難病、ALSであることを宣告された元アメリカンフットボールのスター選手、スティーヴ・グリーソンを描いたドキュメンタリー作品です。

 

アメリカンフットボールのスター選手だったスティーヴ・グリーソンは、引退後しばらくしたある日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されます。同時期に、妻、ミシェルの妊娠も判明します。生まれてくる子を抱きしめることができるかどうかわからない中、スティーヴは子どもに残すビデオダイアリーを撮り始め...。

 

単なる難病ものの感動物語ではありません。病気に負けまいとする意志の強さと前向きに立ち向かう心意気を追いつつ、背負った運命の重さに苦悩する姿、家族や周囲への想い、進行する病状への苛立ち、行く先への不安...。ポジティブな面もネガティブな部分も丁寧に描き、ALSという病気との闘いとともに、"病者"である以外の面を映し出しています。

 

最後まで病気と闘うというのも、相当の経済力があったからこそできて選択だということも確かです。自分のそんな立場を意識していたからこそ、ALSの患者のための活動に力を尽くしてきたのでしょう。

 

それにしても、ミシェルが素晴らしいです。ミシェルとの結婚は、スティーヴの人生最良の選択だったと言うべきかもしれません。スティーヴの介護と子育てに追われるミシェルが「悪魔にはなりたくないが、成人にもなりたくない。」と語るシーンが印象的でした。

 

いつ自分が重い病気になるかも、病気や障害を持った家族を介護する側になるかも分かりません。どちらの立場についても、バランスよく視線が配られていて、その点も良かったと思います。
 

病気であっても健康であっても、生まれてきた以上、人はいつか必ず死ぬものです。問題は生きる時間ではなく、健康かどうかでもなく、その短いか長いか分からない時間をどう生きるかなのだと改めて感じさせられました。

 

基金の宣伝的な面がやや目につく感じもしないではありませんでしたが、それでもなお、人間の可能性や希望を感じさせてくれる作品となっていて胸に沁みるものがありました。
 

自分の生き方を見直すためにも、一度は観ておきたい作品だと思います。

 

 

公式サイト

http://transformer.co.jp/m/gift/