或る殺人 [DVD] 或る殺人 [DVD]
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元検事のポールは弁護士に転職したのものの、大した仕事もなく大好きな釣りをしながら毎日を過ごしていました。そんなある日、舞い込んできた依頼は、男を射殺した軍人、マニオンの弁護。マニオンは、男に妻をレイプされたことが原因だと主張します。友人のパーネルや、マニオンの妻、ローラの協力を得て裁判に挑みますが、法廷には、州検事のダンサーが現れ...。

 

法廷でのシーンがメインとなっています。ポールを演じたジェームズ・ステュアート、ダンサー検事を演じたジョージ・C・スコットの迫力のある演技が地味なシーンに力を与えています。真剣な攻防に、ところどころ可笑しさも加えられていて見応えありました。

 

そして、アーサー・オコンネルが演じたパーネルののらりくらりな感じが本作に程よい軽味を加えています。パーネルがどこかで隠し玉をドラマチックにさく裂されるような派手な場面を期待してしまったりもしましたが、そんなこともなく、オーソドックスに進められていきます。

 

ポールが被告を弁護する際に持ち出す"抑えきれない衝動"の切迫度が今一つ分かりにくい感じはしましたが、ラストでも巧く使われている辺り、面白かったです。

 

マニオンの妻、ローラの人物像が、きちんと伝わってこない辺りは、消化不良な感じがしました。果たして、彼女は、本当は夫をどう思っていたのか、レイプはあったのかなかったのか、彼女の傷は夫の暴力の生ではなかったのか...。疑問は残ります。(実は、途中で、彼女は夫の暴力に悩んでおり、夫に殺人を犯させることで夫から離れたかったという結末を想像してしまったのですが...。)この部分が、不明確なままなことで、物語としての印象はぼやけたものになってしまっている気がして、その点が残念でした。

 

それでも、名優たちの丁々発止の見応えのある演技をじっくりと味わえる作品で、観ておいて損はないと思います。