1982年から87年まで、アメリカのテレビ、"Showtime Networks"という番組内のコーナー「フェアリーテール・シアター」で放送された全26タイトルのシリーズ作品です。


古今東西の名作童話をティム・バートン、フランシス・フォード・コッポラなど、錚々たる映画監督たちと、ミック・ジャガー、フランク・ザッパ等、一癖二癖あるアーティストたちが登場。


まぁ、元がTVシリーズなのですから、当然なわけですが、やはり、TVサイズで観るべき作品でした。最初から、TV向けに作られた作品であったことが分かっていて映画館に観に行ったわけですから、その点について、文句言えた義理ではありません。


このシリーズ、渋谷のユーロスペースと吉祥寺のバウハウスシアターで、合わせて24作品が上映されるのですが、今回は、ユーロスペースデの上映で、「ナイチンゲール」と「こわがることをおぼえるために旅に出た男」の2編でした。


で、先ずは、「ナイチンゲール」。


元々はアンデルセンの童話です。アンデルセンにしては珍しく(?)、ハッピーエンドな物語です。


主人公はミック・ジャガー扮する中国の皇帝。その皇帝のもとに、日本から届けられた本で、ナイチンゲールの歌声の素晴らしさが讃えられていました。それを読んだ皇帝は、家臣たちにナイチンゲールを探し出してくるように命令します。家臣たちは、ナイチンゲールを知っていた女中を見つけ、その女中にナイチンゲールのいる場所まで案内させます。彼らの要請に応えて、ナイチンゲールは宮廷で啼き声を披露し、皇帝に気に入られます。ある日、日本から機械仕掛けの鳥の置物が贈られます。皇帝は、見事な啼き声を持ち、金と宝石で飾られた美しい姿をした鳥の置物に魅了され、本物のナイチンゲールのことなどどうでもよくなり...。


基本的には、童話をそのままなぞっています。若かりし日のミック・ジャガーは悪くありませんでしたしが、中国の皇帝と言われても...、やはり、違和感は残ります。アメリカ人のイメージする「中国的な雰囲気」が何なのかが見えるようで、その点では面白かったです。


東洋と西洋と、そして、中国の様々な時代が微妙にブレンドされ、摩訶不思議な空気を生み出していましたが、それもまた一興...ということでしょうか?


残念ながら、全体にチープな感じは否めません。それも、致し方ないところではあるのですが...。


この作品、「子ども向け」に作られたようです。チラシなどを見ると「大人向きの毒のある作品」であるように書かれていますが、その「毒」の危険性は、決して、高いものではないでしょう。ファミリーで観て、何ら問題ない...と同時に、平凡な出来栄えと言わざるを得ないでしょう。


明日は、ユーロスペースにおいて、本作と同時に上映された「こわがることをおぼえるために旅に出た男」について書く予定です。



公式HP

http://www.ftt-mv.com/



フェアリーテール・シアター@映画生活