタカ外資にとっては、
原発事故による「反原発」の国民感情は、
願ってもない「自由化」のチャンスなんでしょうね。
従来の電力会社の原発稼働による、
青天井なコスト上乗せの値段設定も、
原発マフィア構造も、バカげていますけど、
”ライフライン”の一つである「電気」を、
株式買収であっても、支配・掌握してしまえば、
「人質」にピストルを突きつけるように、
政府に脅すことのできる手段になりますからからね。
橋下 大阪市長が、「水道の自由化」を唱えていましたから、
「”ライフライン”の自由化」は、ハゲタカ外資にとって、
素晴らしい権力手段なのでしょうね。
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岸本 康(科学評論家)
統一通貨「ユーロ」が根を下ろしたヨーロッパでは、
さまざまな市場改革が進んでいる。
日本でも電力市場の規制緩和が段階的に始まったが、
私はこのほど原発全廃政策の実態を調べる目的で、
ドイツ各地を単独で訪れ、
官・民、学界、ジャーナリスト十数人と個々に面談してきた。
ドイツを例に、
欧州の電力事情と原発をめぐる実情を報告したい。
欧州の電力やガスのエネルギー産業の当事者たちは、
未経験の混乱と挑戦を強いられているようだ。
欧州全域は将来、五大電力グループに支配される方向にあるという。
EDF(仏)、RWE(独)、E-ON(独)、ENEL(伊)、ヴァッテンファル(スウェーデン)の五グループだ。
ドイツには最近まで
各地に約一千社の電力事業者があった。
電力自由化の競争が始まり生存をかけて合併。
いまは電力供給量の約八割が統合四社に独占供給されている。
その四社のうち二社は、外国の電力・ガス供給会社をも吸収、
だが、残る二社は逆に外国資本の傘下に入った。
このため奇妙な現象が続出している。
ドイツ第四位のEnBW社は、EDF社から34.4%を出資された。
EDF社はフランスの国営電力会社だから、
EnBW社はフランス政府の電力政策に支配される。
フランスは電力の八割以上を原子力発電で賄っていて、
その原子力政策が一変することはあり得ない。
ところが、ドイツで原発全廃止の法律が成立している。
さらに奇妙なのはハンブルク電力である。
同社と旧東ドイツのベルリン電力など民営三社は、
バルト海の対岸スウェーデンのヴァッテンファル社と新会社を創設した。
ヴァッテンファル社は
スウェーデンで電力の半量を供給している大会社であり
100%国営である。
新会社は、本社をベルリンに置き、ドイツの法律に従う。
すでに7月から高圧送電事業を開始し、
来年1月までに残る全部門も動き出し正式発足を迎える。
同社は
北欧から東欧一帯をサービスエリアに収める
という野心を持っている。
すなわちスウェーデンの国営会社が
ドイツ第三の民間会社を支配する。
だが、両国は原子力政策で一致していない。
スウェーデンは22年前に
全原子力発電所を2010年までに廃絶する政策を確定したが、現在までに一基を停止しただけで全廃は不可能な状態だ。
唯一閉鎖した原発は、国有ではなく民間のシドクラフト社の所有である。
ドイツ第二位のE-ONは、このシドクラフト社を買収し、
東欧・南欧への進出も図っている。
さらにまたドイツのRWE社は、英国第二の発電会社を買収し、
フランスのEDFの株式買収計画も準備中である。
欧州連合(EU)指令に発した加盟国の電力自由化は、
このように複雑に絡み合いながら進み、
ドイツの社民・緑の党連立の連邦政府は、
電力の国際統合に熱心だという。
国際間の統合は全産業強化に役立つという期待であろう。
今後約十年間、ドイツ国内の旧式で非能率な原発を徐々に廃止していくと、
いまは余裕の電力需給がタイトになると予想される。
原因は京都議定書の炭酸ガス排出抑制の国際公約で、
旧東独の褐炭発電などが制約される一方、
風力など自然エネには必要電力供給を期待できず、供給は底打ちとなるからだ。
そのドイツは、現にフランスから輸入中の原子力の電力量では足りず、
ロシアなどに大きく依存せざるを得ない。
約十年後、矛盾露呈で激しい原発論争が再燃するころ、
全欧州は五大電力支配の新時代に様変わりである。
日本では、ドイツは原発廃絶国という固定観念が強いが、
欧州のダイナミズムを直視する必要がある。
「木を見て森を見ざる」を反省したい。
◇
早大理工学部卒。専門は原子力問題。元共同通信科学部長、論説副委員長。79歳。
