[TBSラジオ6/10] 岩上安身氏がメディアの偏向ぶりを徹底糾弾 「非常に危険な状態に今ある」


★阿修羅♪より転載


2010年6月10日放送のTBSラジオ「ニュース探究ラジオ Dig」における岩上安身氏(フリージャーナリスト)の話をほぼ全て書き起こしました。


音声は下記URLでダウンロードすることができます。当該個所は27:25あたりからです。


6月10日(木)「世論調査を考える。」
http://www.tbsradio.jp/dig/2010/06/post-136.html



(書き起こしここから)


岩上:

(前略)今この電話が繋がる直前に、リスナーの方が「(世論調査を)気にし過ぎだ」と、「メディアが騒ぎ過ぎている」というのは、これはもっともでして、一番本質的な的を得た意見だろうと思うんですね。


今のメディアの状況を見ていますと、世論調査を片方で中立・公正を装いながらしていると。


だけれどもその調査以前に、常に一定方向に世論が傾くようなキャンペーンの張り方をして、その傾向というのがこの政権交代以降、非常に甚だしいなというふうに思うんですね。


つまり、自分たちがある一定方向に世論が傾くように誘導し続けながら、他方で結果を「ほらっ、世論調査の結果はこう出ましたよ」と言って今度は突きつけるという、これは完全なマッチポンプだろうと思うんです。


こういう世論の誘導と、その結果を作り上げて証明していく、「だから内閣は辞めろ」みたいな持っていき方というのは、これを続けていったら、民主党であろうが自民党であろうが何党であろうが、どの政権も1年経たず首相の首をずっとすげ変えていかなければならないという、非常に政党政治そのものが危機に陥るなというふうに、非常に危惧いたしますね。


外山惠理(TBSアナウンサー):

なんだかね、この人は高い支持率があるだろうという人を党首に立てて、そうすれば選挙に勝てるだろうみたいな図式ができあがってるなという気がしてしまうんですが、そういうことについてはどう思われますか?


岩上:

それは致し方なく、やはりそうせざるを得ない。


つまり、不本意でも現実的にやはり選挙で政治というのは勝っていかなければ仕方がないところはあるわけですから。


だから民意を作り上げるためには、その支持率というものを気にしながら首をすげ変えていくということが悪習慣として行われてしまっているんだろうと思うんですけれども、これはあまりいいことではないですよね、当然のことながら。


この場合の責任を、全部政治家に押し付けているきらいがあると思うんですよ。

やっぱりメディアに圧倒的に責任が私はあると思います。


メディア内部にいる人間として、これは声を大にして言わなければならない。


メディアの偏向ぶりはやっぱりちょっと異常です。


せっかくこうやってラジオに出させていただいているんですから、TBSラジオというラジオの媒体が非常にフェアに私に発言をさせてくれる、その証明として申し上げますけれども、先日、菅新総理の記者会見に私、出席しました。


私、最後に質問を当てられたんですね。


官房機密費が言論人とかジャーナリストとかメディア界の関係者に配られて、言わば言論の買収が行われていると。


これは先だって野中前官房長官が曝露し、そして例えば週刊ポストで上杉隆さんが追撃し、私自身も、例えば一例として、評論家の佐藤優さんがみんなの党の江田憲司さんからお金をもらったことがあると、官房機密費をもらったことがあるということを、私は直接ご本人から聞いていて、そのことを総理に直接言いました。


そしたら、しどろもどろになって明石中佐がどうだこうだと言い訳がましいことを言ったんですよ、菅総理が。


これが全く新聞に載ってない。


載っている新聞がありますけれども、載ってない新聞もあるんです。


荻上チキ(批評家):

僕もあくまで神保さんとかのツイッター経由でそれは知りましたけど、新聞などでは見なかったですね。


岩上:

信じられないでしょ。


これはつまり言論操作ですよ。

言論の自主統制。


こういうことは、もしツイッターとかあるいはインターネットメディアを通じて中継を見ていた方はわかりますけれども、NHKなどは中継を途中で打ち切っていますし、質問とそれに対する総理の答え、就任記者会見という非常に重要な会見で、自分たちメディアにとって都合の悪いことは、ばっさりカットしてしまう

