●気持ち悪いトイレ




電話相談の場合、

基本、相談者がいるその場所に行ってあげられる事は出来ない。


従って、相談者に今何が起きているのか、

把握してから、電話で対処しなければならない。




それは女性からの電話相談だった。





第一声はうちのトイレが気持ち悪いんです。」だった。

彼女は、現在一人暮らしで、アパートの2階に住んでいるという。

そして、それは賃貸アパートだという。


 

賃貸アパートと聞いて、一番先に気になるのは、


多分読者も、私も同じ事だろう。




それは、前の住人がトイレで自殺でもしたのではないかという、

事故物件の可能性である。






そこで、彼女に、

「その部屋に引っ越してきて、どの位ですか?」と聞いてみた。



すると、1年半前に引っ越して来たという。






「トイレが今回の様に気持ち悪くなったのは、今回が初めてですか?」

「はい。初めてです。」






こういう場合、前の住人の問題では無い場合が多い。

つまり、事故物件関連では無いだろう。

事故物件で、そのトイレで自殺でもして地縛霊がいるという場合、

まず1年半たってから異変を感じるというのは、遅すぎる。



普通は、その部屋に引っ越してから1ヵ月以内に異変を感じるはずである。






また、そのトイレが気持ち悪いという心当たりも特に無いという。


とにかく3日前から、急に使う度に気持ちが悪いのだという。





 

こういう場合、「気持ち悪い」にも色々ある。


だから、私はいつもどんな風に気持ち悪いのか聞く事にしている。

例えば、幽霊が出たとか、霊の声がするとか、

トイレの中から声がするとか、トイレの中がガタガタ音がするとか、

動物の泣き声がするとか、気持ち悪いにも色々あるからだ。





そこで、彼女に「どんな風に気持ち悪いんですか?」と聞いてみた。




すると、3日前からトイレに入ると、

背筋がゾクッっとする様になったというのだ。

それはまるで何かトイレにいるかの様だと言う。





ただ、幽霊を見たとか、声がしたという具体例は無いという。

夜中にトイレに行く時は、部屋の明かりを全部つけ、

トイレの隣にある洗面所の明かりもつけて、ドアを閉めずにトイレに入ると言う。



「背筋がゾクッとする時、寒くなりますか?

 それとも感じないか、温かいか、その時の感じはどうですか?」



 

「ゾクッとするだけで、他は特に感じません。」と彼女。




また、特別悪いニオイがしたという事も無いという。






背筋がゾクッとする時、確かに霊が側にいるという時もある。

ただ、それが悪い霊とは限らない。




良い霊だったり、守護霊であれば、全然問題無い訳だし、

むしろ、守ってくれていたり、見守りに来てくれている場合もある。



ただ、背筋がゾクッとすると同時に寒さもやって来たなら、

悪い霊という事も考えなければならない。




また、動物霊が居たのなら、動物のニオイがしたり、

悪霊にもクサイ臭いを漂う事もある。





だから、彼女の場合、いたとしても悪いものでは無いのかもしれない。


また、特に3日前にゾクッとした後、

体調が悪くなったという事も無いという。



悪いものの場合、同時に体調が悪くなる事がある。

 


電話相談の場合、

どうしても、その場のイメージが掴みにくいので、

彼女の部屋の間取りを聞いてみた。




2階の真ん中の部屋で、1Kだという。

玄関を入ると、直ぐ前に台所があり、台所の先に8.7帖の洋間があり、

その先にベランダがあるという。

つまり、玄関、台所、洋間、ベランダが一直線上にある。



問題のトイレは何処にあるかというと、ちょっと奥まった所にあるという。

普通は玄関から台所に行くまでの短い廊下に、面していたりする所だが、

彼女の部屋には廊下が無いという。

台所に洗面所がドア一つで隣り合っていて、

トイレは洗面所に入った右隣りのドアを開けるとトイレで、

洗面所の左隣りが風呂になっているという。





念の為に、トイレの写真をインターネット経由で見せてもらった。




特に変わった所も無い、普通の狭いトイレである。

マンションだから仕方が無いが、窓が無い閉鎖空間である。



ただ、彼女のトイレの写真を見て、1つ気になった事があった。





それは、トイレの便器のフタが開いているのだ


「便器のフタが開いているのは、写真を撮る為に開けたの?

 それともいつも開いている?」




すると、いつも開いていて、フタは滅多に閉めないという。



それを聞いて、私はちょっと気持ちの悪い事を彼女に聞いてみた。

それは、

「ここ半年位で、貴方のアパートで、誰かトイレで自殺したとか、

 トイレで亡くなったという事件は聞いた事ある?」




「聞いた事、無いです。」と彼女。




まぁ、これ以上彼女を怖がらせてもいけないと思い、

それ以上の事は追及しなかった。




私は、以前からトイレの便器のフタは閉めた方がいいと、

よく口にした事があるのだが、


実はマンションやアパートの場合、特にそれを勧めている。





 

ちょっと怖い話をしてしまうと、

 

以前、アパートの3階の部屋の住人がトイレで殺されたと言う事件があった。






するとその2ヵ月後に、

その真下の部屋のトイレにその住人の霊が現れたという事があったのだ。



アパートやマンションなどは、他の部屋と下水が通じている事がある。

霊は下水の水を伝わって、トイレからトイレに現われたのだ。




ただ、ちゃんと普段から便器のフタをしていると、来にくいのである。

普段からトイレを掃除しないくて、カビもあり、便器のフタもしないと、


事件があった部屋から、下水を通じて移動して来て居つく事があるのである。





だから、もし貴方がアパートやマンションに住んでいて、

他の部屋のトイレで事件があったなら、少なくてもそれから1年は、

便器のフタは閉めておく事をお勧めしたい。





まぁ、普段からフタは閉めているという人は心配ないが。







一応彼女には、念の為に、こんなアドバイスをした。

■小皿に小さい盛り塩を「霊が寄り付かない様に」と念じながら1週間置く。

■聞くと冷蔵庫に使わないレモンがあるというので、それを半分に切って、

気持ちが悪いと感じた日から3日間小皿に半分を乗せて置いておく。

(カボスや、ゆずでもよい。無い場合はコップ半分のお酢でも良い)

■何か好きな風景の写真を飾る。

■霊がいそうだと思う場所に、赤いバラの造花を1本飾る。

■ゾクッとした日は、必ず風呂に入る。(シャワー不可)

■もちろん便器のフタはいつも閉めて置く。

 

その後、背筋がゾクッとする様な事はなくなったという。


END