PC内に一時保管していた写真を外付きHDに移動する作業をしていると、撮影した覚えのない低小木の花が出て来ました。 しかし、花木の全体像も花や葉のクローズ・アップ写真もなし・・・撮影者は僕の連れ合いのようです。


タイに魅せられてロングステイ
連れ合いがチャオプラヤー川の船着場近くの隘路で撮影した雑草のような花


別ファイルの撮影記録メモには次のように記されています。
『 撮 影 者 』 ●●子 (僕の連れ合い)
『 撮影月日 』 2012年2月27日
『 撮影場所 』 チャオプラヤー川の船着場近くの隘路


連れ合いから僕への伝達メモを見ると・・・
タイ語名は、ピー・スア・ラートゥリー ผีเสื้อราตรี (夜の蝶々)だとタイ人から教えて貰いました。どんな花なのか調べて置いてね 』 とあります。


その後、連れ合いから催促を受けた覚えもないので、多分、書いた本人も忘れているのでしょうが・・・現在はバンコク不在なので確かめようもありません。

早速、タイ語ネットで検索すると、下記の類似のタイ語名がヒットしました。
  ・バイ・ピー・スア・ラートゥリー ใบผีเสื้อราตรี (夜の蝶々の葉)    
  ・トン・ピーク・ピー・スア ต้นปีกผีเสื้อ (蝶々の羽根の花木) 



タイに魅せられてロングステイ
川縁の隘路で撮影とありましたが、地植えではなくて放置された鉢植えのようです。


しかし、植物学上の正式な 『 学名 』 を知りたくて探したのですが如何しても見付からず、
分かったのは、科名= Oxalidaceae (カタバミ科)、属名= Oxalis (カタバミ属) だけでした。


然らば、次なる手段として画像検索に入ったのですが・・・掲載写真の花木の葉は 『 緑葉 』 ばかりで、お目当ての 『 紫葉 』 が見付かりません。 なんとなく悪い予感が的中したような気がして急激に 『 やる気 』 が喪失してしまいました。


正直に言いますと、この花木が 『 カタバミ科 』 と分かった時点で、僕の調査意欲は大きく減退していたのです。 と申しますのは、『 カタバミ科 』 は、世界で850種以上もある雑草の類なので、その中からお目当ての花木を見つけ出すなんて事は、それこそ並大抵のことではないと思ったからです。


カタバミ草の日本語漢字は 『 酢漿草 』 ですね。 日本に一時帰国した折に、花弁ではなく、花芯の色違いによって名付けられた、『 紫酢漿草 』、『 芋酢漿草 』、『 大黄花酢漿草 』を見たことがあります。花芯が濃桃色だと 『 芋カタバモ 』、薄桃色だと 『 紫カタバミ 』 と区分しているようですね。因みに、上記カタバミの花弁は淡桃色、葉色は全て『 緑葉 』 でした。 

さて、葉が紫色で花弁が淡桃色の 『 夜の蝶々 』 (タイ語名の意訳)と呼ばれる花木の 『 学名 』 と 『 英語名 』 の検索ですが、しつこく頑張ったにも拘わらず取り付く島もなく・・・殆ど諦めの境地です・・・

已む無く、花名不詳の雑草として無意識に、Oxalis Wine Purple Leaf の仮名をつけ終わってから、することもなくで検索遊びをしていると・・・・・・・なんと! 『 Oxalis 'Charmed Wine' 』 にヒットしたのです! そればかりか、Oxalis regnelli ( or triangularis ) と云う学名まで芋蔓式に出て来ました!

早速、画像確認をすると、カタバミ属の紫葉の花のオン・パーレード! 僕の連れ合いが撮影した写真よりもっと素晴らしい花の写真が何十枚も掲載されているではありませんか!

オキザリス(Oxalis)の葉柄の長さは10cm~15cm、蝶の羽根に似た倒三角状の3枚の紫葉の一つの大きさは2cm~3cm程度。 土壌の塊根から紫の葉柄がそのまま叢生しているように見えます。 連れ合いの写真では分からないのですが、葉の裏面は赤紫色を帯びていて短毛が密生しているようです。


タイに魅せられてロングステイ
蝶の羽根に似た倒三角状の3枚の紫葉の一つの大きさは2cm~3cm程度。 


日陰にある紫葉は少しばかり閉じていて、陽光に照らされた紫葉は開いています。 日本の我が家のカタバミ草の緑葉も陽光を受けて開き、曇天や夜間には閉じていましたが、全く同じ習性を持っていることが分かります。

葉柄や花茎は蓚酸(しゅうさん)を含んでいて酸味があることから、ギリシャ語の Oxalis
( 意味:酸っぱい ) が属名になったとの記述がありました。日本語でカタバミ科カタバミ属の花木を 『 酢漿草 』 と書くのは、 Oxalis の意味合いを忠実に表記したのですね。



タイに魅せられてロングステイ
花茎の先端に直径2cm前後の淡桃色の花を咲かせます。 ( GAEDEN CROSSINGS より)


花茎は土壌の塊根から15cm程度まで伸長、先端に散形状花序を付けて直径2cm前後の淡桃色の五弁の花を咲かせています。 

最後の最後まで正式の日本語名は分からなかったのですが、日本の花屋さんのネット通販で、おそらく流通用の商品名だろうと思いますが、『 紫の舞 』 の名前を見つけることができました。  


タイに魅せられてロングステイ
日本名の正式名は不明ですが、流通名は『 紫の舞 』でした! ( PLANT SPOT LIIGHTより )


隘路に埋もれるように咲く雑草ですが、植物通販業者の巧みな命名によって燦然と輝いて見えます。さすがに商売人ですね。 

日本流通名は 『 紫の舞 』、タイ語名は 『 夜の蝶々 』 ですが、いずれの呼称も、この低小花木の雑草のイメージを上手く表現した名前のように思います。皆さんの御意見は如何ですか?


カタバミ属の雑草の類ではありますが、今一度、植物学上の分類項目を整理して置きたいと思います。

学名:Oxalis regnelli ( or triangularis )
科名: Oxalidaceae (カタバミ科)
属名: 属名= Oxalis sp.(カタバミ属)
英名: Oxalis 'Charmed Wine' 、 Oxalis
タイ語:・ピー・スア・ラートゥリー ผีเสื้อราตรี (夜の蝶々)
日本の流通名:紫の舞

花色: 淡桃色
葉色: 紫色
性状: 多年草(耐寒性球根)
原産地:熱帯地域(南アフリカや中央・南アメリカ)、亜熱帯地域