日本の「混合診療」実現化 (アメリカが1994年から狙ってきたもの) ~その2~ |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。

日本にはの医療には、
国民皆健康保険が利く「保険診療」と、
国民皆保険が利かない「自由診療=保険外診療」とがあります。

「自由診療=保険外診療」は、
厚生労働省が認めていない医療技術や医薬品が施されるために、
「保険外診療」となります。
まずは、そんな従来の日本の医療保険制度について、
確かめてみたいと思います。

以下は、<アポネットR研究会>さんのホーム・ページにある、
「混合診療とは」というページの一部引用です。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/keywords/kongoushinryou/page1.html

”現在の日本における保険制度では、
平等な医療を提供するために、
範囲外の診療費を徴収することを禁止している。
このため、
範囲外の診療費を徴収する場合には
健康保険が適用されず全額自己負担となる
即ち、保険診療と自由診療の併用は原則的に認められていない。”

「保険診療と自由診療(=保険外診療)との併用」が、
「混合診療」という事になります。

あたまが混乱するかもしれませんが、
たとえば、或る治療を受けるのに、
その治療のうちの或る部分は、
厚生省が認めている薬品が使われる”から、
その分については”保険が適用”されて、
その同じ治療内のうちの別の部分は、
まだ厚生省が認めていない薬品であるために、
”保険が利かない自由診療(=保険外診療)”となる、
という、一つの治療のうちの<国民皆保険>部分の薬品と<自由診療>部分の薬品とを併用することが、
現在の医療制度では、できません。
まだ厚生省が認めていない医療技術や薬品を、治療に使うならば、
ぜんぶ医療費を自己負担する事になるようです。
その事から、いまの医療制度は、
「混合診療」を禁止しています。

さきのページの、別の部分を引用します。

”「混合診療」とは、健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、
範囲外の分を患者さんが医療機関に支払う
というもの・
・・”

日本医師会では、
混合診療の導入によって
患者さんも医師も技術進歩と高い医療の質を求める
その結果、医療提供コストは増大し保険外診療の費用は増加する
また、患者さんは、私的保険を通じた保障を求めるようになる」として、
次のような見解を述べている。

<混合診療についての影響>
財政難を理由に、最新の医療が健康保険に導入されなくなる
費用が負担できる人しか必要な医療が受けられなくなる
費用の負担できる人とできない人の間に不公平が生じる。命は平等であるべき
●医学医療の進歩の享受は国民皆保険によって国民全員が受けるべき ”

「財政難を理由に、最新の医療が、健康保険に導入されなくなる」というのは、
質が高く、したがって需要が高く、そして高額になった医療サービスが、
医療コストを増大させるために、国が負担する支出が増大して、
国は、財政難を理由に、
質の高い医療サービス順から、国民保険の対象から遠ざかっていく
からでしょう。
その事から、
国民が各自で、私的保険を契約して、
できるだけ良質な医療に与ってくれたまえ

という事になるはずです。

その事からもたらされる世界が、
費用を負担できる人しか、必要な医療を受けることしかできない」程度が激しくなり、
そしてもちろん「負担できる人と出来ない人とに、不公平が生じてしまう」のであります。

ここからが、今回の要点なのですが、
「保険診療」では、診療報酬や薬価が高騰しないように、
政府は、統制を行なっています。
そのために、必要な医療を、比較的に安価で受けることができます。
それに対して、「自由診療」の範囲の医療技術や薬品は、
薬品会社や病院が、価格を自由に決めることができます。
質のいい医術や薬品は、市場の原理や市場の論理により、
高騰していく運命にあります。
(一説によれば、カネの掛からない代替医療技術や自然の万能薬が、
化学医薬産業により、闇に消されてきた、という声があるほどです。)

そうして高騰した医療サービスの世界を前に、
保険会社のほうも、自由診療向け保険を開発するようになるでしょう。

そうして、必要な医療は、医療コストの高騰の結果、
国民皆保険の範囲から、ますます遠ざかっていく事になり、
実質的に、「国民皆保険」は、意味をなさなくなる事になっていくでしょう

じつはこの混合診療」の実現化は
1994年から、「対日年次要望書」で、
アメリカが要求してきた宿願だったようです。

「混合診療の実現化」は、今回のTPP問題に限らず、
アメリカがずっと圧力をかけてきた狙いの一つだったようです。
そして、アメリカが狙っているもう一つとしてあるのが、
莫大な金額の「郵貯マネー」や「簡保マネー」であり、
それを外資が手にするために「郵政民営化」を後押ししているのであります。
「郵政民営化」という側面をもったTPPについては、
また別の機会にしたいと思います。

売国内閣によって、
「市場原理主義的医療の世界」を、日本に実現させてはいけない。
TPPを推進する議員がいるなんて、私には信じられない。
売国議員や売国官僚、御用学者でなく、
まじめにTPPを推進するのであれば、
そういう輩は、「合成の誤謬」的な詭弁に、騙されているとしか思えません。


※ 次回は、消費税増税が、医療にもたらす悪影響を予定しています。


参考文献) 
菊池英博 『消費税は0%にできる』