策謀と焦り。森友学園問題で、籠
池泰典理事長が記者会見を開いて
いる最中に、安倍晋三首相が「南
スーダンＰＫＯ撤収」を発表する
唐突さに、そんな小賢しさと窮地
を同時に感じた有権者も多いので
はないか。戦闘が相次ぐ緊迫した
現地情勢に「比較的平穏」として
きた官邸が突然豹変した裏側には
、森友疑惑を矮小化させるための
露骨な意図が働いたことが垣間見
える。なりふり構わぬ姑息な手段
を使っても、「森友報道」がおさ
まるはずもない。稲田朋美防衛相
が学園の顧問弁護士をしてた新事
実も次々判明。この疑惑はまだ序
章に過ぎないことを強く思わせる
展開になってきた。
安倍首相と歴史観を共有する極右
組織の実態を紹介したベストセラ
ー「日本会議の研究」の著者、菅
野完氏が昨日籠池理事長へのイン
タビュー動画を公開した。理事長
退任発表後の籠池氏が、関係のあ
る政治家名をどこまで口にするか
という期待もあった。トカゲのし
っぽ切りに怒ったか、籠池氏はあ
っさり稲田朋美防衛相が森友学園
の顧問弁護士として民事訴訟に関
わったことを明らかにした。
稲田防衛相は国会で「10年来会っ
たこともない」と答弁していたが
、籠池氏は最近も会っていたこと
ばらしてしまった。付き合いがな
いどころか、訴訟を任されるほど
深い関係だったのである。明らか
に稲田防衛相の国会での虚偽答弁
だったのである。国民にウソを言い
続けた稲田防衛相は即刻辞任に値
する。
籠池氏はさらに麻生太郎財務相や
鴻池祥肇元防災相ら「なぜ自分を
知らないと言うのか分からない」
と憤った。これまで懇意に付き合
ってきた関係まで否定された籠池
氏に同情したくなるくらいだ。安
倍首相以下複数の閣僚との関係は
財務局との土地交渉に多大な影響
を与えたことが今まで以上に推測
できた。
「嘘をついている人は、ふだんよ
りおしゃべりが多くなる。それは
たくさんの些末な情報を与えるこ
とで相手の注意と意識を他にそら
し、発覚をおそれている隠し事へ
視線を向けさせないためなのだ」
（ドイツの哲学者・ニイチェ著『
善悪の彼岸』から）
安倍首相の国会答弁を今日も聞い
ていると、質問に関係ないことば
かり長くしゃべりだし、やじられ
ると逆切れする繰り返しばかりだ
った。ニーチェの言葉がぴったり
あてはまる。
それでも野党の追及姿勢も核心を
つかず、政府側の虚偽の言い逃れ
を許している。何より森友学園ば
かりにとらわれてこの疑惑の全容
解明に及び腰姿勢が目立つ。すで
に、複数の週刊誌報道やネット上
の調査報道によって、安倍内閣が
推進した規制緩和によって、安倍
首相と個人的に関係のある学校法
人が巨利を得ていたことが、判明
しつつある。
愛媛県今治市の国の特区適用によ
って、岡山県の学校法人加計学園
運営の岡山理科大に獣医学部新設
が認められた。この学園理事長は
安倍首相の留学生仲間で懇意にし
ている加計孝太郎氏で、特区適用
によって16・８㌶の市有地が無償
で学園に譲渡され、総事業費の半
分の96億円の補助金が出される。
森友をはるかに上回る教育利権を
安倍首相の親しい友人が得た構図
である。国会でも、この問題が取
り上げられたが、まだまだ不十分
だ。証拠隠しを許せないためにも
本格追及を急ぐべきだろう。政府
は早くも特区適用関連書類の一部
非開示を決めた。
同じ加計学園が運営する千葉県銚
子市の千葉科学大学では、銚子市
から15㌶もの土地を無償譲渡され
、校舎建設費などで95億円もの補
助金を受けた。開校時、安倍首相
が来賓あいさつした経過もあり、
森友同様、関係省庁と自治体が安
倍首相との関係性を背景に不当な
便宜を図った疑惑が強まっている
のだ。
今回の一連の疑惑解明は始まった
ばかりで、森友学園という「枝葉
」ばかりに目を奪われていてはな
らない。疑惑の全体像に目を凝ら
す時だ。甘い教育利権に群がった
加計学園のような教育機関の跋扈
や、右傾化教育の浸透をストップ
させる有権者の強い意志が今こそ
必要だ。
【２０１７・３・13】