モヒカン故郷に帰る
監督が沖田修一で、主演が松田龍平。お気に入りの2人が組んだ作品なので、期待が膨らむ。
そして期待以上の面白い内容!
タイトルは多分、木下惠介の名作「カルメン故郷に帰る」へのオマージュでしょう。
画面からあふれる矢沢永吉と広島カープへの愛。
「矢沢、広島県民の義務教育です」という柄本明の台詞がサイコー!
主人公のモヒカンは、7年ぶりに瀬戸内海の小島にある故郷へ恋人と一緒に帰省する。しかし父は末期癌に侵されていた。
普通なら暗い話になるところを、沖田監督ならではのゆる~い、独特の間で喜怒哀楽を描き、暗さなどみじんもない。むしろところどころに笑いがあふれている。
沖田監督の作品には、いつも人間に対する暖かい眼差しが感じられる。
親の死を受け入れるということ。自分の死を受け入れるということ。いつ、誰にでも起こりうることであり、いざそんな状況にあったら、自分ならどうするんだろう?
それでもなお、笑ってお互いを罵倒しながらも、心の奥では思いやっている。家族ってそういうものなんだな、と暖かい気持ちになる。