読売なんか全く載せませんでした。


こういうものが、世界最大の発行部数を誇る新聞だと言って、国民を洗脳しているわけじゃないですか。


こういうことを言う、これはおかしいと指摘する声も、通常のメディアの内部から上がらない。


こんな偏向というものはおかしいと。


私その時に、政治とカネの問題、その追及以上に、報道とカネの問題を追及しなきゃならないんじゃないか、こう申し上げたんですね。


しかし、こういうことに対してシーンと静まりかえって、実際それを報じないという、こういう異常な状態というのはやっぱりなんとか改めないと。


これによって国民はずっと扇動され振り回され、「持ちあげろ」というふうに風を吹かされたときには持ち上げ、今度は「あいつらはダメなんだからお前たちは支持するな」というふうな風を吹かされたときには、「そうなのかもしれない、鳩山はダメなんだ」とか思い込むみたいな、こんな繰り返しをしていったら、本当に政党政治がダメになってしまう。


そしたら結局のところ、官僚と記者クラブメディアの、マスメディアと一部の人間たちだけが横行するようになってしまう。


それはやっぱり非常に危険な状態に今あると思いますよ。


荻上:

そうですね。


メディアは政治家や官僚たちの動向を監視するのが仕事だと思うんですけど、例えば世論調査などをすること自体が、どういった質問をするのか、どういったタイミングで出すのかということも含めて、その話題を取り上げること自体が1つの世論操作に加担しているというのが1つと、もう1つは世論調査などが出てくると、新聞系の記者さんって、大臣とかに「こんな世論調査の結果が出ましたがどうでしたか?」って質問を投げたりするじゃないですか。


岩上:

受け止め質問ってやつですよね。


全然内容のない質問。


荻上:

もっと、岩上さんが質問していただいたような機密費の問題とか、もっと優先順位が高いような質問があるにもかかわらず、せっかくのチャンスをロスしているという意味でも、世論調査の使われ方、つまりメディア側がそれをどう使うかという点で大失策をしているがゆえの、政治的な未成熟があるんじゃないかというご意見ですよね。


岩上:

そうですね、失策というよりはこれは確信犯だと思いますね。


(記者会見が)オープン化されて8ヵ月間、ずいぶんと取材機会をいただいて、でも全部ではないですけれども、少しだけ開いたその少しの裂け目から、できるだけの取材をして、できるだけお伝えしました。


例えば、自分でもビデオカメラを持ち込んでユーストリーム中継を行うとか、可能な限りできるだけ加工しない情報を、国民というか有権者あるいは一般市民の方に届くようにしたんです。


やはり自分で見てきたものと、メディアで伝えられて切れ切れに編集・加工して伝えられたものがいかに違うかと、自分たちがいかに操作されていたかということに本当に気がついたという方がもの凄く多いんですね。


それはやっぱり、既存の新聞、政治部の連中にとっては、脅威でしょうとやっぱり思います。


だからと言って、常にその時々の政権を振り回し、持ち上げては潰し持ち上げては潰しという繰り返しをして、非常に弱い政権を作ることで、自分たちの言いなり、自分たちの言い分、自分たちの利権を守るという姿勢はやっぱり間違っていると思うんですよね。


国全体をこれは弱体化させると言いますか、国民の誰の利益にもならないというふうに思いますけどね。


荻上:

それこそ民意を政治に反映すると言ったときに、世論調査以外の方法論が乏しいという話をさっきまでしてたんですけど、例えばそれこそ記者の方が、最近フリーのジャーナリストの方々の活躍が本当に目立ってきたので、いろいろな記者会見も僕らの人たちの目に届くようになったと思うんですけど、そうした質問の場で、それこそわかりやすいような単純な元々想定されていたような質問ではなくて、政治家が嫌がるような、そして私たちが気になっているようなところをぶつけるというも1つの民意の反映ですよね。


岩上:

それもありますし、それ以前に、例えばじゃあこういった問題をどう扱うかといったら、それこそ政治家じゃなくて、大新聞の社長に聞きたいですよね。


大新聞の社長や会長に聞きたいですよ。そういう人たちこそ、まず記者会見を開いて応じたらどうなんだというふうに思うんですね。


[中略] (36:20あたりから)


岩上:

政治家がいろんな場でなんだかんだ言って質問を受ける場というのはあるわけですよ。


われわれが、例えば政治家が非常におかしな振る舞いをしていたら、さすがにこれだけメディアが発達していれば、なんやかんやとわかる。


そして、最終的にはやっぱり選挙で落選させるということは可能じゃないですか。


だけれども、大メディアの偏った報道というものを、僕らはそれに対して抗う術がないわけじゃない。


そこのところがやっぱり非常に問題だろうと思うんです。


それはメディアが常にきちんとした報道の仕方をしているという大前提に立っているわけですよね。


それがもし崩れたら、それはとっても恐ろしいことになります。


荻上:

