51本目(7月5日鑑賞)

映画館で耳をすます
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監督・脚本・編集:河瀬直美/原作:ドリアン助川/主題歌:秦基博
出演:樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅/水野美紀/太賀/兼松若人/浅田美代子/市原悦子

千太郎(永瀬正敏)は、店長を務めるどら焼き屋「どら春」で今日も学校帰りの中学生相手にどら焼きを焼いている。常連の一人ワカナ(内田伽羅)が店内で食べていると店の外に老女(樹木希林)が立っているのに気づく。千太郎が話しかけると、徳江と名乗る老女はどら春で働きたいという。

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音楽は最小限だから、鳥のさえずりで朝とわかる。通過する車の走行音で店の前が車道だとわかる。階段を上る音で新しいアパートではないことがわかる。

効果音は3Dメガネなしでも三重、四重に物語に厚みを加える。この映画は聞き耳を立てよう。そうすると、風の声、カナリアの声が聴こえる。小豆の話し声も聴こえる。

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四季の風景を切り取った画も美麗。1カット1カット、一年かけて撮った画に出演者もはまる。その丁寧な仕事ぶりに頭が下がる。

画について評価の高い河瀬監督。実は初見。アクション大作は大スクリーン大音響の劇場へ…などとhiroもよく言う。本作を観て思う。劇場で観るべきはアクション大作だけとは限らない。本作、音にしても画にしても劇場鑑賞がオススメ…時すでに遅し、か。

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おみおくりの作法 」は一度見逃した作品。AEONの期間限定上映で復活。「国際市場で逢いましょう 」はAEONのラストチャンスを逃した後、ヒューマントラストにて上映最終週で滑り込み鑑賞。本作「おみおくり~」でたまったAEONポイントで上映最終週に滑り込み。

永瀬正敏、ちゃんと観たのは初めてかも。抑えが効いててとても良い。希林さんはいつでもマックスの神演技。円熟とはこういうこと。その孫娘内田伽羅とも共演。伽羅ちゃんは、希林おばあちゃんの勧めで本作オーディションに応募したとか。希林さん、永瀬さんと3トップの重圧クリアの大仕事。

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初の河瀬作品、音のこと画のことでひたすら感じ入った本作。ドリアンさんの原作も多分良いのだろう。ハンセン病(ライ)のこと、恥ずかしながらほとんど知らなかった。病気のこと、隔離のこと。隔離が終わったのが90年代だということに驚愕した。

差別のない国でよかった。
…これが幻想だったこと、自分の無知を恥じる。恥じるのだけれど、知らないよりは何倍もまし。知らなかったことに気付かせてくれる映画という媒体に感謝。



hiroでした。

ハンセン病(らい)についての参考


脚本9 映像10 音響10 配役9 他(ロケ)7

45/50