●民宿を手伝わせる鬼姑
このお話は、一昨日のブログ(●呪いのチャンネル)の続きです。
従って、一昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12280249252.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
ある主婦の方からの電話相談でした。彼女は電話が通じるやいなや、
「私、姑から呪われているんです!!」と訴えたのだ。彼女は夫と8年前に結婚した。
ご主人と新婚気分だったのは、最初の1年だけだったという。
結婚した翌年には、彼の実家に移り姑との地獄の同居生活が始まった。
姑は、二人が結婚する前から私の事が嫌いでした。と、彼女。
私の家は父が自己破産していて、当時貧乏だったのが気に入らなかったのです。
だから、姑だけは最後までこの結婚には強固に反対していました。
周りの体裁もあり結婚式には出て頂けましたが終始私と目が合う事はありませんでした。
同居が始まると、姑の陰湿な嫌がらせや、いじめ・無視が始まりました。
まず最初に夫の給料から家賃と光熱費を請求され、
毎月10万円をお姑さんに天引きされる事になってしまいました。
しかも、食費のほとんどが私達が買った物が使われるのです。
そして、夫がたまに外で夕食を食べる時などは、私に当て付けと言わんばかりに、
姑だけ極上ステーキを食べたりします。また、嫌がらせだと思うのですが、
姑の友人達を頻繁に家に呼び、全員分の昼食を作らされたり、
私が楽しみにしていたケーキを、その友人が間違って食べた時もあったという。
そして、私が妊娠している時で、しんどかった時でも、昔はそのくらいで、
家事を休んだ事は無かったといい、私が入院する前日まで、家事をやらされました。
しかも、陰で夫に子供をおろさせて離婚する様に言っていた事もあるのです。
そんな姑に膵臓ガンが見つかったのは、2年前でした。
姑は私は病院に来なくて言い、夫には病院に子供を連れてくる様に言っていて、
結局、私だけ最後まで病院に行く事はありませんでした。
姑は入院中、ある事無い事お見舞いに来た友人達に言っていた様で、
「病気になったのは、全て不出来な嫁が来たせいだ!」「ダメ嫁が、私を病気にした!」
「嫁を死んでも怨んでやる。呪ってやる!」と友人達に言っていた様なのです。
私は正直、姑が亡くなってホッとしました。これでやっと幸せに成れると思いました。
しかし、甘かったのです。それは姑が亡くなって丁度2週間が過ぎた日の朝でした。
彼女が新聞を取りに行くと、ポストに1通の手紙が入っていたのです。
なんとそれは、死んだはずの姑からの手紙だったのです。内容は、
○○さんへ(嫁の名前)
私はあなたが知っている様に、息子と結婚する前からあなたの事が嫌いでした。
そして、やはりあんたは疫病神だったのです。
私はあなたのせいで病気になってしまい、無念な死を遂げましたが、
今こうして、あの世からあなたを呪う事にしました。
今日から息子と離婚するまで、これから一生あなたを呪い続けます。
あの世から。 ○○(姑の名前)
その不気味な呪いの手紙は、死んだ姑からのあの世からの手紙だったのです。
そして、この日を境にして、家でも不思議な現象が起きる様になったといいます。
彼女が昼間独りで家に居ると、亡くなった姑がよく過ごしていた2階の寝室や、
姑の位牌がある1階の仏壇がある部屋から、ラップ音がするというのです。
そして、時々姑の声みたいなものも聞こえる時があるといいます。
私は夫と離婚しない限り、亡き姑から呪われ続けるしか無いのでしょうか?