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「征服の武器」(『私物化される世界』)>より
元ジュネーヴ大学 社会学教授ジャン・ジグレール(ツィーグラー:Jean Ziegler)氏による著書に、
『私物化される世界(邦題)』 (阪急コミュニケーションズ)という本があります。
その本の第一部「グローバリゼーション――歴史と構想」の第三章には、
「支配者のイデオロギー」という表題が、掲(かか)げられています。
なぜ「グローバリゼーション」というテーマで、
「支配者」という言葉が出てくるのでしょうか。
マスコミに洗脳され続けてきて、世界情勢オンチである私たち日本人には、「グローバル化」と「支配」とが繋(つな)がることは、寝耳(ねみみ)に水なのではないでしょうか。
そうした了見(りょうけん)の背景には、
著者の次のような理解や認識があるようです。
「国連開発計画(UNDP)」によれば、
20億人以上が『絶対的な貧困』下で暮らしている。」
「方程式は簡単だ。金のある物は食べて、生きる。
金のない者は苦しみ、病んで、障害者になるか死ぬのである。」
「これら20億人の生殺与奪権を握っているのは
グローバル化した資本の首領たちだ。
彼らは、その投資戦略、通貨投機、彼らの結ぶ政治同盟によって、毎日この地球上で誰に生きる権利があり、誰に死の宣告を下すのかを決定する。」
「1990年代初頭以降、
『寡頭制』によって打ち立てられた世界規模の支配と搾取のシステムの特徴は
極端なプラグマティズムにある。
・・・敵対するグループが内部で相争い、頑固な競争思考がシステム全体を貫いている。」
「彼らの武器は、強制合併、敵対買収、寡占ダンピング価格による敵の殲滅(せんめつ)、または個人的な中傷キャンペーンなどだ。殺人は比較的まれだが、場合によっては首領たちは それさえ辞さない」(p.14~15)
「彼ら[支配者]の行為のイデオロギー上の指針は 無難な名称をもっている。[それは]「ワシントン・コンセンサス」という。・・・
『コンセンサス』は一九八九年に、
(当時は国際経済研究所員で、現在は)世界銀行の上級エコノミストで副総裁のジョン・ウィリアムソンによって定式化された。・・・・彼らの狙いは、
あらゆる――国家であれ、非国家組織であれ――規制当局を可能なかぎり迅速に解散させること、
あらゆる市場(商品、資本、サービス、特許など)を可能なかぎり迅速に自由化すること、
そして、『国家なき世界統治』(stateless global government)という合言葉のもとに、
統一的で自己調整する世界市場をつくりだすことである。」
「ワシントン・コンセンサスは
世界の私物化を目的とする。
この合意は以下の原則に基づずいている。
1.債務国においては、税制改革が
二つの観点から見て必要不可欠である。
すなわち、金持ちの投資をさらに促進するために、
最高収入(所得)の税負担を引き下げること。
および納税義務者数を拡大すること。
はっきりいえば、税収総額を高めるために、
貧乏人に対する税制上の優遇措置を廃止すること。
2.金融市場を可能なかぎり迅速に、
完全に自由化する。
3.国内外の投資の平等な扱いを保障すること。
これは・・・対外投資量を増やすためである。
4.公共部門を可能なかぎり広範に壊滅させる。
特に、国有および半国有のすべての企業を民営化する。
5.様々な経済諸力のもとでの自由な競争を保障するために、
該当する国の国内経済の規制を
きわめて広範に撤廃する。
6.私有財産の保護を強化する。
7.可能なかぎり すみやかに
貿易関係の自由化を促進する。
年々関税を引き下げて最終的には10パーセントにする。
8.輸出による自由な貿易が促進されるので、輸出可能産品の経済部門の発展を優先的に支援する[引用者註:つまり輸出の主力となってくれる産業分野を、政治が優先的に支援するようにすること。日本でいえば、トヨタなどクルマ産業とかソニーとかを、政府が優先的に支援するような事]。
9.財政赤字の制限。・・・・・」(p.55~56)
こうした原則を見てみると、
1998年からの日本の「構造改革」が、
「ワシントン・コンセンサス」と酷似であることに、驚かされます。
また更に、政権交代が起ころうとも、
菅および野田政権が、この路線であること。
そして、「TPP」の事が、あたまを掠(かす)めます。
金融などに対する規制撤廃や自由化、そして貿易などの関税な国内保護規制の撤廃や自由化を、
グローバル経済の支配者あるいは首領たちは、なぜ求めるのでしょうか?