ということは、世論調査という方法論自体は統計的には客観的かもしれないが、それを使ったメディアの振る舞いというのが、すごい怠惰なように映るということですよね。


岩上:

やっぱり記者会見を全文掲載と言いながら、ばっさりと自分にとって不都合なところは落としているというのは、明らかですよ、それはやっぱり。


おかしいじゃないですか。


報道とカネの問題を追及するべきじゃないでしょうかということを言っているわけで、そこのところをばっさり切っているわけです。


官房機密費を公開するのは、それは政府の責任です。


だから総理大臣に言っている。


だけれども、同時にそれを受け取った側というのは、メディア側はずらっと並んでいるわけですよ。


その問題はメディア側が答えなきゃいけないし、例えば東京新聞だったらば、社長に直接、社長だったと思いますけれども、幹部にまで「うちはそういうことをやったんですか、もらったりしているんですか」ということを取材した記事が載ってたりするわけです。


それがアリバイ作りかどうかわかりませんけれども、ややマイナーな東京新聞、マイナーと言ったら失礼だけれども、そういうことをやっている新聞もある。


だけれども、圧倒的な発行部数を持つ読売のようなところは、全く完全にまる落とししている、削除しているというのは、やっぱり忌々しき問題だろうと思うんですね。


じゃあ、われわれが渡辺恒雄さんにインタビューできますか、記者会見でこういうことを質問することができますか。


あるいは、彼のようなメディア界のドンと言われる人を落選させることができますか。できないんですよ。


メディアの権力というものがやっぱりあるんです。


そのメディアの権力。


荻上:

そもそも落選とかがないですからね。


岩上:

そう。

公私、彼らが乱用してないという前提に立って、われわれは安心して新聞を読みたいと思っているわけで、そういうものがもし乱用されているとしたら、乱用の可能性がかなり高いわけですけど、こういう状態を見ていると、そうすると安心してやっぱり新聞を読むと、あるいは新聞を信じて読むということができなくなってしまう。


外山:

そうですね。ちゃんと判断できないですね。


岩上:

できないですね。だから新聞を辞める人が増えてっても、これは当然だと思いますし。


荻上:

新聞だけを見ていると、実はそういうことがあったんだということがわからないわけですね。


岩上:

もしインターネットがなかったら、あるいはフリーランスのわれわれのような人間が入って騒がなかったら、これは気付かないんですもん。


そんなものがなかったってことになってしまい兼ねない。


それはすごく恐ろしいことだと思いますよ。


[中略] (39:45あたりから)


岩上:

少なくとも政治とカネという、「買収されているんじゃないか、政治家が」と言ってずっと追及しているようなメディアが、自らが買収されているらしいという話に対して、その問題は一切口をつぐんでぬぐって、政治家だけを攻撃するというのは、それはちょっとおかしいだろうと、まずは自らを正せと。


そして、このことは国民にとって大変な問題ですから、機密費は国民の血税です。


それが目的外使用されている、脱税の可能性もある。


さらには、官邸に記者メモがどうも上納されているらしい。


これは夜討ち朝駆けしている記者たちの取材記録が、機密費をもらう代わりに官邸に上納されていたということなんですよ。


となるとどういうことかと言うと、日々オフレコだと思って安心して、本当の話をしていた政治家や高級官僚たちが、実は新聞の1面に載っていないから自分の話は書かれていないと思っているんだけれども、自分の話した話は全部官邸に握られていた。そして、それが言わば権力闘争や何かに使用されていた可能性が極めて高いわけです。


これはもの凄い大変な問題です。


新聞記者自身が、自分たちは自覚せずして、諜報機関の役割、KGBの役割を果たしてということになるんですよ。


こんな大変な問題は他にないですよ。


こういうことをどうしてやらないのか。


どうしてこのことを問題にしようとしないのか。


やっぱりこれは、今日こうやって私を起用して、ここでしゃべらせてくれたというのは、私が何を言うか何にも打ち合わせしてないわけですから、ディレクターと。


全く初めましてですから、相当勇気のある起用だなとは思いましたけれども、私はツイッターやなんかでこういうことを普段、ずっと言ってますので、岩上というのはそういうことを言い兼ねないとは思っていただろうとは思うんですけれども、TBSラジオは少なくとも、それを言わせてくださったメディアであると、ラジオは少なくとも今のことろ健全だなと僕は思いますね。


(書き起こしここまで)