『週刊ポスト』
7/9号より
平成22年6月28日(月)発売

「嘘だ!」空きカン内閣の詐術・消費税10%で日本は崩壊する!


●官・財・マスコミの「増税キャンペー」の汚い内幕。

●法人税を下げて庶民から絞り取る「暗黒税制」を許すな!

●所得税・相続税「大減税」で景気は劇的に回復する!


民主党の政策は菅政権になって180度変わった。
鳩山・小沢体制でまとめた昨年の衆院選マニフェストは減税路線を掲げていたが、菅政権の参院選マニフェストからは「減税」の言葉が消え、増税へと大きく舵を切った。
大マスコミは菅増税政権の応援団になっているが、騙されてはならない。背後には、財政危機を強調し、国民の資産を巻き上げようとする官僚の企みがある。

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増税をめぐる管直人・首相の詭弁はまさに〝ズル菅〟の異名通りだ。


「いい増税もある」といって消費税率10%への大増税方針を掲げた菅首相は、国民の反発が強まると、慌てて「参院選が終わったらすぐ引き上げるようなメッセージが国民に伝わっているなら間違いだ」(6月21日)と弁明し、あくまで税制改革の議論をスタートさせるだけだと強調した。
 

確かに、参院選マニフェストを見る限り、「協議開始」としか書かれていない。


しかし、言葉とは裏腹に、菅政権はすでに何がなんでも増税を強行するスケジュールを固めているのである。
 

証拠がある。
 

首相会見からわずか3時間後、民主党執行部は所属議員と参院選候補者に、『参院選マニフェスト消費税関連Q&A』と題する内部資料をメールで送付した。


有権者から、「増税なんてとんでもない」と説明を求められた場合に、候補者が動揺しないように見解を統一するための資料である。
 

そこには、〈仮に各党が協議の呼びかけに応じなかった場合も、民主党中心に2010年度内の改革案とりまとめを目指す〉とはっきり書かれている。
 

参院選が終わればすぐ増税の作業に取りかかり、他党が反対したら民主党だけで来年3月末までに消費税引き上げの方針を決めてしまおうというのだ。
 

菅氏は、自らは「税制の議論を呼びかけるだけ」と逃げながら、候補者には「増税する」と説明しろと指示したのだ。

 

民主党は菅政権になって大きく変質している。
 

民主党が総選挙時に打ち出した「子ども手当」や「農家の戸別補償」などの政策は 〝バラマキ〟との批判があったが、実は、政治的にもっと大きな意味を持っていた。


自民党政権時代は少子化対策や農業政策といえば、役所が業界団体に補助金や助成金を配る「間接給付」だった。


これなら役所の権限は大きくなり、天下り先も潤う。


それに対して、「脱官僚」と「政治主導」を掲げる民主党は、支援を必要とする国民に直接給付する方法に変えようとしたのだ。


もちろん選挙日当ての動機がなかったとはいえないが、少なくともこれらの制度で官僚利権を奪おうとした点は評価できる。
 

しかし、その理念は菅政権で無残に打ち砕かれた。
 

民主党の衆院選の目玉公約だった月額1人2万6000円の「子ども手当」はまだ半額しか支給されていないが、菅マニフェストでは「財源を確保しつつ、1万3000円から上積みします」と満額支給を断念し、上積み分は役所を通じた保育所増員の補助金などの「間接給付」方針が盛り込まれた。


補助金漬け農政からの脱却をめざした農家の戸別補償制度も、「モデル事業を検証しつつ」とお茶を濁して先送りした。

 

これでは役人の思うツボである。
 

逆に官僚主導の公共事業バラマキは復活する。


鳩山時代は川辺川ダムや八ッ場ダムの中止をはじめ、「時代に合わない国の大型直轄事業の全面的見直し」を謳っていたが、今回のマニフェストでは〈全国のダム事業について予断を持たずに検証を行い、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を一層進めます〉──と、書かれている。
 

