47RONIN (「47RONIN」メインキャスト・ポストカードセット(6枚セット)付き) [.../出演者不明



¥3,672

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徳川綱吉が将軍職にあった日本。鎖国で海外と隔絶されていた当時、魑魅魍魎の跋扈していた諸国も、武家の支配の下、一応の安寧を保っていました。そんな諸国のひとつに、名君浅野内匠頭(田中泯)を領主とする播州赤穂があり、一方では、吉良上野介(浅野忠信)が、ひそかに赤穂を併呑する機会を狙っていました。吉良は、側室の座に納まっている謎の女、ミヅキ(菊地凜子)と共に、ゆくゆくは徳川家をも滅ぼして天下を取ろうとまで目論んでいたのです。カイ(キアヌ・リーブス)は、少年の頃、どこからとも知れず赤穂に流れてきた異端児で、殺されかけたところを、領主浅野の温情で助けられ、浅野の娘ミカ(柴咲コウ)にも愛されて、郊外の小屋でひとり暮らしを続けながら、成長していました。カイには、浅野父娘のためなら命に替えても、その恩と愛に報いたいという気持ちが根付いていました。しかし、綱吉が赤穂を訪れていたある夜、城内でミヅキに妖術をかけられ我を失った浅野は、寝所の吉良に切りかかって疵を負わせるという事件を起こし、綱吉にその現場を目撃されてしまいます。これに怒った綱吉は浅野に切腹を命じ浅野家は取り潰され、一連の出来事を吉良の謀略と訝っていた家老、大石内蔵助(真田広之)始め家臣たちは禄を失い浪人へと身を落とします。赤穂は吉良の領地となり、ミカは1年の喪明けに吉良との婚儀を約束させられます。その場で復讐をと猛り立つ家臣達を、今はその時期ではないと抑えた大石は吉良によって地下牢に押し込められ、家臣たちは所払いを食らって四散、そしてカイは、出島のオランダ人に奴隷として売られてしまいました。一年後、牢から出された大石は、今は百姓家に棲む妻りくや息子・主税(赤西仁)と再会、今も亡き主君を慕う家臣達と、仇討に立ち上がることを決断し...。



もう、冒頭から最後まで、ぶっ飛んでいます。この髪形は何?、この装束は何処の人々?、武道の試合の場の設定の仕方はどうしちゃったの?と、次々、頭の中には?が湧きだしてきます。これ程の"トンデモ"作品も珍しいというレベルの作品でした。ここまで、"トンデモ"チックな味付けにするなら、赤穂浪士を持ち出さない方が良かったのではないかと...。こんな使われ方をされたら忠臣蔵が泣くのではないかと...。そもそも、これでは、忠臣蔵のメインテーマである"仇討"の必然性が見えてきません。



日本人の名のある俳優が何人も出演してもいて、本作が日本で多くの人に見られることになるのは想定済みというより、当然のことと予測されていたはずなのですから、日本の歴史や文化をもう少し大切にして映画作りをしてくれても良かったのではないかと...。



ここまでするのなら、忠臣蔵を持ち出さず、日本を持ち出さず、どこかにあったのかなかったのか分からない東洋の国の設定にしていれば、まだ、観られる作品になったのではないかと...。



そして、物語の作り方についても、粗さが気になります。ミズキが何者だかよく分かりませんが、あれ程の力があるなら、赤穂藩の一つや二つ簡単に壊滅させられたのではないかと...。わざわざ、大石たちが勢力を盛り返すのを待つ理由が、映画を盛り上げるということ以外に見えてこないことは、やはり、気になります。大石が死ななかったことに気付かないのも、彼らが結婚式の場に忍び込んできたことに気付かないのもあまりにヘンだし...。



カイが、ミズキを最初に見た時、彼女の正体に薄々気づきながらも、その後、彼女を放置した理由もよく分かりませんでした。本当に妖しいと思えば、彼を信じるであろうミカに伝え、ミカから巧く内匠の頭に危機を伝えてもらう方法はあったはず。



真田広之は、所作や殺陣もそれらしく、ハリウッド作品への出演に馴れていると言うこともあるのかもしれませんが、魅せてくれていたと思います。菊地凜子は、かなりのトンデモな役どころでしたが、精一杯の説得力を持たせていたのではないかと思います。ただ、それだけ...かなぁ...。



"47人の浪人"という一点について、忠臣蔵をモチーフにするのは仕方ないとしても、日本が舞台というのはやめて欲しかったし、そこについては10000歩譲ったとしても、ラストの"今の日本人に受け継がれている"っていうのは、やめて欲しかったです。



まぁ、今の時代になっても、ハリウッドから見える日本は、こんな姿だってことなのでしょうか...。ビックリと、疑問に溢れた作品でした。何とも残念です。