愛のあしあと [DVD]/カトリーヌ・ド・ヌーヴ,キアラ・マストロヤンニ,リュディヴィーヌ・サニエ
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1960年代のパリ。高級靴屋で働く若き日のマドレーヌは、ひょんなことから副業で始めた娼婦の仕事でチェコの青年医師ヤロミルと恋に落ち、結婚。プラハへと渡り、一人娘ヴェラが誕生しますが、浮気なヤロミルに失望し、ヴェラを連れてパリへ戻ります。やがて、マドレーヌは再婚。2番目の夫は優しくて家庭的でしたが、相変わらず娼婦をやめられません。そんな時、チェコからヤロミルが訪れます。彼を愛するマドレーヌは想いを断ち切れず、ふたたびヤロミルと関係を持ってしまいます。2000年、マドレーヌは老いても魅力的で、相変わらずパリでヤロミルとの逢引を続けていました。一方、美しく成長したヴェラは、優しい恋人クレモンがいながらも、ロンドンで知り合ったドラマーのヘンダーソンに一目惚れ。けれど、彼はゲイでした。それでも、諦めきれないヴェラは...。


さすがにおフランスと言うことなのでしょうか。プラトニックな要素を感じさせない愛の物語です。付き合っている相手がいるとか、結婚していてるとか、そんなことは、誰かを愛する障害にはならないようで...。


軽いタッチで始まりますが、中盤で、ヘンダーソンがある告白をする辺りから、物語はシリアスな雰囲気を帯びていきます。けれど、どんなに重くなっても、愛を求める姿勢は変わらないのが、おフランスなところ...なのでしょう。欲しい愛は、命を懸けても手に入れる...のかと思っていたのですが...、"その後"のヴェラの行動には、疑問も感じました。まぁ、それでも、それも一つの愛の形...ということなのでしょうか...。


甘く幸せな愛にも、残酷で哀しい表情があることを実感させられるスウィートでビターで、おフランスな愛の物語。内容的に盛りだくさんで、焦点がぼけた感じもあって、長くて集中力が続きにくい面もありましたが、マドレーヌを演じるカトリーヌ・ド・ヌーヴ、ヴェラを演じるキアラ・マストロヤンニの魅力に支えられた作品です。若き日のマドレーヌを演じたリュディヴィーヌ・サニエも、その後のマドレーヌとはちょっと雰囲気が違ってしまってはいましたが、可愛らしくて良かったと思います。


ミュージカルっぽい雰囲気がところどころに取り入れられ、それが、本作に程よい軽さを加えているのですが、歌の入り方が、やや、中途半端で、歌になるところで唐突な印象を受ける部分が多く、気になりました。歌自体は良かったと思います。ストーリー的にも、"この母にして、この娘"な感じの親子でしたが、歌も"この母にして、この娘"(こちらは、良い意味で)な感じで、印象的だっただけに、勿体ない感じがしました。


マドレーヌ、ヤロミルのそれぞれの若い時と歳を経てからの演者が違うのですが、どちらも、今一つ似ていないのには違和感がありました。もっと似た感じにはできなかったのでしょうか...。


全体的に、少なくとも、レンタルのDVDで観る分には、悪くはないのですが、ところどころ、アレッというところが気になる作品でした。