2006-11-16 00:57:33

岡田尊司氏の論考について

テーマ:ブログ

 今発売されている『日本の論点2007』(テーマ 変質する社会)(文藝春秋編)に岡田尊司氏が論考を寄せているんですが、取り上げます。

 いっぱい書いてあるけど、論考の主旨はこうである。

 「若者にわけわからない犯罪が頻発している、それも親殺しである。昔もあったが、昔のそういう犯罪は親に対する被害妄想を操られた体験(精神医学では作為体験)から殺害にいたるケースで、昨今目立った多いのは、別に精神病状態にもない若者が些細なことに腹を立て、親を惨殺するといったケースである。その理由は幼い頃からどっぷりつかった情報環境である」

 ちなみに「去る2000年前」ってことでローマ皇帝ネロと母親アグリッピナの逸話を挿入されていました。「皇帝ネロと母アグリッピナの話は決してローマの話では終わらない」だそうで、それなら、なんで最終的に現代の高度情報社会のせいに話が飛ぶのかぜんぜんっわかんないですけど・・。2000年前ってインターネットはないのは確かだと思います。


 えっと親殺しですね。まず数から確認しておきましょう。以下「朝日新聞」より抜粋


 警察庁によると、主犯が少年の刑事事件のうち、少年の実父母が被害者になった殺人・殺人未遂事件は96~04年は3~10件で推移していたが、昨年1年間は17件と目立って増えた。2006年08月30日 


 17件です。この日本の世の中に若者は何万人いると思ってますか?全員親殺し予備軍とでもいいたいんでしょうか。誤差の範囲レベルかと。ちなみに、警察庁のデータは「殺人」も「殺人未遂」も同じくカウントされていますので。

 この論考で岡田氏は違憲とされた「尊属殺人」まで持ち出してます。この「尊属殺人」がどういう経緯でなくなったのかちゃんと調べてからいってるんでしょうか。あとで説明します。

 とりあえず岡田氏の話も聞いてみましょうか。(補足しますが丁寧文で書いてるのは怒ってるからです)


タイトル
 ■親の言う通りにしてきたのに、この様か----「よい子が凶器を振り下ろす理由」


 突発的な若者の犯罪が続いている。些細なことから子どもが家に火を放ち、あるいは、親兄弟を殺してしまうという事件が後を絶たない。明らかに問題がありそうな家庭で起きた事件もあるが周囲からも「よい子」「熱心な親」だと思われていた家でも惨劇が起きてしまう。
 こうした事態を前に、うち続く異常な少年事件にも、どこか他人事ですましていた世間の親たちも、これはひょっとして・・・と不安を覚え始めてている。
 この間「どうしたら、子どもに殺されないですみますか」と真顔で質問された。まだ幼い子どもを持つ若い父親だった。私は絶句しながら改めて事態の深刻さを痛感しました。


 先日、私が某女性誌の仕事で「少子化関連」の編集をやって、そのときに読者アンケートをとったんですが、女性たちの「子どもが欲しくない理由」に「多発する少年事件やキレる少年事件」をあげてくる人がけっこういて(やはりという気持ちもあったんですが)驚きました。これは明らかに過剰不安です。子どもを産めとも産むなともいう気はありませんが、子供を育てるということは多かれ少なかれ不安があるものだと思います。欲しい人たちに無意味な不安要因を与えているというちがった意味で、事態の深刻さを痛感しました。


 親を殺すことは尊属殺人と呼ばれ、1995年(平成7年)に刑法が改正されるまでは、もっとも重大な犯罪とされ、とりわけ重い刑罰が科せられた。タブー中のタブーが親殺しだったのだ。
 
 はいこれは事実です。刑法200条に規定されていた罪名です。卑属(子どもや孫)が尊属(両親や祖父母)を殺害した場合、普通の殺人より罪が重くて、死刑また無期懲役に処せられました。


 親殺しのケースは昔から存在した。多くは精神病的な状態で、親に対する被害妄想や操られた体験(精神医学では作為体験と呼ぶ)などから殺害に至るケースである。だが、昨今目立って多いのは、別に精神病状態にもない若者が、些細なことに腹を立て、親を惨殺するといったケースである。
 いったい何が起きているのだろうか。

