人は債務を通じて何を学ぶのか? | 開き直りのススメ

開き直りのススメ

マケドニアでの滞在記を中心に、開き直りの精神を語っていきます。

リーマンショックの震源は、サブプライム・ローンという、低所得者の不動産債務が引き起こした。そして、ユーロ暴落の原因は、ギリシャの3500億ユーロの国債のデフォルト(債務不履行)危機を震源としている。日本は1000兆円の借金を抱えながら、思うような政策を打てないでいる。

わかりやすく言えば、今の経済不況の根源は、すべて借金がある、と言っていい。

人は債務を通じて、一体何を学ぶのだろうか?

借金は人の感覚を麻痺させてしまうところがある。

クレジットで物を買うのも借金の一種だが、現金で買い物をするときと違って、人は気が大きくなる。どうせ分割すればたいしたことはないと、余計なものや高額なものに手を出してしまう。

サブプライム・ローンは、とうてい家を買えそうにない低所得者にローンを組ませ、返済が滞ったのが発端だった。

ギリシャでは納税逃れが横行する中、選挙で勝利するために身内を公務員とし(5人に1人が公務員)、現役時代とほぼ同じ年金を払い続けていた。そしてその財源は国債で賄われていた。

日本も同様だ。バブル期でさえ、納税による歳入が60兆円だったのにもかかわらず、40兆円前後の歳入しかないのに、歳出はいまだに100兆円近い。その差額を国債という借金で補っている。

いつか返せばいい。消費税でも上げればなんとかなる・・・。そう言い訳をしながら。

しかし、やがて、積み重なった借金は、大きな津波のように襲いかかってくる。

日本一の納税者である斉藤一人さんは、ユニークな存在だ。彼は生涯、借入というものをしたことがない。

儲かったら、儲かった分だけ投資をしていく。

元手にお金を掛けない。

借金をしてまで、何かをしようとはしない。

彼はまるで、お金を声を聞いているかのようだ。

今持っているお金が、していいことと、すべきでないことを教えてくれている。

借金は、“現”金だけが持っているその声を封じ込めてしまい、人を大盤振る舞いの誘惑へと駆り立てていく。

東日本大震災の復興を遅らせている大きな要因の一つは、二重ローンの問題だ。

家や店舗、漁船などを借金して手に入れていたために、それらを津波で流されて失っても、返済だけが後に残る。そして、再起するために、またしても借金をしなければならない・・・。

あるものだけで生きようとすること。

それが、自然界に生きる動物たちの掟だ。

その日のエサを手に入れることができなければ、何も食べるものがなければ、空腹を我慢するだけ。

狩猟採集民族の縄文人まではそんな生き方をしていたが、保存のきく米を栽培し始め弥生人からは、米の「借金」が始まったのではないだろうか?来年の収穫で返すという約束によって。

しかし、そんな限って、次の年も不作が続き、借りた米を返せない・・・。それが貧富の差を生み出し、弱い者は強い者の配下になっていった。

借金を震源とする世界の経済不況は、人類の生き方に問いかけている。

「足るを知れ」と。