《 前回ブログからの続きです 》

日本独自の和暦の紀年法について、タイ人女性に説明したのですが、
彼女の感想は、『 フーン、和暦って変わっているわね 』 でした。
チョットばかりズッコケたくなるような反応ではありますが、
タイ仏暦と和暦は、似て非なるものだと云う事は分かって貰えたようです。
 
            僕   『 仏暦の紀年法だって、面白いと思いますよ 』
            彼女 『 仏暦のどこが面白いのですか? 』


インドを起点として、
スリランカ、ビルマへと伝来した仏教、
そして、タイ、ラオス、カンボジアに伝来した仏教は、
各々の伝来ルートは違えども、宗派としては同じ上座部仏教でした。
それにも拘わらず、
仏暦の数え方が微妙に異なるのが、僕にはとても興味深く思われたのです。
 
      彼女 『 ミャンマーとタイの仏暦は同じだと思いますよ! 』
      僕   『 仏滅紀元年のスタートとなる元年の捉え方が違うようですよ 』 

 
資料から得た情報を要約すれば、
各々の国の仏滅の元年の捉え方の違いは、下記のようになるかと思います。
 
      1.お釈迦さまの入滅当年紀元前543年を仏暦の元年とする。
          ミャンマー、スリランカの仏暦。< 西暦2010年 + 544 = 仏歴2554年 > 

      2.お釈迦さまの入滅翌年紀元前544年を仏暦の元年とする。
          タイ、ラオス、カンボジアの仏暦。< 西暦2010年 + 543 = 仏歴2553年 >
          

西暦(キリスト紀元年)と仏歴(仏滅紀元年)の区分を明記するために、
英語では、B.E.2553 (Bhuddha Era) と表示しますが、
タイ語では、下記の略語を年数の頭に付けて表記します。


●西暦2010年 = ค.ศ. 2010    ค.ศ. ๒๐๑๐  ( 発音 = コー・ソー )
ค.ศ. = คริสต์ศักราช  クリット・サカラーツ ( キリスト紀元年 )の略語
●仏暦2553年 = พ.ศ. 2553    พ.ศ.๒๕๕๓   ( 発音 = ポ-・ソー )
พ.ศ. = พุทธศักราช プッタ・サカラーツ ( 仏滅紀元年 ) の略語

タイ人女性と仏滅紀元年 ( 仏暦 ) の話をしている時、
60年以上前に祖母から聞いた “ 数え年 ” の話を想い出しました。
 
          『 オギャーと泣いて生まれ出た時の年齢が一歳だよ 』
          『 その後は、迎えた正月の回数で年齢が増えるのだよ 』
          『 正月に年齢を戴くためには、お寺でお祈りをするのだよ 』
          『 お祈りをしなければ、いつまでたっても子供のままだよ 』


つまり、“ 数え年 ” とは、
母親の胎内から、現世に生まれ落ちた時を1歳として起算、
その後は、正月を迎えた回数によって年齢を重ねることになります。
この方式だと、自分の誕生日の存在価値は殆ど皆無に近いですね。


生れ出た時を1歳とする考え方は、仏教の輪廻転生によるのだとか。
輪廻転生によれば、
死者の魂は、最初の四十九日間で、来世の行く先が裁定されるらしく、
若し、人間になることが決定すれば、四十九日後に母親の胎内に着床。
母胎内で十月十日を過してから、人間界に生れ落ちることになるのだそうです。


数え年の生まれ落ちた時を1歳とする計算根拠は
《 魂の時代の四十九日 + 母胎内の時代の十月十日 = 約1年 》 となります。
つまり、
死んだ直後から、来世に向けての年齢の起算が始まっているという訳ですね。



死んだ直後の魂の時代から、母親の胎内で育つ期間を0歳と考え、
この世に生れ出た瞬間を1歳とする数え年の考え方、
或いは、
生れ落ちた時を0歳と考えて、最初の誕生日を1歳とする満年齢の数え方に
思いを廻らせていると、


なんだか、
仏陀入滅の当年を “ 紀元0年 ” とするタイの仏滅紀元年、
そして、
仏陀入滅の当年を “ 紀元1年 ” とするミャンマーの仏滅紀元年の
考え方と交錯してしまいそうになってしまいました。


   
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