それは簡単です。
かかる国の保護規制が外されて、
好き勝手自由に、
その国に参入できるようになれば、
世界的なトップ企業の資本力や規模を前にして、太刀打ちできる企業など、その国には居ないからです。
そうしてその国の企業を買収なり吸収して、さらに大きくなっていくのが、目に見えます。
そうして、様々な国の業界を席巻してきた、世界のトップ多国籍企業の肥大ぶりを、
ジグレール教授は、
つぎのように教えてくれています。
「世界で最強の多国籍企業100社の個々の売上げは
120の最貧国の総輸出量を上回る。
最強の多国籍企業200社が
世界貿易の23パーセントを支配している」と。
「ワシントン・コンセンサス」の1番目である、
「債務国においては、
税制改革が二つの観点から見て必要不可欠である。
すなわち、金持ちの投資をさらに促進するために、最高収入の税負担を引き下げること。
および納税義務者数を拡大すること。
はっきりいえば、税収総額を高めるために、
貧乏人に対する税制上の優遇措置を廃止すること」は、
いわゆる「税制のフラット化」を意味し、
いまの野田政権も、
そして政権交代までの自公政権が敷き、
進めてきた不公平税制そのものではないでしょうか。
金持ちや大企業を優遇しつつも、
中小零細企業や庶民からは、
より広く容赦なく税金を掠(かす)め取り(納税義務者を拡大したり、納税機会を拡大する)つつも、
社会保障(を必要としている人)への支出を削減する(貧乏人に対する税制上の優遇措置を廃止すること)。
「税と社会保障の一体改革」とは、
なるほど「構造改革」と同じく、
「国民のための善良な改革」
とは言っていません。
「構造改革」と同じく、
格差を拡大するための”改革”という言葉の綾(あや)の匂いが、
私にはプンプンします。
橋本政権から始まり、小泉政権で極められ、いまの野田政権(また橋下市長)も、その延長線上にある「政策路線」は、日本では、どういう包装パッケージで包まれようとも、
それは、私物化されるための”ワシントン・コンセンサス”でしかない事だ、と私たちは、
今後は冷静に見つめることが出来るのではないでしょうか。
「ワシントン・コンセンサス」という、新自由主義(市場原理主義)経済学の理論をベースにして、アメリカ政府、IMFや世界銀行などの国際機関が、世界中に押しつけてきた政策は、ジグレール教授によれば、
グローバル化した世界における支配者たちが、
世界を私物化するための政策である、
といいます。
そして、その「ワシントン・コンセンサス」という政策の、理論的根拠とされてある「新自由主義」を、ジグレール教授は、世界的なフランス人社会学者であった(故)ピエール・ブルデューによる定義をもって表現しています。
「ネオリベラリズム(新自由主義[経済学])は
征服の武器である。
・・・・ネオリベラリズム(新自由主義)は
エイズのようなものだ。
それは[ネオリベラリズムの]犠牲者の免疫システムを破壊する」という定義を。
「世界の私物化と
それを根拠づけるネオリベラリズム(新自由主義=市場原理主義)のイデオロギーの影響の下で社会は少しずつ死んでいく。
そのイメージをアラン・トゥレーヌは鋭く描き出す。
『グローバル化した地球規模の市場とその周辺に成立するアイデンティティーを求める無数の運動の間には、大きな暗い穴が口をあけている。この穴の中では、共同意思、人民、国家、諸価値、公衆道徳、人間関係などが、一言でいえば、社会が消え去ろうとしている』。」
「[ネオリベラリズムの]その理論が
いかに機能し、
誰がそこから利益を得、
誰を搾取し、
誰を殺し、
いかに環境を汚染し、
結局は、誰をペテンにかけるのかも
あきらかにするだろう・・・」(p.62)
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<水道の民営化に関するページ>
○ドキュメンタリー映画 『フロウ』
・http://www.mikoukai.net/006_flow.html
・http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD17694/index.html
・http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A6-%EF%BD%9E%E6%B0%B4%E3%81%8C%E5%A4%A7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AB%E7%8B%AC%E5%8D%A0%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%EF%BC%81%EF%BD%9E-%E6%9D%BE%E5%B6%8B%C3%97%E7%94%BA%E5%B1%B1-%E6%9C%AA%E5%85%AC%E9%96%8B%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%82%92%E8%A6%B3%E3%82%8BTV-DVD/dp/B004GII9YQ
○ 「民営化という大波」
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/water/jirei/sara_pr.htm
○「水の商品化・民営化」
http://www.jacses.org/sdap/water/report03.html
○「ボリビアの水戦争」
http://www.anti-rothschild.net/truth/column/part1_23.html
○「水を人々の手に取り戻す ~民営化ではないオルタナティブを模索して」
http://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/section2/2007/05/post-246.html
○『世界の〈水道民営化〉の実態: 新たな公共水道をめざして』
http://skasuga.talktank.net/diary/archives/275.html
○「新型肺炎(SARS)の感染を広げた民営化と独裁政治」
http://www.jrcl.net/frame03421c.html