そんな相談だったのです。この相談を受けて、私が一番に気になったのは、
相談者が、一方的にやられっ放しだという事である。何一つ姑に悪い事をしていない。
つまり、姑の一方的な怨みだというのだ。私の経験上、
そして今までの霊現象などを聞いても、一方的な怨みというのは、威力が弱い。
こういう場合は、ただ無視して気にしない事である。
気にして弱気になっていると、相手も調子に乗って来るものである。
そこで私が彼女にアドバイスしたのは、とにかく貴方は姑に対して、
何も悪い事はしていないのだから、呪われても、そう長くは続きません。
だから、気にしないで、手紙は塩をかけてから燃やし、
今日から毎朝仏壇に一杯とお水とお花を供え、2本のお線香を点し、
「○○さん(姑)、どうか成仏して下さい。」と供養の言葉を言ってあげて下さい。
と言いました。彼女も、それを聞いて少し安心したのか、そうしてみます。
と言って電話を切られた。しかし、事はそう簡単には終わらなかったのである。
2週間後、再び彼女から電話があり、
一応手紙は燃やして、毎朝供養もしたものの、
仏壇の前に行くと姑の写真が怖くて、仏壇の部屋に居るもの3分だという。
そして前よりも、姑の写真の顔がより怖くなった感じがするのだという。
そして、ラップ音の数も多くなった気がするというのだ。
彼女は、完全にあの呪いの手紙によって心が委縮されていた。
普通、呪いの効力を強める目的で、呪っているターゲットに対して、
貴方を呪っていますよ。と今回の様にワザと教える事がある。
これは、呪う気持ちと、呪われいると思う気持ちがあると、
呪いのチャンネルが形成されてしまうからである。
よい例をあげれば、
フジテレビは、多くの人にフジテレビの電波を飛ばして、沢山の人に見てもらいたい。
そして、フジテレビを見たいと言う人は、フジテレビの8番にチャンネルを合わせる。
すると、そこで見せたい側と見たい側のチャンネルが合って伝わるのである。
だから、今の相談者の状態は、
あの呪いの手紙によって、
相談者が異常に怖がり呪いのチャンネルが合ってしまっている状態と言えよう。
そこで、私はこの状態を打破する為に思い切った手に出る事にした。
彼女は昼間に鳴るというラップ音もいくつか録音しているというので、
それを聞かせてもらう事にしたのだ。
さっそく聞かせてもらうと、
確かに、2階からしている様なミシッ!とか、ボンという音、
仏壇の部屋からしている様な、ピシッ!という風な音が録音されていた。
ただ、姑の声というよりも雑音といった方がいい聞き取れないものだった。
私はそれをじっくり聞いた後、彼女にこう言ったのである。
「確かに姑さんの、声らしきものが聞こえますね。」
「そうでしょ。」と彼女。
「ただ、おかしいんですよね。
貴方に謝っている感じに聞こえるんです。」
「えっ、どういうことですか?」
「今まで、貴方をいじめてゴメンなさい。みたいな感じで、
貴方に謝っている感じを強く受けるんです。」
「えっ、そんな・・・」
「お姑さんが亡くなってから、
貴方の家では何も不幸な出来事は起きてないでしょう?」
(起きていれば彼女は今までに言ってるはずなので)
「はい。確かに。」
「お姑さんは、貴方を呪ってなんかいないと思います。
むしろ、今まで貴方に辛い思いをさせてゴメンなさい。と謝っているみたいです。」
「でも、呪いの手紙が来ました。」
この質問に対しても、私なりの考えがありました。
「あの手紙は、お姑さんがあの世から出したものではありません。」と断言しました。
「えっ」
「あの手紙は確かにお姑さんが書いたものですが、亡くなる前に書いたのです。
そして、亡くなった2週間後、お姑さんの友人が夜、ポストに入れたのです。」
ここは私の推察ですが、たぶんそうだと思います。こういう場合、
相談者にも自信を持ってもらう為に、私が見ていたかの様に断言して言います。
「確かにお姑さんは、生前貴方を嫌っていました。
でもね。
人は死ぬ前と、死んだ後では、まったく変わるものですよ。
人は亡くなると、誠実になり、生前悪かった自分の態度を悔い改めるものです。
だから、貴方に随分悪い事をしたと反省して、貴方に謝りたくなったのだと思います。
そんな姑が謝るたびに、ラップ音が鳴ったり、声が聞こえたりします。
もし、家でラップ音が鳴ったら、それはお姑さんが貴方に謝っているので、
貴方もラップ音を聞いたら、
『もう私は気にしていませんよ。どうか安心して成仏なさって下さいね。』
と言ってあげてはどうでしょうか。」
人は亡くなると、誠実な心になり、生前した意地悪を後悔する事が多いのは確かです。
でも、彼女のお姑さんが、そうだという確信はありませんでした。
むしろ状況からしたら、お姑さんは彼女を呪っている可能性の方が強かったでしょう。
だから、私が言ったのはウソというか、一か八かのハッタリでした。
でも、彼女は呪いのチャンネルにスッポリはまっていたので、
呪う側と、呪われる側のチャンネルをずらす必要があったのです。
つまり、お姑さんを必要以上に恐れる気持ちを、和らげる必要があったのです。
