アランとエリックは幼馴染。金持ちのエリックの父が所有する船で遊ぶのが好きでした。けれど、ある日、エリックの父が莫大な借金を背負い、アメリカへ。アランも父とアメリカへ渡り、アランの前から姿を消します。手紙の遣り取りも途絶えてから10年が経ち、エリックはひょっこり香港へ戻ってきます。一緒に暮らし始めた2人のところにオリーブが現れ...。

 

三角関係ではなく、男2人と女1人の友情物語となっています。どこかの時点で、女は男を選ばなければならないことになるのだろうことは予測され、その辺りがどう描かれることになるのかに興味を惹かれながら観ることになります。

 

3人の間に、葛藤のようなものはあまり感じられません。それぞれが相手への気遣いを見せ、自身の想いよりも、あとの2人の気持ちを優先させます。限りなく優しく美しい世界です。たまには、ドロドロした三角関係でなく、美しい思い遣りに溢れた友情物語もよいだろうということなのかもしれませんが、やはり、現実感には欠けます。

 

子どもの頃のアランとエリック、2人の再会とオリーブとの出会いと別れ、さらに10年後の再会。そして、3人が2人になるラスト。御都合主義が目につく部分もありますし、物語が粗く、今一つ、響いてくるものがなかった点は残念。

 

まぁ、それでも、たまにはこんな甘いデザートもいいのかもしれません。例え非現実的な夢物語であったとしても、優しいお伽噺の世界には、慰められるものがあります。