アナとオットー [DVD]/フェレ・マルティネス,ナイワ・ニムリ,サラ・バリエンテ
¥3,990
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8歳のオットーは、自分を見つめる同い年の少女、アナと出会います。その日は、アナの父親が亡くなった日。アナには、オットーが父親の生まれ変わりのように感じられます。ある日、オットーが飛ばした紙飛行機がきっかけとなってアナの母とオットーの父が出会い、やがて、結婚し、アナとオットーは義理の兄妹となります。同じ家に暮らすようになったアナとオットーは、愛し合うようになりますが...。


2人とその周囲に散りばめられる様々な偶然。繰り返される似たようなエピソード。ここまでの偶然は、幾らなんでもやり過ぎなのですが、まぁ、あまり、ストーリーがどうこうという雰囲気の作品ではありません。


2度、3度と登場する"追いかけっこ"、交通事故、平手打ち、救助されるパイロット...。そして、循環する物語。逆さに読んでも同じな名前を持つ2人の主人公。彼らの出会いは、地平線を一周する白夜の北極圏という大きな輪の中で閉じていきます。その冒頭に繋がるラストは、本作そのものが循環する大きな輪になっていることを示しているのでしょう。


大小の様々な輪の重なり。循環する太陽と物語と運命。生命は、生き、死に、また生き...、循環していくものなのかもしれません。輪廻転生。


ストーリーを描くことより、何かを訴えようとする姿勢より、映像の凝り具合が印象的です。過去と現在が入り混じり、オットーから見た物語とアナから見た物語が交錯し、一つの大きな円が閉じていく流れに、悲劇よりも、不思議な落ち着きと幸福感が感じられます。


やや、技巧に走り過ぎて、印象的な映像やセリフがところどころに見られる割には、作品全体として訴えてくる力には弱さが感じられます。ちょっと勿体ない感じもしますが、この独特な味わいは長く印象に残りそうです。



アナとオットー@ぴあ映画生活