新宿 鼠通り

逃れよ…強壮な風の吹くところへ…


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午後7時20分には…




net上に…合格発表が…掲載されたけれど…




僕は…受験番号を…知らないので…




合否の結果は…




娘からの連絡を待つしかなかった…












7時30分…40分…




携帯が…鳴ることはない…




学校の教育方針…




出逢う友だち…先生…それに授業…




中学校は…娘の将来に…かなり影響を与えるだろう…




だから…合格してもらいたかった…




ずっと…頑張っていた姿を知っているだけに…




天を…呪いたくなる…




小学6年生…はじめての…大きな挫折は…




ちょっと可哀想だけれど…




それもまた…人生…





強くなれ!







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午後8時…




娘から…着信…




「合格したよ!」




「…おおおーーーーっ!!!!やったぁーーーああああ…おめでとう!!!!!」




「ありがとう!」




「…連絡ないから…ダメだったと思ったよ…」




「…いま…net見たの…」




「とにかく…おめでとう!お祝いしないとね…」




「ううん…いいからっ!他にも…電話するひといるから…もう…切るね…」




「えっ…あ…は…はい…本当によかった!おめでとう…」




待ち望んだ会話は…わずか1分で…




ブチリと…切れてしまったけれど…




それでも…興奮が収まらない…




このまま…仕事を投げ出して…家に帰ってしまいたいくらい…嬉しい…




こんな気持ち…すっかり…忘れてた…




あるじゃない…




生きていれば…




たまには…いいこと…あるじゃない…














































































































































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「…玄関の樹が…枯れて…いつ倒れてもおかしくない…みたいなの…」



母がポツリと…言った…












家に…立派なケヤキの樹が…3本ある…




そのケヤキが…



あるとき…突然…悲鳴をあげ…



電線を切り…隣家の屋根を壊し…車の屋根を潰し…



道行く人の上に…倒れてしまう…らしい…



「…そ…そりゃ…困るね…僕…伐ってみようか?」



「…無理無理!植木屋さんだって…大きすぎて…うちじゃ無理だって…」



「弟…チェンソー持ってなかったっけ?」



「無理よ…それに…30万円くらいかかるって…」



「…そりゃ高い…どうする?」






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この家を…建てるとき…



父がこだわって植えたケヤキ…



春は…息吹…希望の芽…



夏は…むせかえる…緑…



秋は…赤く黄色く…染まる…葉…



冬は…落ち葉…落ち葉…うんざりする…落ち葉…



ずっと…この家を…見下ろしてきたケヤキ…



子供たちの…学校生活を…見守り…



それぞれの就職先から…深夜帰宅する姿を…迎え…



やがて…



家を出てゆく…子供たちを…見送り…



父が…死に…



母が…ひとり…落ち葉拾いを…繰り返し…



それから…



僕が…戻ってきてほどなく…



この家の象徴のような…ケヤキは…枯れてしまった…



「どうする?」



「落ち葉も大変だし…全部伐ってしまいたいわ…」



「…でも…お父さんが…とても好きだったケヤキだよ…」



「もし…倒れちゃったら…30万円じゃ済まないわよ…」



「…うーん…」




たしかに…



道を埋め尽くすほどの…落ち葉は…



近所から…「落ち葉…迷惑です!」と…



文句を言われても…おかしくないような…時代なのかもしれない…







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役目を終え…



朽ちてゆく…命…



記憶の中で…



いつまでも輝く…命…



長い間…我が家を…守ってくれて…



ありがとう…
























































































































































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「…どうぞ…」







職員は…



穏やかに…友好的に…着席を…促してくれた…



「…出頭通知なんて…ずいぶん…脅してくれるじゃないの…」



「いえ…出頭ではなく…来所…通知書です…」



「!え…あ……こ…こ…こんなもん…払ったら…ウチは倒産です!」



「……決まりですから…」



「ウチが…倒産したんじゃ…本末転倒じゃないの?」



「…きちんと支払ってる…会社さんもありますから…」



「たとえば…僕は…朝の9時から…午前0時まで…365日働いてます…」



「……」



「それでも…稼げない…いえ…創れないんです…

モノ創りって…あなたたちみたいな…仕事とは違う!

寝る間も惜しんで…血肉を吐いて…考えて…創って…

それでも…創れなくて…お金も頂けなくて…時間ばかり無駄になって…

明日も見えないまま…なんの保証も…仲間もなく…

誰に媚びることもできず…自分と格闘して…創り出すだけ…

売れるモノが…創れなくても…自業自得…

会社の決まりなんて…あるわけない!

よいモノを創るためなら…

朝からソープランドに行こうが…酒を飲もうが…何の問題もない!」



「…いえ…常識的な…労働時間のお話を…」



「タイムカード押して…仕事とプラベートが分かれてるわけじゃないんだ…

24時間考えてる…どうすれば創れるか考えてる…酒飲んで考えてる…

仕事が…僕自身なの…仕事が…僕の人生なの!

それを…あなたたちの…労働の定義に当てはめるのは…無理がある…

金儲けなんて…どうでもいいんだ!ただ…創ってみたいんだよ!わかる?」



職員は…わずかに…頷いた…ように見えた…



「あなたたちが…結局…僕に強制するのは…カネ…かね…金!

金儲けしろ…金を稼げ!利益を増やせ!ってこと…

誰かの役に立ちたい…お金なんてどうでもいいなんて…青臭い理念は…世の中の迷惑だ!

