SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説「調整班」を映画化した作品。


上院議員選挙の有力候補だったものの選挙直前に発覚したスキャンダルのために落選した、デヴィッドは、偶然、エリースと出会います。彼女のおかげで「敗北宣言」で好評を博した彼ですが、彼女とは名前も聞けないままに別れてしまいます。その後、偶然、彼女と再会したデヴィッドの前に、アジャストメント・ビューロー(運命調整局)なる謎の集団が出現。デヴィッドは、彼らから「エリースと別れなければ大統領になる運命は閉ざされ、エリースも不幸になる」と言われますが...。


この"運命調整局"、やっていることが大それていて、大仰な割には、お粗末な組織。いつからあるのか分かりませんが、いままで存続できていたことが不思議なくらい危うい組織でした。ちょっとしたミスで大勢の係員が右往左往。このあまりに人海戦術なやり方。世界を見守るために、一体、どれだけの人員が必要なのか...。


やることなすこと、何を考えているんだか...という突っ込みどころたっぷりで、けれど、そこを笑えるような雰囲気ではないので、気持ちの持って行き場のないような...。


大体、彼らは、何故、こんなに必死になって2人を別れさせなければならなかったのか?運命を調整する力があるのなら、そんなところに無駄に力を注ぎ込まずに2人が結ばれてもデヴィッドが大統領になれるように調整すればいいだけのハナシ。2人を別れされるために大騒ぎして、他の沢山の人の運命を変えて、どうする気なのか...。全く意味不明ですよね。


まぁ、確かに世界を動かす立場にあるアメリカの大統領が誰になるかは重要なのでしょうけれど、でも、人手をたっぷりかけて、大掛かりに動いている割には、成果を挙げられません。とことん、非効率な組織です。


大体、デヴィッドに協力した調整人は、何をしたかったのか?2人をくっつけたいなら、邪魔することに労力をかける必要はないのだし、別れさせたかったのなら、協力なんかしなければ良いのだし...。結局、彼は、他の調整人を振り回しただけ?


要するに、2人の愛の強さが定められた運命に打ち克ったということなのですよね。強い想いと信頼と勇気があれば運命をも乗り越えられるのだと...。でも、それなら、2人がそれだけ強く惹かれ合う背景をもっときちんと描いて欲しかったです。


徹底的にコメディにして笑い飛ばすか、しっかり細部まで世界を作り上げてシリアスにやるか、どちらかに徹していれば面白くなったのではないかと思うのですが...。あるいは、デヴィッドが、大統領にはなれない運命なのに、大統領になりたくて、その野望のために運命を動かそうとする...というストーリーなら良かったのかも...。


あと、結局、彼は大統領になったのかどうか、そこのところは見せて欲しかったですね。調整局は彼を大統領にするためにアレだけの大騒動をやらかしたわけですから。



公式サイト

http://www.adjustment-movie.jp/



アジャストメント@ぴあ映画生活