31本目(6月10日鑑賞)


ウェス・マジックのタネは画と音楽と。

gb1 グランド・ブダペスト・ホテル

監督・脚本:ウェス・アンダーソン

音楽:アレクサッドル・デスプラ

衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ

出演:レイフ・ファインズ/トニー・レヴォロリ/F・マーレイ・エイブラハム/マチュー・アマルリック/エイドリアン・ブロディ/ウィレム・デフォー/ジェフ・ゴールドブラム/ハーヴェイ・カイテル/ジュード・ロウ/ビル・マーレイ/エドワード・ノートン/シアーシャ・ローナン/ジェイソン・シュワルツマン/レア・セドゥ/ティルダ・スウィントン/トム・ウィルキンソン/オーウェン・ウィルソン


国民的作家(トム・ウィルキンソン/ジュード・ロウ)が、小説「グランド・ブダペスト・ホテル」を書いたいきさつを語り出す。

1932年、カリスマ的支配人グスタヴH(レイフ・ファイン)の采配で、グランド・ブダペスト・ホテルは隆盛期を迎えていた。上客の富豪マダムD(ティルダ・スウィントン)の死により、彼女の拠りどころであったグスタヴに名画「少年と林檎」の相続が発表される。新米ベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と共に現地に赴いたグスタヴは、遺産の総取りを目論むマダムの息子ドミトリー(エイドリアン・ブロディ)に雇われたジョブリング(ウィレム・デフォー)に命を狙われる。関係者が次々と姿を消すなか、グスタヴもマダムD殺害の嫌疑をかけられ警察に捕まり、拘置所に収容される。

gb2

カリスマ支配人にレイフ・ファイン


ウェス・アンダーソンは「ムーンライズ・キングダム 」のみ鑑賞。これがかなりツボ。ノスタルジックで絵本から切り抜いたような画が特徴の最たるもの。田舎町の大人の世界があり、子供の世界があり、その接点で起こる騒動がまた可愛らしかったり。

その監督の新作。レギュラーの顔ぶれに、新顔の有名俳優。予告からして、なんとも楽し気。なもんで、かなり楽しみに公開を待った。


gb3

ティルダはウェス作品必須。


期待が過ぎると、得てして「あれ?」となる。予告編が良すぎるのも、不安だったりする。結論から言えば、期待通り。ホテルが舞台のアンサンブルかと思ったが、そこはハズレ。(笑)


前作より上映館も飛躍的に増え、ウェスさん、なにかをお持ちになっている模様。「風が吹いている」ともいう。


gb4

シンメトリーなセットと画割。


各ブロガーさん絶賛の本作。どなたの記事を拝見しても参考になることばかり。もはやhiroの出番なし。

上の写真の「シンメトリー」。これも他のブロガーさんに教えていただいた。なるほどと感嘆。人物を真ん中に配して右と左が似たような絵柄。これが随所に出てくる。気がつけばTOP画像のホテルからしてそう。

いつもコメントいただく fridaywalts さん、ありがとう。

その熱い記事はコチラ 。hiroの記事より伝わるものがある。

gb6

これもシンメトリー。

雪の追跡シーンはもう抱腹絶倒。「デフォーさんったら、お歳なのにスキーがお上手だこと」などとは誰も思うまい。CGどころかアニメ。「テルマエロマエ 」で水に流されるルシウスを思い出した。(笑)そんなチープさも、ウェス監督の真骨頂。


gb7

こんなかわいい絵柄もやはり対照。


hiroは映画音楽フェチ。画の賞賛はみなさんの記事の方がタメになる。なので、音楽を少しだけ触れておこう。あれはマンドリン? BGMで流れる、弦を爪弾く「っんちゃ、っんちゃ」な音。かぶさるナレーション。ピタッと止むと映像も止まる。

音楽ありきの映像。映像ありきの音楽。有名アーティストのボーカル曲もいいけど、このシーンを作るために拵えた映像と音楽、これがまたたまらなく好き。これがあるからサントラ好きはやめられない。冷めた高級仕出し弁当よりもcoco壱番館のあったかカレーの方がいいのと同じ感覚…あれ?…違うか?


まとめ。

名声を得て、カリスマとなったグスタヴも実は孤独。ゼロの登場が、弟子であり、息子であり、友であり。なんとも嬉しげで、哀しげで。

警察や囚人はもちろん、命を狙う殺し屋にさえも、毅然と立ち向かい、時にユーモアさえも感じたグスタヴの姿。ところが、軍人と見るやそれまで見せなかった激昂。コメディ映画の裏に、幾ばくかの監督の「怒り」を感じたのは、気のせいかな。

「ムーンライズ…」よりもスケールアップ。ドタバタっぷりも、笑いも増量…なのですが。「ムーンライズ…」よりも、整っていて、洗練されていた感じ。展開もやや忙しい。期待通りだったけど、期待を大きく超えることはなかったかな。のっびりゆったり観れた「ムーンライズ…」がhiroは好き。




hiroでした。


脚本7 映像8 音響6 配役8 他(音楽)8

37/50