法人失格だから…個人事業主になって勝手にやれ…ってことでしょ…」




「……」




「ウチは…潰れるでしょう…その覚悟できてるから…どんな裁きだって…受けます…

だから…言いたい…伝えたい…

金儲けができない…小さく…弱く…熱い…労働者の叫びを!!」




職員は…今度は…深く…頷いた…





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出 頭










職員は…僕のような小さな会社の現実を…



痛いほど…理解している…と感じた…



「…いい時計ですね…」



くたびれたワイシャツ…赤や青のインクで…シミだらけの袖口…



でも…



左手首には…エクスプローラー…が巻かれていたので…



口に出してみた…



うれしそうに…恥ずかしそうに…微笑む職員…



なんだか…



この職員も…辛いのだと思った…



9時から5時まで…社会保険加入の指導…未納の回収業務ばかりで…



誰かと対峙したって…払えない…倒産してしまう…と言われるばかりで…



感謝されたり…喜ばれたり…嬉しいことなんて…あるわけがない…



労働の喜びは…出世か…お金なのだろう…




「さて…ちょっと前向きな話をしましょうよ…まず…追徴金ですが…」




「…ご来所いただいておりますし…追徴金は…ありません…」




「!!!!!」





白髪の職員が…なんだか…




黒澤映画「生きる」の主人公…




志村 喬に見えてきた…




















































































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「すみません…テレビ朝日ですけれど…」











日曜日の夕方…




娘の…誕生日プレゼントを…探し…




新宿を…駆け回っているとき…




声をかけられた…




「…はい?」




「インタビューよろしいですか?」




「…はい?なんですか…」




「カメラ…まわしますね…」




「…えっ…なっ…なんですか?」




「お父さん…どうして…金髪に…されているんですか?」




「…えっ…えっ…て…テレビですか…」




「…はい…深夜の番組で…」




小心者の…限界だった…




「いえ…無理です…」と…歩き出しても…




カメラを担いだ女子は…レンズを向けたまま…並走してくる…




「お願いしますっ!…お父さん…どうして金髪なんですか…」




「………」




いやだ…いやだ…テレビになんて映りたくない…




小走りになって…




雑踏に紛れ込んだ…








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自らを…鼓舞させるために…



金髪にしています…



社会的ハンディキャップを…負うことによって…



創ることの…純粋性を…維持させたいんです…



とか…頭に浮かんでいたけれど…



引っかかったのは…そこじゃない…



金髪…童顔…派手なお洋服…そしてチビ…



実年齢より…若く見られ…生活感がない…と言われることが多い…



初対面で…2人の子持ちだと…見抜かれた経験は…ほとんどない…



でも…僕に声をかけてきた女子は…



まっすぐ…「お父さん…」と話しかけてきた…



あのとき…



娘を…喜ばせたい…驚かせたい…楽しませたい…



それだけを…考えていた…



無防備な…父親らしい顔を…



誰かに見られてしまったことが…



どうにも…恥ずかしかった…








































































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お上からの…呼び出しに…




小心者の妄想は…過剰に膨らみ…




自滅の道を…ひたすら邁進…




不安そうな…スタッフをよそに…




日に日に…お酒の量は…哀しくなるほど…増えてゆく…




事務所内が…重く沈んだ…空気の中…




流れを…なんとか…変えたくて…




「今日…この最悪の空気の中…新年会をやることにします…」




高らかに宣言した…




スタッフは…うつむき…全身からは…強い拒絶が…立ち上る…




「いくぞ!」と声をかけても…




いつまでも…画面にかじりついて…腰を上げない…




「モタモタするな!!!イヤな飲み会だって…行かなきゃならない時はあるんだよっ!」




僕のほうが…緊張しているから…つい…声を荒げてしまう…




3人で…食事をするのは…1年ぶりだというのに…




ああ…これで…




お通夜新年会…決定…




イヤだ…なにもかも…イヤだ…




それでも…話さなきゃならない…食べなきゃならない…眠らなきゃならない…




イヤだ…イヤだ…生きていることが…イヤだ…




経営することが…イヤだ!




出頭することが…イヤだ!




焼香に向かう列のように…




いえ…




社会から弾かれてしまった…死者たちの行進のように…




うつむき…固く沈黙した…3人で…歌舞伎町を歩く…




「ここにしよう…焼肉を…食べよう…」








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普段…



お肉を口にすることは…ないから…



安いお肉でも…かなり美味しく感じた…



お腹が満たされるにつれ…



わずかに…和む空気…



「…いま…ウチの会社は…大きな…危機です…」



「まず…追徴金を支払えるか…支払ったとしても…会社の数字は…崩壊します…」



「そして…社会保険に入れば…あなたたちの…手取りは…3割減ってしまう…」



「会社を解散して…個人事業主になるっていう道もある…」



「家賃の高い…いまの場所には…いられなくなるかもしれない…」



「なにより…もっともっと…売上が…必要になってしまう…」



「赤字…倒産…解散…解雇…無職が…いままで以上に…近づいてきます…」



「…どうする…どうしたい…あなたたちの…要望を教えてよ…」



なにを聞いても…おとなしい…スタッフ…



「…ひとりでは…潰れちゃうけど…ダメな人間たちでも…3人集まれば…なんとかなる…」



「まずは…僕が…怒らないよう…切れないよう…喧嘩しないよう…変わってみたい…」



「…僕は…この3人で…やってみたいんだ…」



まだ…



ひとりじゃない…



「すみません!カルビ一人前追加…あと…ウーロンハイお願いします…」



「ほら!…あなたたちは…デザート頼みなさい…」



お腹が空くんだ…



酔っ払いたいんだ…



仕事をしたいんだ…



まだまだ…



死者じゃないはずだ!













































































































































































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