愛と哀しみの果て [DVD]/ロバート・レッドフォード,メリル・ストリープ,クラウス・マリア・ブランダウアー
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1937年に出版されたアイザック・ディネーセン(本名はカレン・ブリクセン)の小説「アフリカの日々」を基に作られた映画。原作は未読です。

1913年のデンマーク。裕福だけれど未婚のカレン・ディネーセンがは、友人のブロア・ブリクセン男爵に"便宜上の結婚"を申し入れます。貴族ではあったものの経済的には厳しかったブロアは、結婚に同意。2人はアフリカに移住して酪農場を始めることにします。英領東アフリカへの到着してすぐ、カレンはブロアとの簡単な結婚式を挙げ、ブリクセン男爵夫人となります。ブロアとの生活は擦れ違いが続きますが、そんな中、ハンターのデニス・フィンチ・ハットンとも出会い...。

欧米の白人たちが、アフリカの大地を欲しいままにし、現地の人々を支配することが当然のことと受け止められていた頃のお話です。原作小説は、原作者の自伝的な内容になっているとのことで、ストーリーは概ね事実をなぞっているようです。欧米からやって来た人々が、何の疑問も持たずに伸び伸びとアフリカを搾取していく姿が描かれるのですが、今の視点から見てしまうからなのか、明るさに忍び寄る影が感じられ、彼らの特権が終わる予兆が漂います。

カレンの人生は、かなり波乱万丈ですが、全体に淡々と描かれ、静かな雰囲気の作品となっています。いろいろあっても、悪い方に転がっても、誰かを恨んだり、運命を呪ったりすることなく、全てを受け入れ、次に向かって歩んでいくカレンの姿は頼もしいのですが、その"全てを受け容れていく姿"に寄り添って物語を描いていくとドラマチックな味わいが失われてしまうのかもしれません。

そして、物語の描き方がゆったりしていて、161分という長い上映時間の割には、内容が薄く、冗長な印象を受けてしまいました。

アフリカの自然を写した映像は美しく、音楽も映像の雰囲気によく合っていたと思います。今から100年以上も前にこんなにも凛々しく人生を切り開いていった女性がいたという事実そのものは興味深かったですし、メリル・ストリープがその変に肩肘張らない逞しさを見事に表現していましたし、デニスを演じたロバート・レッド・フォードもカッコよかったですし、2人で飛行機に乗るシーンはとても印象に残ったりしたのですが、全体としては、魅力を欠いた作品になってしまった感じが否めません。

もっと面白い作品になり得たと思うのですが、残念です。


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