赤木さんと話したいみたいね。 | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

赤木さんと話したいみたいね。

 今の「論座」の浜井浩一先生の論文がおもしろかったので紹介しようと思っていたのですが、その前に鈴木謙介の論考(?)が違った意味でおもしろかったので紹介しようと思います。腰が引けてる割には駄々っ子みたいな文章だなあと思ったので。
 まとめると「社会の変化で若者の意識が変わっている。それを「保守化」傾向といってみよう。韓国も小泉を礼賛する若者がいて、おんなじかんじ。赤木さんみたいに“とにかく雇用を創出してくれる政策”と言い返す様。“ポスト”の世代は景気がいいので、赤木さんのような世代の不遇感は行き場を失ってしまう・・と」
 ・・で最終的にはこうまとめます。
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 いかに現代の若者が置かれた雇用環境、日本社会に広がる貧困が厳しいものであるかについて調査し、明らかにすることは重要である。が、それでは「間に合わない」人々が現にいるのだ。離職動向の調査ともなれば、最低でも3年はかかる。新しい問題を実証的に取り扱うには、それなりの予備調査を必要になるだろう。
 だからこそ、いま、すぐ、ここでできることとして、「ロスト」も「ポスト」もなく(元・若者を含めた)若い世代が、自らの実感や実存を開示し、別の誰かに接続していくことが必要なのではないか。そうして想像力の壁を打ち破ることができれば、ある時期を境に変わってしまった環境の中で、私たちが共有しているリスクに対処しうる制度や社会についての理念を持つことができるのではないか。
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 離職動向の調査なんていくらでもあると思うんですが、まーなんか誰でもいえるような「話し合いましょう、想像力です」みたいな結語に、怒るというよりも笑ってしまったんですが、結果的に赤木さん(世代)は、間に合わないので語り合うことでなぐさめあって、どういう社会がいいか理念共有しましょうよ、みんな仲良くしようよって話なんですかね。なぜに、そんなゆるゆるなんでしょうかね。鈴木謙介のいうポスト世代だって、非正規が多いんですよ。だいだいほかの人に接続するならブログやってらいいんじゃないかと思うし、鈴木謙介に今さらいわれなくても、ブログに書き綴ってたことで赤木さんデビューしたんじゃないかしら。それにしても内容のない論考(?)でした。

 同時期に出された週刊『東洋経済』の風間直樹さんらが執筆している『雇用漂流』特集ですが、おもしろかったですね。さすが詳しい。非正規雇用の現状、日雇い派遣で問題化したグッドウィルの軌跡、日亜化学の偽装請負の実態、偽装管理職の問題、中国の労働契約法で変わったこと、急拡大する派遣市場のメーカー業界マップ、外資攻勢の話、派遣法改正にかかわる労使の論点整理などなど、読み応えばっちり。
 鈴木謙介は、若者に「進歩的イデオロギーへの不信」があること、つまり左派への不信を懸念されてるようですが、あなたのような左派が「間に合わないんなら、話し合いましょう」とか能天気なことをいうから信頼が置けなくなるんですよ(別に左派をかばう気はないんですが、ちゃんと書いてる人もいるので)。
 『東洋経済』から抜粋しますね。
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 戦後制定された職業安定法では、派遣など労働供給事業の厳格な禁止規定が導入された。中間搾取や強制労働のおそれがあることに加え、とりわけ、戦前の封建的な身分関係における労働ボスの跋扈を排除することがGHQの方針だった。その方針は長らく堅持され、1966年にマンパワー・ジャパンが業務請負の形態をとって設立された折にも、当時の労働省は実態調査のあと、職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)違反で同社を刑事告発することを法務省、警察庁と協議したという。(略)
 当時の状況をよく知るテンプスタッフの篠原欣子社長も「違反だ違反だと再三注意され、最後は刑務所へ入る覚悟もできていた」と語る。
 それが、85年に労働者派遣法が制定されるやいなや、その後は規制緩和の一途をたどった。(略)
 規制緩和の流れを一環して後押ししてきたのが、内閣府の規制改革会議だ。規制改革委員会としてスタートし、01年に総合規制改革会議に格上げされた。労働分野に関しては解雇規制の緩和と並んで、派遣のさらなる自由化を強く主張してきた。委員会時代には労働側の代表も加わっていたが、格上げ時に排除。逆に人材サービス業界から、ザ・アールの奥谷社長、リクルートの河野会長の二人が一度に加入したことで、スタンスは鮮明になった。
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 今、問題化してきてる非正規雇用の話に左派から茶々入れられるのって、変なのって思ってしまいます。