ブギーナイツ [DVD]/マーク・ウォールバーグ,ジュリアン・ムーア,バート・レイノルズ
¥1,500
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1977年、ディスコで皿洗いをしていたエディは、ポルノ映画の監督、ジャックにスカウトされて男優デビュー。持ち前の巨根を武器に大きな成功を収め、成り上がっていきます。けれど、次第に、増長し、生活は乱れ、ドラッグに溺れるようになり、ジャックともいさかいを起こしてしまい...。


1970年代後半に活躍したポルノ男優の栄枯にまみれた一代記が人情味あふれる視点で描かれています。


好青年が思いがけずスターになり、天狗になって堕落、けれど、その非を悟ってやり直す。社会に出たばかりの青年が成功し、それまでに経験できなかったような富と名声を手に入れる。まぁ、有頂天になるのも仕方ないことかもしれません。そして、それもありがちなことですが、その成功の要因が全て自分の力によるものだと勘違いする。そう、実際は、多くの人に支えられてのことなのに。


家を飛び出した時、母親に「(自分にも)取り柄はあるんだ」と叫ぶエディ。そう、確かに彼には取り柄があったし、それを活かすための方法を選ぶ嗅覚も持っていたし、それが活きるようにそれなりの工夫もしたわけですが...。

まぁ、ありがちな、そして、これまでにもいろいろな形で描かれてきた青春の栄光と挫折の物語。それをポルノ映画という舞台設定により、下手に深刻にせず軽やかに描き出しています。そして、ポルノ映画という業界が置かれている社会的位置からくる哀しさ。ちょっとした場面で業界に関わる人々は、社会的なハンディを痛感させられています。閉じられたコミュニティの中での底抜けに明るい場面と外の社会で現実の厳しさに晒される場面の差が心に沁みました。ポルノ業界にいることで愛する子どもを手放さざるを得なかった女優を演じたジュリアン・ムーアもその辺り、見事に表現していたと思います。


エディが自身の非を自覚し、ジョンに詫びる場面も良かったです。エディにとって、ジョンが自分の取り柄を十分に活かしてくれる存在であったように、ジョンにとっても、エディはかけがえのない存在だった。どんな分野であれ、一人の人間が世に出てその力が認められるようになるためには、その背景に、エディとジョンのような関係が必要なのかもしれません。


脇を固める演技陣も豪華。ドン・チードルも印象的でした。フィリップ・シーモア・ホフマンは、やはり、名優だと実感させられる作品でもあります。


正直、少々、長い感じはしましたが、そして、その割には個々の人物の描き方が薄い感じもしましたが...。それでも、それなりに楽しめました。レンタルのDVDで十分かとは思いますが、観ておく価値アリの作品だと思います。



ブギーナイツ@ぴあ映画生活