アシャンティー [DVD]/マイケル・ケイン,ピーター・ユスティノフ,ビヴァリー・ジョンソン
¥3,990
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スペインのベストセラー作家、アルベルト・バスケス=フィゲロアの小説を映画化した作品。原作は未読です。


西アフリカの小さな村。WHO(世界保健機構)で働く英国人医師、デイビッド博士は妻のアナンサと村人たちを診療するためにジープで訪れていました。しかし、デイビッドがその歓迎のダンスを見物している間に、湖で泳いでいたアナンサは、数人の男に連れ去られてしまいます。男たちは、この一帯で人狩りしながら商売をしている奴隷商人スレイマンとその一味でした。アナンサ誘拐がスレイマンの仕業であることを知ったデイビッドは、アナンサを救うため、スレイマンのキャラバンの追跡を開始しますが...。


妻を奪われた男が妻を取り戻すために大活躍する冒険活劇です。アフリカの大地を舞台に、イギリス人を主人公にした西部劇といった感じでした。


アフリカを砂漠を知らず十分な準備もできないままの大追跡。いきなりシロ~トがサハラ砂漠を生きて越えることなどできるとは到底考えられませんが、マリクという仲間を得られたことで、この点はクリアされています。この辺りは、原作の設定なのだと思いますが、きちんと気を配っている感じはしました。


まぁ、それでも、ところどころ、"本当にここまでできるのか?"という部分もなきにしも非ずでしたし、少々、都合の良さが目立つ場面もありましたが、テンポもよく、ところどころに厳しい現実を見せつけられるような部分もありながら、エンターテイメント作品として楽しむことができました。


かなり出演陣も豪華で、演技という点からも安心して観られる作品でした。


本作登場の奴隷商人はアラブ系で、その背景を知りながら、アナンサを買った側もアラブ系ですが、作中でも言及されている通り、アフリカ大陸を人身売買の大きな舞台に仕立て上げたのは、欧米諸国。イギリス人も相当、奴隷市場の発展に寄与しているわけです。このイギリスの責任にチョロッと触れられている辺りが、言い訳がましく感じられたりもしましたが、それでも、そこがきちんと意識されている点は印象的でした。


日本は性的搾取を目的とした女性の移送目的国となっているとされ、欧米を中心とする諸外国から批判されています。アメリカ国務省は、、「人身売買に関する年次報告書」を毎年発表しており、その中で、世界各国の人身売買撲滅規制基準の達成度をランク付けしています。基準を満たしている"Tier1"、基準は満たさないが努力中の"Tier2"、基準は満たさないが努力中で被害者数が顕著、かつ前年より改善が見られない、または次年以降の改善を約束しない"Tier2 WatchList"、基準を満たさず努力も不足している"Tier3"の4段階に分類されています。"Tier2 WatchList"と"Tier3"は監視対象とされ、日本は2011年版まで7年連続で"Tier2"に分類されているとのこと。ということで、我らが日本は、"努力している"との評価は得られているものの、基準を満たしていないと判断されてしまっているわけです。ちなみに、最低ランクの"Tier3"に分類されているのは、イランと北朝鮮の2か国だとか...。勝手に、世界の国を分類し、監視対象とか何とか決めてしまうアメリカもどうよ?という感じもしたりしますが...。まぁ、日本人である私たちも無関心で放置してはならない問題なのだと思います。