青いパパイヤの香り ニューマスター版 [DVD]
¥18,000
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1951年のサイゴン(現在のホーチミン)が舞台。10歳の少女、ムイは、田舎から奉公に出されます。ムイの仕事は、食事の世話、家事手伝い、その他、細々としたこと。その家には、何もせず楽器を楽しむだけで、時々、有り金を持って家出してしまう父親、生地屋を営み家計を支える母親、嫁に辛く当たる姑、社会人の長男、幼い次男という家族、そして、年配の女中がいました。やがて、ムイは、遊びに来た長男の友人、クェンに密かに恋心を抱くようになります。10年後、長男は結婚、ムイは、クェンの家に奉公に行くことになり...。


アジア的というのでしょうか。匂いたつようなしっとりとした空気が感じられます。


最小限に抑えられた...というより、それ以下に削り込まれたセリフ。静かな描写。


わずかに、登場人物の感情が溢れ出す映像もありますが、そこでホッと一息つきたくなるほどに感情描写も抑えられています。


田舎から出てきた幼い少女が、与えられた場所で与えられた役割を淡々とこなし、やがて、運命は彼女に麗しい果実を与えます。まぁ、ありがちといえば、ありがちなストーリーですが、自然の中に溶け込むようなベトナムの家の造り、そして、まさに、自然の恵みだということがよくわかるような料理の場面...そうしたものが、本作の味わいを深め、独特の香りを生み出しています。


クェンの作る音楽が、少々、作品の雰囲気とミスマッチな感じを受けてしまいましたが、まぁ、西洋音楽の作曲者なのですから、仕方ないのでしょうね...。もう少し、作品の雰囲気に合った職業で成功してもらえると良かったのではないかと...。


それでも、この独特の空気感を纏う作品は、観ておいて損はないと思いますが...。



青いパパイヤの香り@映画生活