 
 ねー何が起きてるんでしょうかね・・・orz
 このたびは、「尊属殺人」がなくなった事件のことを書こうかと思います。精神病でもなんでもないですよ。


 昭和43年(1968年)10月栃木県でM(女性 29歳)が日ごろ仲良くしている雑貨商を訪ね、こういった。
 「いま、父親を紐で絞め殺しました。」
 刑事がMの自宅に急行してみると、植木職人の父R(52)が首を紐で締められて絶命していた。Mはその場で「尊属殺人容疑」で逮捕された。
 ところが取り調べから、父と娘の想像を絶する関係が浮かびあがってきた。
 この父娘は長年にわたり、夫婦同然の暮らしを続け、子どもも3人いたという事実であった。
 父が妻の目を盗んで娘と関係したのは昭和28年(1953年)3月、娘が14歳のときだ。
 真夜中茶の間に寝ていた父が酒臭い息を吐きながら娘の寝床に入ってきて関係をもった。ほかの家族を起こしてしまうと思い娘は声が出せなかった。ひとたび関係ができると母の目を盗んでは体を求めてきた。父の顔を見るのも嫌になり、中学3年になって娘は母親に言った。父は激昂し包丁を突きつけて殺してやるといい、母は娘を残して逃げた。
 以来、娘はほんとうに主婦がわりとなる。
 そして、17歳のとき娘は妊娠したことを知る。どうしていいかわからず、ただ父から逃れたい一心で田植えの手伝いにきた若者に「私を連れて逃げて」と懇願。男は娘の涙にほだされて、駆け落ちをした。それを知って父は狂ったように二人を追いかけ、駅前にいたところを見つけて娘を取り戻した。
 父は家を引越し、ここで娘は長女を生む。
 そののち5人の子供を生んで、3人が育つのだが、父と娘の子供は認められないので、3人とも私生児という扱いである。
 印刷工場で娘が働きに出て、彼女はある工員と恋に落ち、結婚の約束をする。
 娘は工員と結婚したいと父にいうが、父から
 「そいつをぶっころす」と脅されるのだ。
 娘は印刷工場をやめて家にいるから、と父をなだめた。


 もうだめだと、家出を決意した娘は工員に電話で駅まで来てほしいと伝え、衣服をそっと持ち出して親しい家で着替えた。ここから駅までは2キロ。バスにのれば遠くない。ところがそこへ父が娘を探しにやってきた。怒った父は娘の衣服をはぎとり、下着まで裂く。娘は泣きながら半裸のまま外に飛び出したが、駅前行きのバスは発車したばかり。裸のままバスを追いかける娘を父がつかまえ、家へひきずりこんだ。
 若い工員は娘を待ちつづけた。でも娘はこなかった。

 父と娘の関係を知ったのは事件が起きてからだった。


 事件はまもなく起きた。
 事件の夜、父は酒に酔い
 「おまえが出て行くなら、子どもたちを始末する」
 と怒鳴った。
 娘はこの父がいる限り、自由もなにもないと考え、父が寝付いたのを見計らい、首を締めて殺した。


 裁判の経緯。

 弁護側はこう主張。
 「尊属殺人は法のもとに平等をうたった憲法に違反しており、一般の殺人罪を適用し、過剰防衛と認定したうえで、情状酌量して刑を免除する」
 一審の地裁はこれを認め娘は保釈された。
 しかし、検察側は控訴。
東京高裁は一審判決を破棄して、刑法200条(尊属殺人罪)を適用したうえで、心神こう弱状態だったとして懲役3年6ケ月を求刑した。
 弁護側は最高裁に上告。
 最高裁はこの時期、別に2件の尊属殺人(未遂も含む)の上告審を控えていた。この3件を一括して審理し、昭和48年(1973年)4月4日、「尊属殺人は違憲である。よって原判決を破棄する」と宣告した。

