学園祭 | 新宿 鼠通り

新宿 鼠通り

逃れよ…強壮な風の吹くところへ…




校庭には…さまざまなお店が並び…



ステージでは…ダンス部の踊りが…弾けていた…



どこまでも透き通る…高い青空の下…



見渡せば…笑顔…笑顔…笑顔…



ああ…来るんじゃなかった…



居場所がないよ…なにしていいかわからないよ…



校庭の隅の椅子に…座り…



どこを見ることもなく…視線を泳がし…



息子を…待つ…



どこに…いるんだよ…はやく…オヤジを見つけてよ…



極端に目が悪いから…そこかしこの…制服男子の顔を判別することはできない…



30分ほど経って…これ以上無理…



腰を上げようとしたら…目の前に…人影…



「!よかった!逢えないから…もう…帰ろうと思ったんだ…」



「ふふ…ずっとオヤジのこと観察してた…」



「え?気づいていたの?」



「オヤジ…目立つじゃん…来たときから…ずっと…見てたよ…」



「もう!!イジワル!」



「ふふ…ソワソワ…ビクビクしてたね…オヤジにしては…よく頑張ったね…」



「うん…よかったぁ…急に楽しくなった!なんか食べようよ!!」



ここが…学校か…このひとたちが…学友か…



僕の知らない…息子が…いる場所なんだね…



「ねぇ…教室をみたい…案内してよ…」



「…わかった…担任の先生も…紹介するよ…」



「えっ…えっ…い…いいよ…ひどい格好だし…」



まいったな…チンピラだと思われるだろうな…



息子の評価に…影響がなければいいんだけど…










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階段ですれ違った…ジャージ姿の青年に…



息子は…声をかけた…



「先生…あ…あの…父…です…」



僕を捕らえる…眼鏡が…光る…



「あっ…は…初めまして…いつも…息子がお世話になってます…」



「はい…ひるま君は…部活もがんばっていますよ…」



20代後半か…典型的な…理系タイプ…



「ど…どうなんですか…お友だちもいないみたいだし…」



視線を…まっすぐ合わせる…



「本人が…ひとりが好きなんですから…いいじゃないですか…」



「そ…そうですね…よろしくお願いします…」



冷や汗が…どっと出る…挨拶もそこそこに…



逃げるように…階段を下りた…



「なあ…オヤジは…あの先生気に入ったよ…いい先生だな…」



「…そうなんだ…だから…紹介したかったんだ…」



息子と別れ…家に帰り…



ほどなくして…息子も帰宅した…



「おかえり…先生…オヤジのことなんか言っていた?」



「おっかねぇ…お父さんだな…怒ったら怖そうだって…ビビってたよ…」



やっぱり…誤解された…