不思議惑星キン・ザ・ザ [DVD]/スタニスラフ・リュブシン,エヴゲーニー・レオノフ,ユーリー・ヤコヴレフ
¥4,179
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自分は宇宙人だと言う裸足の男が持っていた空間転移装置によって、キン・ザ・ザ星雲にある砂漠の星、ブリュクへワープさせられてしまった建築技師と学生。2人は、何とか地球に戻ろうとしますが...。


何ともバカバカしい作品なのですが、細部までこだわりが感じさせられる妙に完成された世界がそこにありました。


変な人々が生息する惑星、キン・ザ・ザ。礼儀には異様にうるさいのにも関わらず、治安の悪い都市。マッチに対する異常な欲望。この惑星に行き着いたのは、ソ連の人たち。かつて、社会主義の国々では、物が不足しがちで、商店には長い行列ができるというニュースがよく流されていましたが、そのソ連の人たちにも左程貴重ではない品物をこれ程までに珍重する世界があるというのも皮肉。


登場人物も可笑しければ、出てくる飛行物体などもヘン。でも、しっかりと凝った造りになっていて、相当なこだわりが感じられます。


宇宙人が登場するSF作品ながら、戦いがあるわけでもなく、殺し合いがあるわけでもなく、異文化が衝突する緊張感などなく、とぼけたのんびりとした雰囲気が作品を覆っています。地球人のコンビもとぼけているなら、宇宙人たちもどこか間抜け。「キュー」と「クー」で繰り広げられるコミュニケーションもいい味わいがあります。


好き嫌いは分かれると思いますが、一度観たら忘れられない作品。いろいろと問題もあったソ連時代の社会主義社会。本作には、ソ連社会を揶揄するような表現もところどころに見られます。社会主義のソ連でこそ、生み出された作品なのかもしれません。


角度を変えれば、いろいろな観方ができて、様々な解釈をすることができる。それも本作の奥行きの深さなのでしょう。きっと、繰り返し観れば、その度に新しい発見ができるのでしょう。


本作にしかない独特な面白さを味わわせてくれる作品です。



不思議惑星キン・ザ・ザ@ぴあ映画生活