 この瞬間大法廷はどよめいた。
 娘は懲役2年6ケ月、執行猶予3年の判決が言い渡され、身柄はその場で釈放になった。


 この事件は精神病で被害妄想でしょうか・・。岡田先生が尊属殺人という刑法まで出したあたり、私は空恐ろしすらをかんじます。

妄想にもとづく行政のかかわりはやめてほしい。いろんなとこで。


参考文献 この事件の話は「昭和史の闇(1960-80年代)合田一道」から要約、抜粋しました。

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6 ■kirikoさま

こんばんわー。

>この事件はオーソドックスな犯罪
オーソドックスかどうかは個々の事件をみると、オーソドックスをなんていっていいのかわかりませんが、この事件は親の虐待が大きくかかわっているかと思います。殺し方が「残虐」とか「わけがわからないよう」に見えて、きちんと背景を追えば「理由や動機がない」というのはあまりないんじゃないかと思います(それを理解できるかどうかは受け取る側の話)。インターネットとかのせいではないですよね・・。まあ、うちにも5本くらい、すごい切れる包丁ころがってますが、たとえば包丁なくして犯罪がなくなるわけないですから(笑)

>昭和20~30年代にはかなり起きていたようです。
ええ、ええ暴力犯罪多いです。もうすぐ発売される「犯罪不安社会」浜井浩一氏、芹沢一也氏著作の本にも書いてますのでご一読いただければ幸いです。


5 ■板橋の事件

この事件はオーソドックスな犯罪(身近な人との確執・恨み)だと思うのですが…。「少年犯罪データベース」を見ると、昭和20~30年代にはかなり起きていたようです。
http://kangaeru.s59.xrea.com/nikushin.htm
殺害の動機よりも、手段としてインターネットや爆弾使ったとか、そんなほうが重要なんでしょうか、「識者」にとって。
昔だったら江戸川乱歩や横溝正史が悪者になってたのかなと(斧で頭を一撃とか、小説にありますよね)。

4 ■板橋の事件・・3

この事件のときの識者の発言
●現代的な犯罪--福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)の話
 殺害した後爆発させるという手口からは、マニュアル本やインターネットなどで情報収集し、今まで誰もしたことがない手の込んだ方法を考案して実行に及ぶという爆弾マニアと同じような側面が感じられる。両親を殺害する事件は、国内では年間20件程度発生しているが、殺害後に爆破行為に及ぶのは聞いたことがなく、現代的な犯罪だ。
●生きる苦しさ噴出--野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)
 きまじめで人間関係が豊かでない子のようだ。ちょっとしたきっかけで「将来はたいしたことない」と落後感を抱き、親に一緒に死んでもらおうと思ったのではないか。殺害方法は、証拠隠滅も含め計画的で、小説のようだ。インターネットなどで知識を得たモデルがあるのではないか。
●宮台真司・首都大学東京准教授(社会学)
 「近年、人を殺すことへの敷居が若者の間で低くなり、激高の感情をうまくコントロールできないなどの感情的側面が考えられる。それは、1980年代以降の少子化、核家族化の中で若者が快適さを求めるのが当たり前になり、人間関係の中でもまれることが少ない『人生経験値』の低さが関係していると思う」
●ノンフィクションライター 藤井誠二
 バブル崩壊後に育った「十五歳」はパソコンや携帯電話が普及し、人間関係は決して深くない。一方で、殺戮(さつりく)ゲームや殺害シーンなどの有害サイトも身近だ。「キレる」「学級崩壊」を体験した世代でもある。
 少年問題に詳しいノンフィクションライターの藤井誠二さん(39)は「“死の情報”を持つことが彼らの世代では日常的。『殺してやる』と口にしても、だれも変だとは思わず、前兆に気付きにくい」と指摘する。

ふーーーーーーーーーーんん。わかんないときはしゃべらないほうがいいですね!

