首相夫人喚問し矮小化許すな | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 


あきれ返る無責任な物言いである
。安倍晋三首相は昨夜、「(森友
学園は)財務省より一枚上手だっ
たんだろう」と衆院予算員会の与
党理事にもらした。この疑惑には
昭恵夫人が新設小学校の名誉校長
になって得た「総理の威光」が随
所にに見え隠れする。「妻から教
育に対する熱意は素晴らしいと聞
いている」と国会で答弁したのを
忘れたような首相発言には、疑惑
を招いた首相夫妻としての責任や
反省などみじんも感じられない。
国と自治体の教育行政が同時に歪
められた今回の政界スキャンダル
の真相解明には、国会への昭恵夫
人招致が必要で、大阪府私立学校
審議会で認可適当になった経緯を
ただすための百条委員会も設置さ
れるべきである。そして、幼児に
誤った歴史観を刷り込む「虐待教
育」が教育基本法上からも厳しく
指弾しなければならない。


テレビメディアはようやく情報番
組でこの疑惑を大きく取り上げる
ようになった。教育勅語を暗唱す
る園児や昭恵夫人が講演をする映
像が繰り返し流れるが、まだ表層
的報道が目立つ。なぜ、昭恵夫人
が資金力や小学校教育の実績も皆
無のない学園に深く関わるように
なったのか、なぜ「安倍晋三記念
小学校」名の募金募集が行われた
のかを深く掘り下げていない。


今週号の週刊文春が安倍晋三事務
所に出入りしていた人物が実名で
告白している。この人物は第一次
安倍政権が崩壊した後の7年前、
極右思想団体「日本会議」の大阪
支部の幹部をしていた籠池泰典理
事長と知り合い、5年前ごろから
東京の安倍事務所に出入りするよ
うになったという。籠池理事長の
自費出版物も当時の安倍氏側に渡
したと明かしている。この人物は
籠池夫妻が財務局との交渉で、嫌
と言うほど首相夫妻との関係を伝
えたはずと証言している。首相夫
人が名誉校長の学園に財務局の幹
部らがひしひしと「総理の威光」
を感じたことを想像するにたやす
い。


鴻池祥肇元防災相は、仲介口利き
を否定して見せたが、籠池理事長
と財務局に国有地交渉をめぐり25
回も接触している経緯を見ればに
わかに信じがたい。それでも、メ
ディアの前で公然と金品のやりと
りはなかったと公言したからには
疑惑を持たれないように警戒感を
持って接していたのは確かだろう


もし、鴻池氏の介在が決定打にな
らなかったとしても、なぜか財務
局は当初から前例のない賃借契約
や後の格安ダンピングを認めてい
った。その点に新たな疑問がわく
。別の議員が介在したのか。それ
とも、籠池理事長が「総理の威光
」をより強調して圧力を強めたの
か。そのどちらでもなく、財務省
理財局幹部と直接面談交渉が実現
することなど考えにくい。この面
会のわずか3カ月後の昨年6月、
実に8億円もの実質値引き契約が
結ばれたのである。


安倍首相は「会計検査院で調査が
なされる」と自らの事実究明に及
び腰である。6日に国会で集中審
議が行われるが、昭恵夫人や籠池
理事長の招致はまだ決まっていな
い。このまま会計検査院が、国有
地の不適正売却を判断しても、そ
れだけで終わってしまう。この疑
惑は土地評価の問題に矮小化して
はならない。政、官、民の教育利
権をめぐる癒着構造と不正解明こ
そが求められているのだ。そして
戦前の歴史観を刷り込む偏向教育
がたださなければならない。


一方、国政ばかりに焦点が向いて
いるが、「どちらがニワトリとタ
マゴか」と言われているように、
大阪府の小学校認可過程に不審点
が多い。2014年10月に出され
た小学校設置認可申請に府私学審
議会では資金力や偏った教育内容
など疑問が噴出したのに、大阪府
側は近畿財務局と学園の交渉の推
移に過分な配慮をみせ、こちらも
たった3カ月後の翌年1月に「認
可適当」になった。


松井知事は今になって「児童に健
康上の問題が心配」と認可に先送
りを示唆しているが、そもそも認
可基準を緩和した2012年4月
は松井知事時代である。多くの法
人の設置要請を名目にしたが、以
後申請は森友学園以外になく、森
友学園のためだけの緩和だった疑
いが出ている。ここでもなぜ不適
格な部分の多い森友学園だけを認
める審議に突き進んでいったのか
という疑問が募る。東京都の豊洲
市場問題のように百条委員会設置
が待たれる。松井知事自身が率直
に疑問に答えるべきである。それ
が出来なければ、維新行政への不
信感が高まるのではないか。


   【2017・3・3】