プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 [DVD]/ライアン・ゴズリング,ブラッドリー・クーパー,エヴァ・メンデス
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天才的なライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は、移動遊園地で命懸けのバイクショーを行い、その日暮らしの生活を送っていました。ある日、ひょんなことから、かつての恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と出会い、彼女の住むNY州スケネクタディにやってきます。ロミーナが自分の子どもを産んでいたことを知ったルークは、2人を養えるようになるため、街で出会った自動車修理工の男と銀行強盗を行い、大金を手に入れます。一方、立身出世に野心を燃やす新米警官のエイヴリー(ブラッドリー・クーパー)は、ルークを追い詰めますが、彼と対峙した際に重大なミスを犯してしまいます。ところが、彼はこの一件で、周囲から高く評価され、それを足掛かりに出世します。15年後、ルークの息子ジェイソン(デイン・デハーン)は、高校生になっていました。何も知らず、同級生としてエイヴリーの息子AJ(エモリー・コーエン)と親しくなりますが、やがて父親たち、ルークとエイヴリーの秘密を知り、復讐心に駆られて...。


3つの物語が描かれます。ルークが家族との生活を夢見て銀行強盗をする物語、エイヴリーが警察の腐敗と闘う物語、そして、息子たちの物語。ルークからエイヴリーへ、そして、ジェイソンへと主人公が変わっていきます。


この最初の物語で主人公になるルークの存在感が強く、最後まで、彼の印象が脳裏に残ります。まぁ、そのルークの存在が、3つの物語を繋げてもいるので、それがあって、一つの作品としての纏まりが得られているのかもしれませんが、やや、バランスを欠く感じもしました。そして、ルークが中心から外れることで、物語も失速してしまいます。ラストに向かうに連れ、面白さが減っていくので、140分はかなり長い感じがしました。


元カノと息子のために、その日暮らしを改めようとしたルークですが、生活の基盤を整えるための手段が銀行強盗というのは、いただけません。そして、そんなルークの"敵"となったのが、エイヴリー。自分のミスに悩んだりする様子も見受けられるエイヴリーですが、結局は、要領の良さや狡猾さを見せつけてくれます。どっちもどっちな2人ですが、命を奪われた分、ルークに同情が集まるのは致し方ないところでしょう。


血の繋がりのない息子に本物の愛情を注いでくれる父を得たジェイソンですが、その父の偉大さを理解しながらも、実の父への想いを強くするジェイソン。彼の行く末がルークの歩んだ道に重なってしまうのではないかという一抹の不安も残りますが、"復讐心"に魂を絡め取られることのなかったジェイソンの強さを信じたくなるラストでした。そう、ジェイソンは、ルークが受けられなかった"父親からの愛情"を得ることができたのですから。


むしろ、問題を抱えているのはAJなのでしょう。なかなかワルなAJは、祖父や父の血を受け継いだ存在ということなのでしょうか。エイヴリーの罪が暴かれる時が来るのかどうか...。


宿命を克服しようとする者と、宿命に巻き込まれていく者。それぞれの来し方、行く末を考えさせられます。なかなか重い余韻の残る作品でした。


終り方が中途半端というか、唐突な感じもありましたし、ラストに向けての失速感は残念ですが、不思議と心に残るもののある作品です。