3 ■板橋の事件・・2

■[断たれた絆・板橋両親殺害1年](下)
 〈あなたはなぜ、こんな愚か者に、ここまで優しくしてくれるのですか〉 今月10日。東京都板橋区の主婦(58)のもとに1通の手紙が届いた。差出人は、同区で昨年6月、寮の管理人の両親を殺害した少年(16)(公判中)だった。東京拘置所で書かれた手紙は、主婦が少年の処分に教育的配慮を求める嘆願書の署名を集めたことに対し、〈本当にありがとうございました〉と丁寧にお礼を述べていた。 わずか100メートルの距離。悲惨な事件が身近に起きた驚愕(きょうがく)もつかの間、2日後、少年の逮捕でさらに驚く。
  嘆願書をと思い立ったのは、少年が大人と同じ刑事裁判を受けると決まったころ。昨年11月ごろから地域を回り始めた。 だが、甘かった。だれも署名をしてくれない。
 「再犯しないという確信はあるのか」。ある家ではそう聞かれ、「ありません」と答えると、「じゃあ書かない」とドアを閉められた。「亡くなった人のことを悪く書くな」と、突き返されたこともあった。
 近所に少年を知る人はほとんどいなかった。孤独な少年の姿が胸に浮かんだ。 最初に署名をしてくれたのは、母の窮状を見かねた3人の息子たちだった。
 「世間に出たら、親ほど自分のことを考えてくれている人はいないと分かった。『お前は勘違いしていたんだ』と、こいつに教えてやりたい」。33歳になる長男はそう言った。
 駅前に立ってもだめだった。2週間後、地下鉄で出会った知人に、持ち歩いていた嘆願書を見せてみた。中学生の息子を持つその女性は「体が大きくなってきて、子供なのに恐怖を感じることがある。人ごととは思えない」と言って、署名してくれた。以後、少年と同年代の息子を持つ母親に声を掛けた。「うちの子も突然キレる」「子供の気持ちが分からない時がある」。「夫は『親を殺すなんて許せない』と怒るけど」と言いながら、こっそり署名してくれた女性もいた。
 次第に輪が広がり、最終的に署名は1356人に膨らんだ。だが、拒否した人も数知れない。今年1月、活動を知った少年の弁護士が、東京地裁に嘆願書を証拠として申請した。
 [読売新聞 ]

2 ■板橋の事件・・1

Lenazo さま
こんにちわー。おひさしぶりですー。
岡田氏ねえ・・・。ほんと困った人ですよね・・。
板橋の事件については、下記メモしておきます。01年4月施行の改正少年法で、刑事罰の対象が16歳以上から14歳以上に引き下げられて以降、事件当時16歳未満の殺人罪の判決は初めて。量刑も16歳未満では最も重い判決。
■東京拘置所の独居房にいる少年は「愛を持てる人になりたい」と深い内省の日々を送っている。
 ◇父から「自殺マニュアル本読め」/物置小屋で1カ月生活
少年が書きためた日記は7冊にもなる。
 弁護士たちは毎日交代で拘置所へ出向いて語りかけた。両親のこと、後見人を引き受けてくれた親せきのこと……少年は次第に「家族の愛情」について考えるようになったという。
 事件前日、勉強するよう注意した父親に、少年は反論した。父親の怒声が飛んだ。「おれはお前と頭の出来が違うんだよ。小さい時からちゃんと働いてまじめにやってんだよ」。少年の頭を前後左右に激しく揺すった。「自分の存在を否定された」。そう少年は感じた。 小学2年から寮の掃除をさせられ、事件前は平日2時間、休日4時間に及んだ。しかし「文句ばかり言われ、ほめられなかった」と振り返る。裁判が進み、父親の養育態度が次々と明るみに出た。
 テレビ2台やゲーム機を何度も壊された。大事にしていた祖父のお下がりのパソコンのコードをハサミで切られた。「お前みたいな親不孝もんに部屋はいらねー」と、物置小屋で1カ月生活した。 自殺のマニュアル本を差し出され、「読んでみろ」と言われた。少年は幼いころから恐怖心を抱いてきた。 川村百合弁護士は「父親は少年を人格ある人間として大切にしなかった。不適切な養育の結果、自尊心が育たなかった。精神的に未熟のまま」と指摘し、「愛が感じられない生活を強いられてきている」と言う。 一方、検察側は、父親の言動について「殺されるような落ち度とはいえない。虐待とか不適切な養育だったとは認められない」としている。 少年は「自分に原因があった」と悔い、厳しい結果も覚悟しているという。また、最近のいじめ問題について「言葉の暴力でいじめられて、どんなにつらいだろうか」と思いをはせている。自身の将来は「苦しんでいる子どもたちを助けられるような仕事に就きたい」と話しているという。 [毎日新聞 ]

1 ■アホでマヌケな岡田尊司。

安原さん、こんにちは。

岡田尊司は尊属殺の加重罰を今更正当化するつもりなんですかね。卑属殺は未だに甘い判決で済んでいるのに。
こういう人たちはいったい何の目的でこのようなでっち上げを繰り返すのか……先日、東京板橋の親殺しの少年に懲役14年の判決が下りましたが、個別の犯罪者に重罰を課すことと世代全体の質の劣化?を主張することとはまるで違うことを、いい年の「団塊の世代」がどうしてわからんのですかねえ、

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