鳩山首相の辞任に伴ない、次期首相が直面する、普天間基地に関する『日米共同声明』。


攻めるにせよ守るにせよ、選挙を迎えるにあたり、今後いろいろと話題に上がるであろう。


「海外移転は正しい。しかし、米国と交渉せずはおかしい」と横路衆議院議長が発言していたが、アメリカとの交渉は外務省に一元化され、官邸の声は届かなかった。

そのパイプ役を果たすべき岡田外務大臣は、もはや隷米官僚に取り込まれており、総理の想いを実現するどころか、沖縄県民の声さえも耳に入らなかった。

共同声明が頓挫した場合、米側の予算案に盛り込まれた海兵隊グアム移転経費が削除されるという懸念を回避したと、御用ジャーナリストが評価しているが、それこそアメリカが共同声明を出す為のトラップ。

『声明を出せなければ、米国内でのグアム移転に関する予算が取れないが、日本政府は責任(肩代り)をとれるのか!』という事だ。

アメリカは何を恐れ既成事実(共同声明)にこだわったのか・・・

それは共同声明が出されず、普天間飛行場の移設だけでなく、在沖縄海兵隊の移転計画がほぼ白紙撤回される様な事が有れば、沖縄の反米感情が高まり、普天間のみならず、極東の展開拠点となる米空軍の嘉手納基地まで含めた米軍の全面撤退要求に至るということをアメリカは恐れ、
辺野古沖に固執していたという事だ。

アメリカという国は、日本の民意を一番恐れるのだが、外務隷米官僚はそれを隠匿し、政治の理想を踏みにじり、アメリカが困る事を決してしない。

結果がこの共同声明である。

その全文を掲載する。


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普天間基地に関する『日米共同声明』(2+2)


日米安全保障協議委員会

2010年5月28日

岡田外務大臣

北沢防衛大臣

クリントン国務長官

ゲーツ国防長官


2010年5月28日、日米安全保障協議委員会(SCC)の構成員たる閣僚は、日米安全保障条約の署名50周年に当たる本年、日米同盟が日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び繁栄にとっても引き続き不可欠であることを再確認した。

北東アジアにおける安全保障情勢の最近の展開により、日米同盟の意義が再確認された。

この点に関し、米国は、日本の安全に対する米国の揺るぎない決意を再確認した。

さらに、SCCの構成員たる閣僚は、沖縄を含む日本における米軍の堅固な前方のプレゼンスが、日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力と能力を提供することを認識した。

SCCの構成員たる閣僚は、日米同盟を21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるよう幅広い分野における安全保障協力を推進し、深化させていくことを決意した。

 

閣僚は、沖縄を含む地元への影響を軽減するとの決意を再確認し、これによって日本における米軍の持続的なプレゼンスを確保していく。


この文脈において、SCCの構成員たる閣僚は、同盟の変革と再編のプロセスの一環として、普天間飛行場を移設し、同飛行場を日本に返還するとの共通の決意を表明した。

 

閣僚は、このSCC発表によって補完された、2006年5月1日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」に記された再編案を着実に実施する決意を確認した。

 

閣僚は、2009年2月17日の在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定(グアム協定)に定められたように、第三海兵機動展開部隊(3=ローマ数字の3=MEF)の要員約8千人及びその家族約9千人の沖縄からグアムへの移転は、代替の施設の完成に向けての具体的な進展にかかっていることを再確認した。


グアムへの移転は、嘉手納以南の大部分の施設の統合及び返還を実現するものである。

 

このことを念頭に、両政府は、この普天間飛行場の移設計画が、安全性、運用上の所要、騒音による影響、環境面の考慮、地元への影響などの要素を適切に考慮しているものとなるよう、これを検証し、確認する意図を有する。

 

両政府は、オーバーランを含み、護岸を除いて1800メートルの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する意図を確認した。


天間飛行場のできる限り速やかな返還を実現するために、閣僚は、代替の施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも2010年8月末日までに)完了させ、検証及び確認を次回のSCCまでに完了させることを決定した。

 

両政府は、代替の施設の環境影響評価手続き及び建設が著しい遅延がなく完了できることを確保するような方法で、代替の施設を設置し、配置し、建設する意図を確認した。

 

閣僚は、沖縄の人々が、米軍のプレゼンスに関連して過重な負担を負っており、その懸念にこたえることの重要性を認識し、また、共有された同盟の責任のより衡平な分担が、同盟の持続的な発展に不可欠であることを認識した。


上記の認識に基づき、閣僚は、代替の施設に係る進展に従い、次の分野における具体的な措置が速やかにとられるよう指示した。


訓練移転


両政府は、二国間及び単独の訓練を含め、米軍の活動の沖縄県外への移転を拡充することを決意した。


この関連で、適切な施設が整備されることを条件として、徳之島の活用が検討される。日本本土の自衛隊の施設・区域も活用され得る。


両政府は、また、グアムなど日本国外への訓練の移転を検討することを決意した。


環境

環境保全に対する共有された責任の観点から、閣僚は、日米両国が我々の基地及び環境に対して、「緑の同盟」のアプローチをとる可能性について議論するように事務当局に指示した。


「緑の同盟」に関する日米の協力により、日本国内及びグアムにおいて整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担(HNS)の一構成要素とすることを含め、検討することになる。


閣僚は、環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立ち入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立ち入りを含む環境に関する合意を速やかに、かつ、真剣に検討することを、事務当局に指示した。


施設の共同使用

 

両政府は、二国間のより緊密な運用調整、相互運用性の改善及び地元とのより強固な関係に寄与するような米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有する。


訓練区域

 

両政府は、ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除を決定し、その他の措置についての協議を継続することを決意した。


グアム移転


両政府は、2009年2月17日のグアム協定に従い、3MEFの要員約8千人及びその家族約9千人の沖縄からグアムへの移転が着実に実施されることを確認した。


このグアムへの移転は、代替の施設の完成に向けての日本政府による具体的な進展にかかっている。


米側は、地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留する3MEFの要員の部隊構成を検討する。


嘉手納以南の施設・区域の返還の促進


両政府は、嘉手納以南の施設・区域の返還が、「再編の実施のための日米ロードマップ」に従って着実に実施されることを確認した。


加えて、両政府は、キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)の「インダストリアル・コリドー」及び牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の一部が早期返還における優先分野であることを決定した。


嘉手納の騒音軽減

 

両政府は、航空訓練移転プログラムの改善を含む沖縄県外における二国間及び単独の訓練の拡充、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終報告の着実な実施などの措置を通じた、嘉手納における更なる騒音軽減への決意を確認した。


沖縄の自治体との意思疎通及び協力

 

両政府は、米軍のプレゼンスに関連する諸問題について、沖縄の自治体との意思疎通を強化する意図を確認した。


両政府は、ITイニシアチブ、文化交流、教育プログラム、研究パートナーシップなどの分野における協力を探究することを決意した。

 

安全保障協力を深化させるための努力の一部として、SCCの構成員たる閣僚は、地域の安全保障環境及び共通の戦略目標を推進するに当たっての日米同盟の役割に関する共通の理解を確保することの重要性を強調した。


この目的のため、SCCの構成員たる閣僚は、現在進行中の両国間の安全保障に係る対話を強化することを決意した。


この安全保障に係る対話においては、伝統的な安全保障上の脅威に取り組むとともに、新たな協力分野にも焦点を当てる。


以上


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鳩山総理が言わずに去ってしまったので言わせてもらったが、

政権のチームワークが悪いなどというレベルの問題ではない。