魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション
¥3,416
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アンダレーシアで動物たちと暮らす美しいプリンセル、ジゼルは、運命の人と出会って結婚することを夢見ていました。ある日、怪物に襲われたジゼルは、エドワード王子に助けられます。お互いに一目惚れ、であったばかりにもかかわらず完璧なデュエットを披露し、すぐに結婚を約束します。けれど、王子の結婚を喜ばない継母のナレッサ女王は、二人の結婚を妨害するため、魔女を送り込みます。魔女は、ジゼルを井戸に突き落とします。その井戸は、現代のニューヨークに繋がっていて...。


現実にはありえないファンタジーの力を借りないと、恋だの愛だのといったことを真正面から語ることができないほどに屈折してしまっているのかもしれません。


現代に生きる私たちも、子どもの頃には、もっと、いろいろな目に見えないものを信じていたはず。けれど、成長することは、現実を受け容れていくことでもあります。大人になれば、現実の世界で生きる術を身につけていくことになります。人は、現実の中で生きていかなければならないのですから。そして、ファンタジーの世界に影響を受けることが少なくなります。


けれど、人がファンタジーの世界から完全に離れて生きていけるほど強くもないのも現実。シビアな世界に生きていても、やはり、夢を見ずにはいられず、御伽噺の世界に触れてしまえば、そこに刺激されてしまうもの。


大人の人間には、現実の中で生きる力も、夢の世界を信じる心も両方必要なのでしょう。


本作では、ファンタジーとリアリティの世界がほどよいバランスでブレンドされています。世知辛い現代の大都会に飛び込んできた、御伽噺の世界のプリンセスと彼女を追いかけてきた、これまた、輪をかけてファンタジックなプリンス。そして、彼らを迎える現実的な大人たち。


現代のニューヨークの人々の彼らの受け容れ方も、それぞれの立場などによる違いが面白く描かれていました。


所々に、これまでのディズニーのファンタジックな名作映画を皮肉ったような描写があったりして、単なるファンタジー至上主義に陥ることなく、御伽噺の世界の"可笑しさ"をそのままおかしなものとして描きつつ、けれど、そこに、現実の世界の世知辛さを救える要素を見出しています。


メルヘンの世界が扱わない、「運命の相手と結ばれて、メデタシ、メデタシ」のその後。本作の現実の世界では、その後に起こる破局についても描かれています。けれど、その後に不幸や破局があるとしても、それでも、そこには、確かに幸せがある...、かもしれないと、青臭い「真実の愛」を信じてみたくなるかもしれない...。そんな味わいの作品です。


もしかしたら、ディズニーらしい作品を期待してしまうと、少々、はぐらかされたような気分になってしまう作品かもしれません。けれど、ファンタジーの世界を作り出すことで、現実の世界でガッチリ稼いでいるディズニーの作品として、ある意味、とても、それらしい作品と言えるのかもしれません。ラストの部分など、ディズニー自体への皮肉にも見えます。


あまり、期待値が高くなかったせいもあるかもしれませんが、楽しめました。なかなか、お勧めの作品です。



魔法にかけられて@映画生活