ラップ音は、お姑さんが呪っているのではなく、貴方に謝っているのだと。
そう思う事で、恐怖感が無くなり、呪いのチャンネルが合わなくなるのです。
幸い、この作戦は功を奏し、
彼女は、お姑さんが謝っているのだと思う様になり、家でラップ音が鳴るたびに、
『もう私は気にしていませんよ。どうか安心して成仏なさって下さいね。』
と言ってあげてそうです。
すると、段々とラップ音や声はしなくなっていったとの事でした。
最後に、上の相談とは真逆の嫁姑のケースがあったので、
その話をして、今日は終わりに致しましょう。
ここ千葉県の南房総市には沢山のホテルや民宿があるのですが、
その民宿の1つに、東京から嫁いだ方がいらっしゃいました。
まだ彼女(恵美さん仮名)が東京に住んで居る時に、私のお客様だった方です。
彼女の旦那さんは漁師と魚料理の開発をやっている方で、
同じ敷地にある実家は民宿をやっていました。
彼女は東京育ちだったので、魚をさばいた事なんかも無いし、
ファーストフードでアルバイトをした事はありましたが、
不器用だし、魚嫌いだから民宿を手伝って欲しいと言われても出来ないと、
彼に交際していた時からずっと言っていたそうです。
だから、彼も結婚する時は、
民宿は御袋と親父とアルバイトの主婦で十分やっているから、
お前を民宿でこき使う事は、絶対無いから大丈夫だと言われて結婚したそうです。
二人が結婚後、直ぐに子供も産まれ、とても幸せだったといいます。
ところが、結婚して5年が過ぎた時でした。
民宿で働いていた夫の母親が、腕を怪我したという事で、
夏だけいいから手伝って欲しいと言われたのです。
結婚前にあれだけ民宿を手伝わせる事は無いと言われていたのにです。
断る事も出来たのですが、彼女は断らなかったといいます。
というのは、子育てしている時に、色々聞いたりしてお世話になったので、
少しぐらいならと、夏場の1ヶ月位だけなら手伝う事を承諾したそうです。
しかし、いざ手伝い始めると、それは想像をはるかに超えるキツさだったといいます。
まず、毎朝5時に起きて朝食の支度を強制されたのです。
しかも私が苦手だった魚も、全ての種類をさばけるまで、
何度も何度もやらされて、手を擦りむいたりもしました。
味噌汁の作り方も、ウチはこうだからと、何度も何度もやり直しされ、
紙に書こうとすると、紙に書くと覚えられないから、体で覚えてと言われ、
豆腐の切り方が悪いとか、魚の盛り付けが悪いとか、とにかく細かいのです。
この5年間、ずっと優しいお姑さんだと思っていた私は、騙されていたのです。
料理だけなら、まだしも、風呂の掃除や客室の掃除もやらされるのです。
その他にも、客への挨拶から、経理まで残業してやらされました。
毎朝5時から夜中の11時まで、食事時間は1時間のみで、
ほぼ奴隷状態なのです。
夫の母親とはいえ、もう鬼姑としか思えなくなりました。
他のアルバイトの主婦達はみな5時にはあがるのに、私だけは、
タダで働かせられると思って、夜中の11時までこき使うのです。
それに私気がついたんですが、当初姑が腕を怪我したからという事でしたが、
ウソかもしれません。見てると平気で素早い包丁さばきをしていたり、
私よりも早く布団をたたんだりと、腕が痛いとは到底思えないのです。
私はマンマと騙されたと思いました。
鬼姑は、タダ働きさせられる私を使って、ただお金を浮かせてラクしたかったのです。
それでも私は一旦引き受けたからには、なんとか1ヵ月は頑張りました。
でももうそれが限界です。
夫や鬼姑に黙って、私は5歳の息子を連れて、実家に一時避難しました。
私は母に、もし夫や姑から電話が来ても取り次がないでと言いました。
それから何度か電話があったみたいでしたが、無視しました。
結婚当時の約束を破った夫にも、多少頭に来ていたんです。
1週間ぐらいした頃に、あの鬼姑から手紙が来ましたが、
書いてある事は、だいたい想像出来たので開けませんでした。
多分、あのくらいで逃げ出すようじゃ、嫁失格とでも書いてあるのでしょう。
しかし、それから10日ほど過ぎた頃、
思わぬ出来事が起きたのです。
あの鬼姑が入院したというのです。
私は、その電話を受けた後、急いで姑からの手紙を開けて読みました。
すると、そこには、
恵美さん。
貴方には、色々な事を急にさせてしまってゴメンなさいね。
実は、私はお医者さんから余命半年って言われてしまったの。
だから、つい焦って、貴方に辛い思いをさせてしまってゴメンなさい。
私が間違っていたわ。
私バカだから、私が貴方に残してあげられるのはこんな事しか無かったの。
夫と息子の為に、民宿を残したいと思って、私が知っている事をなんとか
貴方に体で覚えてもらおう思ったんだけど、貴方を困らせただけでしたね。
どうか、民宿の事は忘れて、よかったら息子の元に戻って来てあげて下さい。
息子と孫を、よろしくお願いしますね。
貴方は、とっても、とっても良く出来たお嫁さんでしたよ。
今まで、ありがとね。
私は直ぐに病院に駆け付けました。
そして、私の口から自然と、
「お義母さん、民宿の事は心配しないでね。」という言葉が出ていたのです。
END