官僚にいわせると、これは「ダム容認宣言」(国交省幹部)となる。


「高速道路無料化」で観光振興や地域活性化をはかる政策も、前原誠司・国交相は逆に料金値上げで収入を増やし、道路建設にあてるという路線へと変わった。
 

霞が関は、官僚言いなりの菅政権なら自分たちの好きなように予算が使えるとわかったから、「増税」を急がせているのである。
 

ちなみに霞が関は麻生政権当時の09年度の所得税法改正で、附則に「消費税を含む税制の抜本的な改革」に必要な法整備を11年度までに行なうことを盛り込ませた。


消費税増税にとどまらず、高所得者への所得税率引き上げ、相続税増税など増税のオンパレードとなっている。


民主党は当時この法案に反対したが、驚くことに菅政権のQ&Aには、「これは、自公政権で成立した法案だが、税制改革の道筋は、ほぼ私の考え方と同様である」とある。
 

菅執行部は、すべての候補者に、「私は自公と同じ増税派」といわせようとしているのだから驚くしかない。
 

官僚主導からの脱却を目指したはずの民主党政権は、いまや増税を望む官僚に抵抗もせずに〝無血開城〟し、霞が関に〝大政奉還〟したのである。


◆「日本がギリシャになる」は大嘘。


奇怪なことに、菅首相が消費税増税をいい出すと、「社会の木鐸」を自任する大新聞・テレビまでが増税応援キャンペーンを始めた。
 

消費税増税、法人税減税を提唱する読売新聞は、民主・自民両党の公約を「方向性が一致する」と評価し、〈経済、財政の再生を早期に図ることが、責任ある政治の姿〉とした。


朝日新聞も、〈負担の分かち合いを正面から呼びかける政治へと、今回を機に大きく転換させたい〉と全面支持。


毎日新聞は、〈「強い財政」実現に向けた積極発言を菅首相が繰り返すのは、健全化の道筋を示せなければ財政破綻寸前に陥ったギリシャの二の舞いになりかねないとの危機感がある〉と報じた。
 

官僚や政冶家、大マスコミの「増税必要論」の根拠として持ちだされるのが、「財政危機」「日本のギリシャ化」「子孫に借金を残すな」という3つの論理だ。
 

財務省は国と地方自治体を合わせた借金がざっと900兆円(09年3月末)に達し、GDPの2倍近くになると発表した。


経済破綻したギリシャでさえ借金はGDPの1・2倍だから、借金の金額だけ聞かされた国民が、〝子供たちにこんな借金を残したら可哀相だ〟と思うのは当然だろう。
 

菅首相も再三、「日本がギリシャにならないために」と増税の理由を繰り返している。


しかし、そうした論理が誤っていることは多くのエコノミストや経済学者が指摘している。


「財政危機は嘘」というのは、日本金融財政研究所所長の菊池英博氏だ。


「財務省が煽る財政危機論にはトリックがある。900兆円近い借金の金額だけを宣伝し、日本政府が社会保障基金や特別会計の内外投融資など約505兆円の金融資産を持っていることが議論から抜けている。
 

国の借金を問題にする場合、当然、資産を差し引いて考えなければならない。


計算すると日本の国家の純債務は367兆円くらいで、他の先進国とそれほど変わらない水準です」
 

相澤幸悦・埼玉大学経済学部教授(国際金融論)もこう指摘する。


「そもそも日本とギリシャを同等に語る政治や行政の見識を疑う。ギリシャは経済力が強くないが、『ユーロ圏だから何かあった時はEUが救うだろう』と各国の金融機関が国債を買った。
 

日本はギリシャと違って独自通貨を持つから、財政危機に陥ればまず市場で株や債券が売られ、円安になる。そうなれば輸出産業が活気づくという調整機能が働く。リーマンショックで国家財政が破綻したアイスランドが生き延びているのも、為替の調整機能が働いているからです。しかも、ギリシャやアイスランドと決定的に違うのは、日本は国債のほとんどを国内で消化し、逆に外国に金を貸している。日本の対外純債権は260兆円もある」
 

