- 荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE スタンダードエディション(通常版) [DVD]/林遣都,桐谷美玲
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TVアニメ、実写ドラマにもなっている中村光の同名人気コミックを実写映画化した作品。原作コミックもアニメもドラマも未読、未見です。
大企業の御曹司、市ノ宮行は、父に荒川河川敷の大規模開発を命じられます。現地を視察した行は、身ぐるみはがされますが、美少女、ニノに助けられます。行は金星からやってきたというニノに、カッパの着ぐるみの村長や星のマスクをかぶったミュージシャンなど、奇妙な人々が暮らす集落に連れて行かれ...。
人間同士の信頼や友情といったものを味わう経験なく育ってきたお金持ちのボンボンが、未知の世界に出会って生き方を変えていきます。金では買えないものがあることを知り、損得勘定の絡まない人間関係があることを学びながら成長していく青年。そして、そこに絡む父と息子の物語。出会うはずのなかった男女の恋。全くあり得ない奇妙な世界を舞台にしながらも、描かれているものは、とても、オーソドックスな物語。
ナンセンスな設定とシリアスな物語のバランスが良くて、思いの外、スンナリと作品の世界に入っていくことができました。
特別に面白い作品とは思えませんでしたし、やけにこじんまりとした作りで迫力不足は否めませんでしたし、ギャグを実写化することの難しさも感じさせられましたし、全体にチープで、無理矢理感たっぷりでしたが、それぞれのキャラクターが個性的で、演技陣が楽しそうで、ホンワカできました。
そして、分かったような、分からないような河童の正体。何だか、随分な実力者のようですが、一体、何者?この辺の種明かしをしているようで、あまりちゃんとはしていない感じも本作の雰囲気そのもので良かったと思います。
そこに存在することに何の意味があるのか、価値があるのかわからないような河原の住民たち。でも、本当は、意味のあるなし、価値のあるなしで人の存在に重み付をすることこそを避けるべきなのでしょう。意味がなくても、価値がなくても、生きていくのが命あるものの姿...なのですよね...きっと。
不思議と残るものがある作品です。原作を読みたくなりました。