胡弓の先生の奥さんというのが片言の日本語が出来たが、普通に会話する能力はない。だから、私は中国語を話す。天気予報もドラマも全て中国語で、そして会話をするのである。あの時の自分は秀才だった。
大連の時から思っていたが、ホテル住まいするような人間は生の中国を知らず、ぬくぬくとしている、自分とは世界が違う、と思ってハナから馬鹿にしていた。駐在員の奥さんなど、ホテルにパンを買いに行ったらよく見たが、知らんぷりである。
ホテル住まいなんか、中国の生の文化に触れずに、日本にいても変わらない、日本人ばかりで集まって、島国根性で何にも解っていない、というのが私の考え方である。やはり、留学生寮に住み中国人学生と接して、生の中国の文化を勉強するべきだ、というのが私の考え方である。
私は中国人と深く関わりを持ったし、貧乏学生のプライド等から、ホテル住まいの人とは付き合わなかった。友達なんか中国を旅行するのに飛行機を使うのは邪道、とまで言っていた。私はそこまでは徹底しなかった。