日曜日の討論番組で、菅総理大臣が、過去10年、日本は国債残高を増やしながら、経済成長しなかった。自公政権の公共投資に依存した経済政策は失敗であったから、第三の道を行くと発言していた。


本当に日本は過去、経済成長をしなかったのか、単純に2000年と2009年の名目GDPを比較すれば、2000年の名目GDP502兆円、2009年名目GDP474兆円(2000年比▲5.6%)となる。しかし、ピーク時の2007年の名目GDP515兆円(2000年比+2.6%)である。



では、実質GDPではどうか、2000年実質GDP503兆円、2009年実質GDP525兆円(2000年比+4.4%)、ピーク時の2007年の実質GDP560兆円(2000年比+11.3%)である。




では、バブル崩壊後の失われた10年ではどうか、1990年と1999年を比較すると、1990年の名目GDP438兆円、実質GDP445兆円、1999年の名目GDP497兆円(1990年比+13.5%)、実質GDP489兆円(1990年比+9.9%)である。



次に、主要先進国と中国を含めたドル換算の名目GDP2000年と2009年で比較すると、日本は200046674億ドル、20095680億ドル(2000年比+8.6%)、米国は200099951億ドル、2009142562億ドル(2000年比+42.6%)、英国は200014805億ドル、200921836億ドル(2000年比+47.5%)、ドイツは200019058億ドル、200933527億ドル(2000年比+75.9%)、中国は200011984億ドル、200949089億ドル(速報値、2000年比+309.6%)と、日本は主要先進国や中国と比べ、見劣りする。(出典:IMF - World Economic Outlook(20104月版)



しかし、フロー、所謂、会社における損益計算書(P/L)であるGDPの大きさだけで、経済政策の可否を判断出来るのか?ストック、所謂、会社における貸借対照表(B/S)についても検証する必要がある。今回、他国のデータを十分に収集出来ていないので、明確な判断は出来ないが、日本のデータを基に問題提起をさせて頂きたい。GDPが拡大しているからといって、サブプライム危機でアイスランドの様に財政破綻してはしょうがない。政府の借金が増大し、また、同時に家計の金融資産負債差額(家計の金融純資産)が縮小する中で、GDPが拡大してもそれは無駄使いでしかない。



まず、日本の国債残高と名目、実質GDPの関係についてお話したい。1990年度から2009年度までの、国債残高の増加額は527兆円に対し、1990年度比、各年度の名目GDP、実質GDPの増加額の累計額は、1083兆円、1129兆円と、約2倍に達している。しかし、1990年度から1999年度までと、2000年度から2009年度を比較すると、前者の国債残高の増加額176兆円に対し、1990年度比、各年度の名目GDP、実質GDPの増加額の累計額は486兆円、305兆円に対し、後者は国債残高の増加額313兆円に対し、2000年度比、各年度の名目GDP、実質GDPの増加額の累計額は、▲45兆円、244兆円と国の借金が90年代に比べ経済成長に寄与していないことが分かる。



これは、おそらく、2000年代の借金が、利払費や減税や社会保障費といった乗数効果の低い支出に多く使われたことに起因する。


(その2)に続く