だから、ひとは誰でも孤独である・・・そうな。 | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

だから、ひとは誰でも孤独である・・・そうな。

うちのブログを読んでくださっているミーム吉田さまから TBいだきまして、
 この『
学校のモンスター 諏訪 哲二 』著を読んでトホホな気持ちをシェアしましょう・・・・とのことですので、読ませていただきました。
 読ませていただいて、えーと・・・諏訪さんがほんとに真剣に考えているんだなーというのはわかりましたが・・・本書の最初では苅谷先生ひっぱってて、苅谷先生とか読んで、どうしてここまでグダグダになるのかよくわかりませんが、読んでいくとわかります。

 ---現代においてAさん個人は「わたし的には○○だ」というような、ポストモダンの相対主義や極端な主観主義を生きている「人それぞれ」である。---

 「わたし的には○○だ」って言い得て妙。

 ---近代の「大きな物語」が崩壊しつつあることなど思ってもみなかった---

 ---哲学者の東浩紀氏は『動物化するポストモダン』で「人間が動物と異なり、自己意識を持ち、社会関係を作ることができるのは、まさにこのような間主体的な欲望があるからにほかならない」が、人々の間主体的な構造が消え、それぞれが欠乏-満足の回路を閉じてしまった状態を「動物化」という言葉を使って説明している。-----
 で、この東さんの“お話”を引用したあとで、
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 今でも子どもがとてつもなくひどい殺人などの犯罪を起こすと、よく「その動機の解明が待たれます」などとまとめられるが、彼らは私たちが間主体的(共通感覚的)に持っている動機とは違うものによって動かされているのかもしれない。
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 ようするに、「動機がわからん」と。・・・で諏訪さんがよく引用する「トイレでたばこを吸っていて、教師に見られて職員室に連れてこられても認めなかった生徒の例」をこのように解釈されています。
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 教師から見れば、「私」は指導できるが、「この私」は指導できない。「この私」は教師の考える「生徒(私)」の位置にはいない。だいたい「この私」は本人に強く確信されているだけの誰にも見えない。まわりから「この私」は本人に強く確信されているだけ、誰にも見えない。まわりから「この私」を「私」と見なされて、「君はこういう人間だ」と言われると、必ず「違う」と思うだけである。
 だから、ひとは誰でも孤独である。
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 おさみしいみたいですね。

 ちなみに、このポストモダン言説に触れる前の諏訪先生は「近代では、表面にあらわれる深層の大きな物語が規定していた。つまり生徒がタバコは吸うのは、彼らが授業についていけず、ストレスを抱えているからである、といったように」って書いてるんですけどね。いやそういう生徒かもしれないって話は「大きな物語」が崩壊すると崩壊するんでしょうか。

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 今の子どもたちの世代は、まさに自己の(ひととしての)実存を問われている、とも考えられます。その困難さは、私たちが無防備に開いてしまった、近代というパンドラの函のもたらしたものなのです。近代以前より近代のほうが、ずっと個人のあり方が困難であったと考えるべきでしょう。
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 「江戸時代でも古代ローマでもどこへでもいけたらいいですね」というのもかわいそうだし、「動物化なんて失敬な!」とも言えないわけわからん状況のようなんですが、こういう悩みまくっているときは、ポストモダン言説読むと、より悪化する場合もありますんで、とりあえず「後期近代」とか「ポストモダン」とか書いてる本は余裕のあるときに、斜め下から眺めるくらいの気持ち(ほんとに賢い方たちですねーくらいの)で読んだほうがいいかなあと思います。

 とりあえず、ちょっと年表でも見てみたらどうかしらねと思うわけなんですが、たかだかタバコ注意して生徒が「吸ってない」と言い張った件をもって、ここまで悩んでくれる先生をもったタバコの少年は実に幸せなのかもしれませんね。

 というわけで戦後の耳目集めた事件集。


昭和35年 社会党の浅沼委員長を右翼少年が演説中に刺殺
昭和36年 少年少女の間に睡眠薬遊びが流行
昭和37年 20歳青年が高校の教室内で知人の女子高生を猟銃で銃殺
昭和38年 ライシャワー駐日大使刺傷事件
昭和39年 少年がライフルで警察官を射殺
昭和41年 少年が警察官から奪ったピストルで知人を射殺
昭和43年 金嬉老事件。永山則夫連続射殺事件。3億円強奪事件
昭和44年 各地の高校の卒業式で生徒による占拠、封鎖相次ぐ
昭和45年 よど号ハイジャック事件。瀬戸内シージャック事件
昭和46年 大久保清連続殺人事件
昭和47年 連合赤軍リンチ事件。浅間山荘事件
昭和48年 えい児をロッカーに遺棄するコインロッカーベイビーズ多発
昭和49年 高校生による交番爆破。甲山事件。三菱重工爆破事件
昭和50年 足利銀行2億円横領事件
昭和51年 ロッキード事件。3月北海道庁爆破事件
昭和52年 青酸コーラ無差別殺人事件。開成高校生殺人事件
昭和53年 サラ金苦で自殺、心中事件相次ぐ
昭和54年 三菱銀行猟銃強盗殺人事件
昭和55年 シンナー中毒あいつぐ
昭和56年 校内暴力史上最高。深川通り魔殺人事件
昭和57年 戸塚ヨットスクール事件
昭和58年 少年の横浜ホームレス殺人
昭和59年 グリコ・森永事件
昭和60年 いじめに起因する殺人、自殺
昭和61年 タレントの飛び降り自殺、少年少女の自殺相次ぐ

 

よくなってると思いますけどね(^_^)v

参照:年表 

犯罪統計入門―犯罪を科学する方法 (龍谷大学矯正・保護研究センター叢書)/浜井 浩一