実話を基にした作品。

 

ミュージシャンとしてニューヨークのクラブで働くマニーは、妻ローズと貧しいながらも幸せな日々を過ごしていました。ある日、妻に歯の治療を受けさせようとその費用を借りるため、ローズの保険証書を持って保険会社のオフィスを訪ねます。けれど、そのオフィスに2度も強盗に入った男にマニーがそっくりだったことから通報され、警察に連行され...。

 

捜査陣は先入観に囚われて事実を冷静に判断できていなったことは確かですが、特に自白を強要するような行為があるわけでもなく、明らかに不法な手段が取られているわけでもなく、それでも、徐々に無実のマニーが犯人に仕立てられていきます。何といっても昔の作品で、犯罪捜査の手法があまりに古びてしまっているのですが、それでも、比較的穏やかに真っ当に捜査されているにも拘らず誤認逮捕が行われ、一人の無辜の人間が犯罪者にされかけた事実に怖さを感じます。

 

疑われた主人公が脱獄したり、自力で犯人を見つけ出したりという派手さはありませんが、日常に潜む恐ろしさ、ごく普通に生活していただけの人が悲劇に巻き込まれていく怖さがジワジワと伝わってきます。

 

余計な演出がないこと自体はアリだと思うのですが、それにしても、淡々とし過ぎ、ドラマとしての盛り上がりに欠けた感じは否めません。

 

ラストの見せ方も字幕で見せる部分と物語して表現する部分のバランスが悪い感じがしました。

 

悪くはないけれど、ちょっと期待外れ感がある作品でした。観るにしてもレンタルのDVDで十分かと。