副王家の一族 [DVD]/アレッサンドロ・プレツィオージ
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19世紀半ばのシチリア。スペイン副王の末裔であるウゼタ家では、莫大な財産を巡り、一族が争っていましたが、やがて、長男のジャコモがすべてを自分のものにし、一族の絶対権力者となります。ジャコモは、特に息子のコンサルヴォに対しては非常に厳しく、ある事件により、ジャコモの逆鱗に触れtたコンサルヴォは修道院に入れられてしまいます。やがて、イタリア統一の機運が高まる中、コンサルヴォも成長し...。


相当に嫌なオヤジなわけですが、常に何よりも一族の権力の維持のために行動するジャコモの態度はぶれることがありません。ここまでくればアッパレという感じ。それにしても、こんなオヤジを長とする一家に関係する人々は、本当に大変。けれど、彼らも名家に生まれ育った人々。オヤジに反発を感じても、そこから抜け出すことは至難の業。コンサルヴォの妹も、最愛の男性とは全く別のしょ~もない男と結婚させられ、そのために最愛の男性が自殺するという悲劇にみまわれ、それでも、結局は父親の言う通りにします。


まるで、一族そのものが生存への意思を持つ存在のような...。一族が権力を握り続けるためには、その構成員である個々人など、一つの細胞のような存在。一族のためにすべてを投げ打つことを要求されます。


それでも、このど~しよ~もなく嫌味なオヤジ、ジャコモの真意が遺言によって明かされる時、ジャコモの負った宿命が感じられ、人間の醜さの裏にある哀しさが胸に迫ってきます。ジャコモに反発していたコンサルヴォも、そこで、父親を受け入れるのですが、このコンサルヴォの変化する姿こそが、本作のポイントなのでしょう。


権力への異様な執着を見せながら、一方で、迷信深く、悪霊払いには、大事な財産をつぎ込む。欲しいものを手に入れるためなら手段を選ばない冷酷さを持ちながら、悪霊を気にする辺りは、何者をも恐れないかに見えるジャコモの人間としての弱さであり、哀しさであるのかもしれません。


ジャコモの死後のコンサルヴォの変容を描く場面は、「ゴッドファーザー」のマイケル・コルレオーネを彷彿とさせる印象的な場面となっていました。舞台もシチリアですしね...。


「山猫」×「ゴッドファーザー」=本作といったところでしょうか?なかなか、重厚感のある作品でした。


正直、お近づきになりたくないような人物ばかりが登場する作品でしたが、それでも、最初から最後まで飽きずに観ることができたのは、作品の力ゆえなのでしょう。


なかなか見応えのある作品でした。



副王家の一族@ぴあ映画生活