日曜日にバンコク郊外の“ 古代の都 ”(muan-boraan เมืองโบราณ)に遊びに行って来ました。タイ全国に散らばる遺跡の縮小コピーを広大な公園の中に凝縮して再現したユニークな遺跡公園です。

自分の車を運転しながら見ることが出来ます。一周するのに三時間もあれば充分と聞いたのですが、なんと、七時間も要して全体の2/3を見終わったところで、18時の閉園時間になってしまいました。園内はガラガラでしたので、その原因は、全て僕の時間配分の拙さでした。

公園の中の遺跡は、縮小コピーとはいえども、その大きさと迫力は本物に近いものがあると言っても過言ではありません。時間が無くてタイ全土を旅することが出来ない遺跡好きの人にとっては、打って付けの施設かも知れません。


“古代の都”の公園内のイメージ。縮小コピーと言えども立派な建造物です。

という訳で、近い内に再訪するつもりですが、先ずは、撮影済みの800枚の写真を整理がてら、未だ見ぬ遺跡を地図上にマークする作業を行うつもりです。BLOGに適した材料があれば、折を見て掲載して行きたいと思います。

本日は、“ 古代の都 ”の前座役として、公園内の至る所に咲き乱れていた、燃え滾るように熱そうな真紅の花の“ 鳳凰木 ”について書くことにします。


公園内の至る所に咲き乱れる鳳凰木の花

日本では、梅が咲き、桜が咲く今頃になると、誰もが待ち望んだ“ 春の到来 ”となりますね。タイに住む僕が個人的に感じる季節感を花に例えて表現するならば、“ 合歓の花 ”が咲き揃い、色とりどりの“ プルメリア ”(リーラワーディー)が開花する頃になると、乾季(寒季)の終わりを感じます。その後に、“ ルアン・インディア ”(インド黄色花)が咲き始め、やがて、黄金色の“ 金雨花 ”がゴールデン・シャワーの如く咲き乱れると、暑季到来!となります。


左:乾季の終わりと、暑気の始まりを告げる①合歓の花(左)と②プルメリアの花(右)


暑気の到来を告げる③ルアン・インディア(左)と④金雨花(右)

そして、愈々、火が燃えるが如く真っ赤な花を咲かせる“ 鳳凰木 ”が主役になる頃になると、タイは夏の真っ只中に突入することになります。

今回訪れた“ 古代の都 ”の公園内の彼方此方で、“ 鳳凰木 ”(下写真)が咲き乱れていました。木陰の少ない公園内の外気温は34℃から37℃。僕が公園内で消費したミネラル・ウオーターは6本!、しかし、トイレ小は一回だけ! 殆どの水分を発汗作用で放出したほどの、茹だるような暑さの一日でした。


⑤鳳凰木が咲き乱れると炎暑の季節に突入、

第二次大戦当時、南太平洋の群島に進駐していた日本人は、桜の花と同じ時期に一斉に咲き揃う真紅の“ 鳳凰木 ”を“ 南洋桜 ”と呼び、海の遥か彼方の日本を懐かしんだと聞いています。


眺めるだけでも暑そう!

読者の方の中には、『 これは火炎樹の花では? 』 と仰る方がおられるのではないでしょうか? そうですよね! 実は僕も、“ 火炎樹 ”と思い込んでいたのですが、今回の公園訪問で、正しくは、“ 火炎樹 ”ではなく、“ 鳳凰木 ”だと初めて知りました。日本の記事を読んでも、“ 火炎樹 ” の記述が多いようですが、それは、英語名の flame = fire(火)に影響された誤訳のようです。 

因みに、“ 鳳凰木 ”の英語の正式名は、Flame tree、俗称は、peacock flower 。タイ語の正式名は、“ 孔雀の尾羽 ” haang nok young หางนกยูง です。

孔雀の尾羽 ”は、タイの京都大学に似た校風を持つと言われる国立タマサート大学の校木としても知られています。

鳳凰木 ”の花が盛を過ぎて散る頃になると、長さ50cm位の緑色のサヤがぶら下がり、やがて黒いサヤへと変化します。この中に入っている豆は食べられるのですが、可食部分が余りに少ないために、タマリンドのように商品化されることはありません。


落下した鳳凰木の花弁と50cm前後もある豆のようなサヤ入りの果実

因みに、本当の“ 火炎樹 ”の英語名は、African tulip tree。タイ語名は、ケーセート khee-seet แคแสด です。更に、本当の“ 火炎樹 ”の科名はノウゼン・・カズラ科で花弁は四弁、一方、鳳凰木はシャケツイバラ科ですので、植物学的にも明らかに異なります。


本当の火炎樹の花(日本人会誌よりコピー)

更に、本当の火炎樹の花は、花よりも葉っぱの方が目立ちますし、葉の形も異なります。10月から翌年の2月頃(場所によっては一年中)なので、乾季(寒季)の花と言っても差しつかえないと思います。少なくとも、本当の“ 火炎樹 ”の花を眺めて、炎暑の季節(4月~5月)到来を感ずることは無いと思います。何故に、日本語名で“ 火炎樹 ”という呼称が着いたのでしょうか・・・

今も、茹だるような暑さで日焼けした身体の火照りが治まらず、寝ることも出来ない僕ですが・・・BLOGを掲載してから、何回目かの冷水シャワーを浴びて眠りに着こうと思います。

おやすみなさい。