今シーズン、マエケンとは3度 対決して 2勝1敗、そう考えれば上出来である。確かに、前回ノックアウトしているだけに 「今回も」という希望はあったが 「さすがマエケン」というところだろう。

とはいえ、悔やまれるのは「お手上げ」のピッチングをされたわけではないということだ。展開が マエケン有利に働いたのだ。昨夜は審判も 低めを取る審判だった。もちろん、藤浪も 低めを取って貰っていたが 彼の場合はきっちりそこに球を投げることが出来なかった。 その点、マエケンは 審判の特長を上手く利用して球を集められた。

それだけのことだ。審判も 毎試合 違う。次も同じ主審なら ともかく 違う主審なら 充分に打ち崩せる筈だ。

藤浪も4失点されるほど投球内容が悪かったわけではない。ボール自体は悪くなかった。ただ、松山に出鼻をくじかれてしまった。1打席目の初球のストレートといい、2打席目の4球目のフォークボールといい 上手く打たれた。膝の故障で長期離脱していた選手とは思えぬ 非凡なバッティングセンスをまざまざと見せられた。次は 藤浪がやり返したらいい。

今後、超積極型の打者を打ち取る為に どのような配球がいいのか、また その心理を利用してボール球をどこに投げるか、色々 研究して 次回の対戦でリベンジしたらいいのだ。同じ相手に何度も ヤられるわけにはいかない。

そういう意味で参考になるのが 昨夜のマエケンだ。初球、ボールになるケースも多いのだが 特筆すべきはマエケンが 3球 投げた時に 1ボール2ストライクになるケースが多いということだ。どんな入り方をしても 3球 投げた時 1-2というカウントになっているのだ。ここが マエケンと藤浪の違いである。

初球がボールになれば たちまち打者が絶対有利になる。そこから 2つ ストライクを取るということは よっぽど 精度の良いボールを投げないと 1-2というカウントにはできない。

プロ野球には色んなタイプのバッターがいるわけで それぞれに違う 長所と短所を持つ。また、1ボールというカウントから 打者心理として 「もったいないから 振らずにやめとく」というコースと球種がそれぞれにある。カウントが有利なので 積極的に打ちに行くのだけど まあまあのコースに あまり得意でない球種が来ると「やめとこう」という気持ちになり バットを振るのを止めるのだ。

打者というのは 往々にして1-0というカウントから まあまあのコースにあまり得意でない球種に対し カウント有利という勢いに我慢できず、手を出し、はからずも凡打してしまう失敗経験を誰もがもっている。

その経験から「やめとこう」という心理になってしまうのだ。これが 1-0というカウントでのよくある打者心理だ。マエケンという投手はこうした心理を付くのが非常に上手い。

マエケンも藤浪も 球種が豊富な投手である。二人とも利き手の方に曲がる変化球と 利き手の反対方向に曲がる変化球を持っている。ふつう、打者は 利き手の方か逆か どちらかに曲がる変化球が苦手なものだ。これはすなわち どちらに 曲がる変化球も苦にしない打者は いないということだ。

マエケンは打者心理とそうした相手打者の苦手な変化球を理解し、上手く利用し、結果 1-2とストライク先行カウントにしてしまうのだ。この卓越したマエケンの投球術を参考にして 藤浪には次回 頑張って欲しい。