本人の願いを叶えられて | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

横浜 コーディアル司法書士 所博之

LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

今年も確定申告(消費税含む)を終え、ひと段落したところです。そして、年末に「ふるさと納税」をした際の商品が、ようやく発送されるとの連絡があり、心待ちにしているところでもあります。

 

私は司法書士会で労働問題ワーキングチームの委員長を務めていることもあり、労働問題の相談を受ける機会も多いのですが、相談者が「相談して安心した。勇気がわいてきた。」などと言って、事務所を後にしてくれると、私自身もとても嬉しくなります。
また、悩みを抱えて悶々としている方が、弊所での相談で、「これで、心置きなくぐっすり眠れます。」と言っていただき、そのまま仕事を任せてもらえると、私たち法律家としては、なにものにもかえがたい評価をいただいたようで、格別です。

 

最近、このブログを読んで、伊藤塾時代、一緒に中国スタディツアーに参加した方が今は司法書士をめざして頑張っていますというメールを送ってくれたり、地元に戻って働いていたクラスの方から、しばらく離れていた司法書士試験の勉強を再開するという手紙をもらったりと、嬉しい連絡が多くなっています。

このブログを続けていることで、思わぬ形で嬉しいことに巡り合うことが多いです。


 

さて、今回は私が後見人を務める被後見人(以下「本人」という。)の願いを叶えられたことについてです。

私に後見人の依頼があったのは、本人がアルコール依存症で認知症を患い、いわゆる精神病院に入院中のときでした。

その当時、配偶者とはすでに離婚し、子供3人とは絶縁状態。

子供3人のうち、全員が身元引受人を拒み、介護付き有料老人ホーム(以下「施設」という。)への入居も病院への入院も、すべて後見人である私が身元引受人となっています。

 

ただ、本人は後見人が付いて財産管理が自由にできないことには納得できず、施設の生活を免れたいと警察や家裁へ電話をかけ、必死の抵抗を試みていました。木の芽時に施設を脱走したのも、このブログに載せました。

私との仲も、「お前の顔など見たくもない。帰れ。」と面談に行っても罵倒され、険悪になっていました。子供たちに施設入居の報告はしていましたが、誰一人として施設への電話連絡や面会もなかった程です。

施設入居後は、アルコールを摂取できなくなったことや薬の効果もあり、認知機能が信じられない程回復します。本人は自力(施設の職員に連れ添われてですが)で後見取消のための精神科を受診し、後見取消も時間の問題かと思われた矢先、本人に「がん」が見つかりステージ4と診断され入院する事態に。

 

当初は、がんの摘出手術を検討しましたが難しく、放射線治療や化学療法を試みることに。しかし、「がん」は小さくならず、転移していることが判明。そこで、医師や本人の意向を踏まえ、緩和ケアとしてホスピス対応可能な施設への入居を決めることになりました。

後見申立をした子供に連絡をするも、その日が来ても葬式は無用。火葬場へ直送してもらいたいと。ここに至るまで、余程のことがあったのだと、私との関係からも察していました。

ところが、ホスピス対応可能な施設を決めるにあたり、私が病院や施設(退去する施設と入居する施設)へ何度も足を運んでいるうちに、「後見人とは険悪なときもあったけど、本当に感謝している。」と本人は話していたと、病院の医療相談室の担当者が話してくれました。

 

私としてもその気持ちに少しでも応えようと、ダメもとで本人が一番会いたがっている子供に、本人の気持ちと本人は寝ている間にいつ亡くなってもおかしくない状態であることを伝えると、「会います。」と言って会ってくれることになりました。

その2日後、私と一緒に施設を訪問し、本人の願いが叶いました。

絶縁状態だった親子に、少しは役に立てることができ、後見人としてのかかわり方をまた一つ学びました。

 

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