後日、あげたこっちの記事もよろしく↓
「それでも、生きてゆく」を改めて考察

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この頃はよく、録画しておいた「それでも、生きてゆく」の動画を見返しては、言葉のひとつひとつを噛みしめ胸に刻んでいる。
脚本、音楽、出演者含め、近年稀に見る良作であったと改めて思う。
そこで今回の記事は、先日終了したドラマ「それでも、生きてゆく」について、どのように素晴らしかったのかを考察したい。


あらすじ

詳細は、ホームページやウィキペディア等に載ってるのでさらっと述べる。
物語は15年前に少年Aが少女を殺害した事件について、妹を殺された深見洋貴(瑛太)を中心とする被害者家族と、遠山双葉(満島ひかり)を中心とする加害者家族を中心に展開される。
ある日洋貴の前に一人の女性が現れる。洋貴は「自殺志願者」として接し流れで自分の境遇を語るが、その女性こそが加害者の妹双葉だった。
事件以来家庭が崩壊し苦しんできた洋貴は復讐を決意するが、双葉と触れ合い加害者家族が同じように苦しみを抱えていることに気付き、心境に変化が現れ・・・。


世間の評判

良い評判を聞くわりには、実際のところ平均視聴率10%未満であった。
無理もないと思う。世間が震災や原発問題で暗いのだ。
作品の良しあしではなく、こんな暗い話は見たくない、という気持ちも良く分かる。
視聴率が悪いということをスタッフは気にしながら撮影していたに違いないが、それでも最後まで良作であり続けたことは称賛されるべきことである。
(視聴率が悪いドラマは演出がだんだんと雑になっていくことはよく見受けられる)
ただひとつ、どこで火がついたのかわからないが「JAP18問題」について反日だと揶揄して騒いだ人たちがいたのは残念でならない。


脚本

原作があるのかと思ったら、坂元裕二氏のオリジナルストーリーだそうだ。
出演者すべての苦しみを繊細に描き、たまに日常的な些細な会話があって、それぞれが小さな希望を見つけていく、まさに「それでも、生きてゆく」。
さりげなく登場するワンシーンが、後に見返すと非常に意味があるシーンだったりと、演出にさえ手を抜かない。


音楽

ひとつひとつの台詞が重いうえに、辻井伸行さんのピアノが一層ドラマを盛り上げる。
美しく幻想的だ。ドラマのサントラなんて滅多に聴かないのだが、こればかりは気に入っている。
主題歌の小田和正さんの「東京の空」もドラマにはまっている。


映像

とにかく、全体的に映像が綺麗だ。
時折映し出される緑の自然風景の中に、内容とは正反対の癒しが存在する。
緑の中で生きることの素晴らしさを、映像だけでも感じさせてくれる。


台詞

出演者すべての台詞が重たく、強いメッセージを感じる。
そしてそのメッセージは、生きづらい世の中を生きる私たちにさりげなく生きるヒントを与えてくれる。

どのシーンも大好きなのだが、僕のベストシーンを紹介したい。
それは、第10話で自殺しようとした文哉(少年A)を助けた後、食堂で洋貴が思いをぶつけるシーンだ。


***


悲しい話ばかりで逃げたくなる
だけど逃げたら悲しみは残る
死んだら。(おまえを)殺したら、悲しみは増える
増やしたくなかったら、悲しいお話の続きを書き足すしかないんだ。

(中略)

今日朝日を見たんだ。便所くさい窓から朝日見えて。
そんなことあそこに住んでから一度も考えたことなかったんだけど。
また今日が始まるんだなって。
楽しくても、つらくても、幸せでも、むなしくても。
生きることに価値があってもなくてもなくても。
今日が始まるんだなって。
あの便所の窓からは、この15年間毎日ずっと今日が始まるのが見えてたんだなって。



***


文哉は幼少期のトラウマから心が壊れていて、誰の心も届くことはなかった。
しかし、きれいごとで語られるより極めて現実的にありそうな話であり、だからこそ私たちの心の魂をゆさぶったのだと思う。

もうひとつ、名台詞を思い出したので、その言葉で記事を終えることとしたい。


洋貴「心って、大好きな人からもらうものだと思うんです。あなたからも、もらいました。」


いま、僕は辻井伸行さんの曲にはまっている。
『神様のカルテ』という自作集がオススメだ。
気が向いたら、こちらもレビューしようと思う。

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後日、改めて考察しました↓
「それでも、生きてゆく」を改めて考察