もちろん日本の財政が何の問題も抱えていないというのは極論だ。


しかし、菅首相や財務省、大マスコミのやっていることは、いたずらに国民の危機を煽るためのプロパガンダであることを知っておく必要がある。


多くの国民に「増税やむなし」と思わせている「子や孫の世代が苦しむ」という論理も、専門家のなかには異論が少なくない。
 

経済評論家の上念司氏が指摘する。


「日本の国債の93%は国民が買っている。ということは次世代に借金をほとんど残してないということです。わかりやすくするために、少子化がどんどん進んで人口が1人になったとします。最後の日本人は左手に借金、右手に国債をもっているから相殺できる。本当の借金は外国が持つ7%の日本国債で、純債務で見ると国民1人20万円ほどの借金にすぎません」
 

日本には政府の資産とは別に、国民が持つ預貯金などの金融資産が約1450兆円ある。


その75%は50歳以上が保有している。


日本が高度経済成長で世界2位の経済大国になった富の蓄積といってもいい。
 

世代別のバランスシートで見ると、親の世代は、つくった国の借金より多くの資産を子や孫の世代に残すことになるのである。


◆繰り返される「橋本増税」の失敗


「増税を先にやって財政再建に成功した国はない」


そう語るのは社会保障論の鈴木亘・学習院大学経済学部教授である。


「菅さんは消費税を社会保障費の財源にあてるというが、民主党は年金や医療、介護などの制度をどう改革するかの案さえ示していない。いくらかかるかもわからないわけです。それなのに税率を先に決めて増税をやれば、役所や既得権を持つ業界が〝補助金を増やせ〟と財源に群がり、財政再建どころか社会保障にも金は回らないでしょう」

 

日本は増税で国を誤った苦い教訓がある。


「財政再建」を旗印にした橋本内閣は97年に消費税を3%から5%へと引き上げた。
 

その結果、バブル後の不況期を脱しつつあった日本経済は再び深刻なデフレに陥った。


それは税収に顕著に表われた。


翌年の消費税の税収は税率アップで4兆円増えたが、不況の深刻化で所得税と法人税収などが合わせて6兆5000億円も落ち込み、税収は差し引きで2兆5000億円も減る最悪の結果になった。
 

財政再建もいきなり破綻した。


橋本首相の後を継いだ小渕首相は、景気対策のために国債を刷りまくって任期中に84兆円も借金を増やし、「世界の借金王」と自嘲する羽目になった。


橋本首相は亡くなるまで、「官僚に騙された」と消費税引き上げを後悔していたとされる。

 

菅首相は所信表明演説で長期化するデフレを「20年不況」と呼んで自民党政治の失敗だと厳しく批判したが、自分がその二の舞を演じようとしていることに気づいていない。
 
菅内閣の金融相、国民新党の自見庄三郎氏は、橋本内閣当時に郵政相として「消費税の失敗」を閣内で体験した。


6月22日、自見氏は会見でこう語っている。


「橋本総理は消費税を上げ、医療保険の窓口負担の引き上げとか、国民負担を11兆円増やした。ところが、その後、山一証券や北海道拓殖銀行が破綻して金融危機が発生した。国民負担増は慎重に考える必要がある」


過去の失敗を身をもって知る現職大臣の貴重な証言だ。


ところが、大メディアは1行も報じなかった。


しかも、読売新聞は90年代末、消費税不況の悲惨さをこう報じていた。


〈働けば働くほど所得税に苦しめられ、買い物をするたびに消費税に悩まされているのに、景気は一向によくならない。 読売新聞社の「暮らしと税金」に関する世論調査では、〝八方ふさがり〟の状態に置かれた国民の姿が浮き彫りになった〉

(98年11月28日付)


「社会の木鐸」なら、いまこそあの過ちを繰り返さないように国民に注意喚起すべきなのに、実際は政権や官僚と一体となって増税の旗を振っているのである。

 

藤岡明房・立正大学教授の指摘は核心を突いている。


「所得税などの直接税は政府に対する信頼を前提にした税だが、モノを買う時に自動的に徴収される消費税は政府の信頼がなくても徴収できる。菅内閣が消費税増税を真っ先にいうのは、政府が国民に信頼されていないことを自覚している証拠なのです」

 
菅首相よ、いつまで国民に嘘をつく気なのか。
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政・官・財・電(マスコミ)総掛りの国民搾取、その裏でうごめく米国の影。

属国日本は既得権益守旧派連合によりしっかり統治されているようだ。

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