12本目(3月10日鑑賞)


ええっと…、ちょっと乗っかれなかったかな。

観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-pb1

世界にひとつのプレイブック


監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル

製作:ウルース・コーエン/ドナ・ジグリオッティ/ジョナサン・ゴードン

制作総指揮:ジョージ・パラ/ボブ・ワインスタイン/ハーヴェイ・ワインスタイン/ブラッドリー・クーパー

音楽:ダニー・エルフマン

撮影:マサノブ・タカヤナギ

編集:ジェイ・キャシディ

美術:ジュディ・ベッカー

衣装:マーク・ブリッジス

原作:マシュー・クイック

出演:ブラッドリー・クーパー/ジェニファー・ローレンス/ロバート・デ・ニーロ/ジャッキー・ウィーヴァー/クリス・タッカー/アヌバム・カー/シェー・ウィガム/ジュリア・スタイルズ/ブレア・ビー


妻の浮気現場を目の当たりにしてキレて以来、精神の安定を失ったパット(ブラッドリー・クーパー)は、病院での精神治療を受け、定期的なセラピーを受ける条件で退院する。

しかし、パットを待ち受けていたのは、妻が家を売却して出て行き、妻への接近禁止令が出ていて、職を失ったという、過酷な現実。

それでもパットはくじけない。暴力をやめ、ダイエットに成功すれば、必ず妻は戻ってくると信じて疑わない。

ある日、友人夫婦に夕食に招かれたパッドは、そこで友人の義理の妹だというティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。

若くして夫を亡くしたティファニーの挑発的な態度に引き気味のパットだったが、境遇の恵まれない彼女に優しく接することで、妻の心象を良くしようとする。

奔放なティファニーに振り回され続けたパットだったが、ティファニーの「過去を受け入れたら?」の言葉に、心が揺り動かされる。

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クーパー&ローレンス。

今年公開の「Serena」でも共演しているらしい。


アカデミーに絡んでくる作品で、原作もベストセラー。これは単なるラブ・コメじゃないな、という予感。ローレンスとは「ハンガーゲーム 」の縁もある。

という理由で観に行ったんだけど、正直、登場人物の暴走に乗り遅れ、そのまま追いつくことなく終幕。

そんな感じだったな。

●その1 パットの暴走

治療は受けるが薬は飲まない。スティービー・ワンダーの曲にパニくる(これはいわゆるパニック障害か。笑えない)。ゴミ袋をかぶって走る。夜中にヘミングウェイについて悪態をつく。いつか妻は戻ってきて、職場復帰も果たせると信じている。

これはかなり病んでいる。笑って映画を観ていられる状況ではない。笑って観れないので、冒頭から置いてけぼりをくらった。

●その2 父ちゃんの暴走

こちらも暴力沙汰でスタジアムの出入り禁止となった筋金入り。この親にしてこの子あり。ノミ屋(賭けごとの予想をして報酬を受ける)稼業で生計を立てる。お前が一緒に観ていないから賭けに負ける、と息子に切れる。息子のダンスに財産を賭ける。

名優デ・ニーロが演じる大人の品格ゼロのダメおやじ。「愛すべきダメおやじ」と笑って許す気にはなれなかったな~。

●その3 ティファニーの暴走

ティファニーもまた数々の武勇伝を持っているんだけど、前述の暴走親子に比べればわかりやすく、筋が通っている。会社の全男性社員と寝ても、自分の暴挙を人のせいにすることなく、すべてを受け入れ、自分を愛している。

未読のため原作での扱いはわからないけど、ティファニーが前の二人を凌駕する暴走っぷりを見せれば、全体のバランスが取れたんだろうか。


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暴走する夫と息子に囲まれた

母ちゃんもまたクレイジー


何ひとつ共感できないまま放置され、突っ走られた。

前述のようにティファニーが半端に善人だったのが、救われたのか、混乱を招いたのか。

とにかくパットのファミリーの人によりかかってばかりの依存体質についていけなかった。


ただ、パンフネタとして、監督のコメントの「うつ病の息子のために作った」にビックリ。

おまえのように病んでいる人はたくさんいるんだと。

驚いたことに、その息子さん、この作品に出演しているんです。

パットに取材を申し入れる近所の子がそう。

オスカー監督の家庭にもいろいろあるんだなと、同乗してしまった一方で、

笑えない状況を無理にでも笑いに仕立てたかったその心情も、切なく感じてしまった。


ああ、あとね、浮気現場を押さえて暴力をふるったあの状況でさ、

強制入院させられ(病気ならしょうがないけどね)、

家は勝手に売られ、職を失った上に、

元妻に近づいてはいけないという命令。

離婚訴訟において、どんだけ女性に有利なんだよ?


ゼロ・ダーク・サーティ 」での暗殺の正当化に憤然とし、

フライト 」で整備業者の落ち度への追及のなさに鬱々とし…。

似たタイミングでどれもこれも同じようなことでねえ。まったく。



hiroでした。